このブログでは、1,000種類の通販コーヒーを実際に飲んで、レビューしています。
今回は、焙煎士でもあり、コーヒー豆をプロデュースする私が「コーヒー豆をブレンドする際のおすすめ配合比とレシピ」を紹介します。
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ブレンドコーヒーとは?
ブレンドコーヒーとは、混ぜ合わせたコーヒーのこと。
豆をブレンドする際は、産地が異なるコーヒー豆や、品種が異なるコーヒー豆、焙煎度合いが異なるコーヒー豆を混ぜ合わせます。
ブレンドコーヒーの特徴は、複数の豆を混ぜ合わせることで、独自の風味や味を生み出せること。
コーヒー豆は、産地や品種・焙煎度合いが異なれば、香りや味も異なります。
数種類の豆をブレンドすると、それぞれの特徴を反映したコーヒーになります。
また、コーヒーは農作物のため、その年によって味のばらつきや価格の変動が起こります。
調和のとれた味わいや品質を維持し、価格を安定させるのもブレンドの大きな役割です。
なお、ブレンドコーヒーには、「ブルーマウンテンブレンド」のように特定の豆が表記されたものもあります。
この場合は、ブルーマウンテンを30%以上使用していなければいけません。
ブレンドコーヒーの黄金比率とは
コーヒー豆をブレンドする際に「黄金比率」と呼ばれるものがあります。
これは、先人が考えた「安定的なおいしさが生み出せる比率」のことです。
コーヒー豆を黄金比率でブレンドする場合、次のように混ぜあわせます。
- 6:2:2
- 7:2:1
- 4:3:2:1
上記は一例ですが、このように黄金比率を使うと、コーヒー豆本来のコク・まろやかさ・なめらかさを出しやすいです。
ストレートコーヒーとは?
ストレートコーヒーとは、1種類の豆だけを使用したコーヒーのこと。
例えば「グァテマラSHB」「ブルーマウンテンNo.1」「マンデリン」「キリマンジャロ」「モカ」などは、ストレートコーヒーです。
▼生豆の段階でブレンドする場合もある?
コーヒー豆の産地では、コーヒーバイヤーから要望があれば、複数の品種を生豆の段階でブレンドする場合もあります。
こう書くと、「純粋なストレートコーヒーは存在するの?」と疑問に思うかもしれません。
ですが、純粋なストレートコーヒーは存在します。
純粋なストレートコーヒーは「グァテマラ カペティロ農園 ブルボン100%」が有名
純粋なストレートコーヒーとは、同じ稲作農家で採れた「コシヒカリ100%」と同じ意味です。
コーヒー豆だと「グァテマラ カペティロ農園産ブルボン100%」が有名です。
同じ農園内で採れたブルボン100%は、ほかの農園の豆や品種が混ざっていないので、純粋なストレートコーヒーです。
コーヒーブレンダーの役割
コーヒーブレンダーは、ブレンド表をもとにしてブレンドコーヒーを作ります。
味の想像力を働かせ、複数のコーヒー豆を配合をします。
それぞれのコーヒー豆の持ち味を生かせると、新しいおいしさを持つブレンドコーヒーが生まれます。
「新しいおいしさを持つコーヒーを生み出す」ことが、コーヒーブレンダーの役割です。
配合する割合は、コーヒーブレンダーのこだわりが元になっていることもあり、定まった方法はありません。
しかし、ブレンドコーヒーは「お店の顔」ともいえる商品です。
ブレンドコーヒー豆を作る際は、コーヒーブレンダーである店主の知見と味覚が頼りなので、店の味を決める重要な役割です。
コーヒー豆をブレンドするメリット
ずばり、コーヒー豆をブレンドするメリットは、世界に一つだけの味わいが完成することです。
コーヒー豆の組み合わせとブレンド比率を変化させれば、配合パターンは無限大です。
配合パターンが無限大になれば、コーヒーの美味しさも無限大になります。
コーヒー豆をブレンドしよう。おすすめ配合比とレシピ・コーヒー配合表
ブレンドコーヒーは、豆の組み合わせによって無数のパターンになります。
ただし、安定した美味しさを出すには先人の知恵を借りることも大切です。
まずは、ブレンドコーヒーの特徴ごとに代表的な配合をご紹介します。
初めてブレンドコーヒーに挑戦する際は、参考にしてください。
酸味を強調した配合
酸味の強いブレンドコーヒーを作る場合は、次の配合がおすすめです。
- コロンビア 30%
- ブラジル 30%
- モカ 20%
- グァテマラ 20%
フルーティーな香り・風味を感じる「モカ」や、酸味の強い「グァテマラ」を多めに配合することで、酸味を強調したブレンドコーヒーになります。
苦味を強調した配合
苦味のあるブレンドコーヒーを作る場合は、次の配合がおすすめです。
▼パターン1
- コロンビア スプレモ 30%
- ブラジル 30%
- キリマンジャロ 20%
- ロブスタ 20%
深煎りに焙煎したキリマンジャロは苦味が強く、コロンビア、ブラジルなどのマイルドでコクのある豆と合わせると、苦味がありつつも飲みやすいブレンドコーヒーになります。
▼パターン2
- マンデリン ※中深煎り(苦味・コク) 50%
- ブラジル(苦味・甘み) 30%
- コロンビア スプレモ(甘み・酸味) 20%
マンデリンは酸味が強いため中深煎りを推奨。他の豆と比べて水分量も多いため水分抜きはしっかりと行う。グリーン→白→ベージュまで9分で水抜きするのが目安。火が入りにくいので時間がかかる。
▼パターン3
- ブラジル(苦味)50%
- コロンビア スプレモ(甘み)30%
- モカ(酸味)20%
コクを強調した配合
コクの強いブレンドコーヒーを作る場合は、次の配合がおすすめです。
- コロンビア 40%
- ブラジル 20%
- マンデリン 20%
- グァテマラ 20%
コロンビア産のコーヒー豆や、インドネシアのマンデリンは数ある豆のなかでもコクが強い品種です。
深いコクと芳醇な香りを楽しみたい場合は、両者をブレンドするのがおすすめです。
黄金比
黄金比と呼ばれるブレンドコーヒーの配合は、ブレンダーによって異なりますが、ここでは一例を紹介します。
- コロンビア 40%
- ブラジル 30%
- モカ 20%
- ロブスタ 10%
もっともポピュラーなコロンビアとブラジル産の豆をベースにし、そこに甘い香りを持つモカ、苦味の強いロブスタ種を加えてバランスを取っています。
ブレンドコーヒーを初めて作る際は、まずはこの配合を試してみるのもおすすめです。
【初心者におすすめ】簡単にブレンドコーヒーを作るレシピ
とてもシンプルにブレンドコーヒーを作るレシピがあります。
それは、使うコーヒー豆を2種類に絞ること。
例えば、コロンビアとブラジルだけを使う場合、レシピのパターンは次の9種類だけになります。
- ブラジル9割:コロンビア1割
- ブラジル8割:コロンビア2割
- ブラジル7割:コロンビア3割
- ブラジル6割:コロンビア4割
- ブラジル5割:コロンビア5割
- ブラジル4割:コロンビア6割
- ブラジル3割:コロンビア7割
- ブラジル2割:コロンビア8割
- ブラジル1割:コロンビア9割
このように、おいしいブレンドコーヒーを生み出せる確率が1/9となり、最大でも9回試飲すれば良いので楽です。
ブレンドコーヒーを簡単に作りたいときや、ブレンドコーヒーを初めて作る初心者の方は、コーヒー豆2種類の配合から始めると良いでしょう。
上記9種類のパターンを試して、ベースの味わいが決まったら、隠し味になるコーヒー豆を加えます。
例えば、深煎りのコロンビアを多めに使い、マンデリンを隠し味に使えば、なめらかでほろ苦い味わいから、濃厚さ・重量感・コクも感じられるブレンドに変化します。
- ブラジル5:コロンビア4:マンデリン1
- ブラジル5:コロンビア3:マンデリン2
- ブラジル7:コロンビア2:マンデリン1
上記のようにブレンド割合を変化させていきます。
そして、あらかじめ想像したコーヒーの味に巡り合うまで試飲をしていきます。
コーヒー豆をブレンドする際のポイント
ブレンドコーヒーは、数ある豆から自分の好みに適したものを選ぶ必要があります。
ここから、オリジナルブレンドに挑戦する際の豆選びのポイントを3つ紹介します。
ブレンドするコーヒー豆は3~5種類がおすすめ
ブレンドコーヒーは、混ぜ合わせる豆を変えることで無限大のパターンを作り出せます。
ただし、ブレンドする豆の種類が多すぎると味がばらつき、安定した味を表現できません。
コーヒー豆の種類が少ないと計算も簡単で、より早く理想の味に近づきますが、豆の種類が多ければ何通りもの試飲をする必要が生じます。
使うコーヒー豆が4種類以上になれば、試飲回数はさらに増えます。
2種類しか使わなければ、1回目の試飲で理想の味に巡り会う事もありますが、4種類以上となるとそんな偶然はまず起こりません。
味や風味を安定させ、飲んだときにそれぞれの特徴を感じられるよう、使うコーヒー豆は3~5種類程度にすると良いでしょう。
味のベースとなる豆の決め方
コーヒー豆をブレンドする場合、まず味のベースとなる豆を選びます。
豆の持つ味わい・香味の特徴を踏まえて選ぶと、好みのコーヒーに仕上がりやすいです。
先ほど紹介した配合比とレシピでは、香ばしさが特徴的なブラジルや、厚みのあるコクを持つコロンビアをベースにしています。
そのほかによく使われるのは、モカ・タンザニア・マンデリンなどです。
ベースとなるコーヒー豆は最低でも30%以上、個性的な風味を際立たせる場合は50%以上配合すると良いでしょう。
味の着地点を決める
創りたいコーヒーの味の着地点を決めることは、ブレンドコーヒーを作る上で非常に重要なポイントです。
味の着地点は事前に決めないデメリットは、作業途中で「どんな味が作りたかったのだろう?」と、なること。
ブレンドコーヒー創りを成功させるコツは、事前にできるだけ具体的に味をイメージできるかが重要です。
全体のバランスを考えて他の豆を選ぶ
ブレンドのベースとなる豆を選んで、味わいの方向性を決めたら、全体のバランスを考えて他の豆を選びましょう。
たとえば、ベースに「モカ」を選んだ場合、特徴的なフルーティーな香りとコクを活かすために「タンザニア」や「ブラジル」といった豆を選ぶのがおすすめです。
配合パターンを複数考えて、自分好みのブレンドコーヒーを淹れましょう。
アフターミックスとプレミックス
ひとことで「ブレンド」と言っても、ブレンドするタイミングによっても味に違いがあらわれます。
ブレンドコーヒーには、ブレンドのタイミングが2種類あります。
それぞれ「アフターミックス」と「プレミックス」といい、それぞれ次の特徴があります。
アフターミックス(アフターブレンド)
アフターミックス(アフターブレンド)とは、豆の種類ごとに焙煎し、その後にブレンドを行う方法。
ブレンドする豆それぞれの個性を活かした焙煎を行えるため、豆ごとの個性を引き出しやすいメリットがあります。
味づくりの自由度が高い分、カップの中の一体感を出すのに技術を要する側面もあります。
プレミックス
プレミックスとは、焙煎前に生豆の状態でブレンドを行う方法。
プレミックスの「プレ」とは、「プレオープン」「プレビュー」などの「プレ」で、「前」という意味です。
複数の豆を焙煎前にブレンドし、すべて一緒に焙煎するため、味の一体感を作りやすいメリットがあります。
ただし、水分量の異なる豆ごとの火の通りを均一化させる必要があるため、味をひき出す焙煎技術を要する側面があります。
※コーヒー豆は生焼けだと品質低下の速度が早まります。
アフターミックスとプレミックスを飲み比べてみた
実際に、プレミックスとアフターミックスを飲み比べてみました。
プレミックスはまとまりがあり、まろやかな味わいが感じられますが、やや風味が平坦な印象です。
一方、アフターミックスはそれぞれの豆の個性が全面に出ている印象です、味の輪郭はハッキリとしています。
このように、同じ深度で焙煎しても、ブレンドのタイミングによって味が大きく異なります。
コーヒー豆のブレンドに関する、よくある質問
Q:コーヒー豆のブレンドっていつやるものなんですか?挽く前の豆の状態で混ぜるんですか?
A:基本的に大手メーカーや、コーヒーチェーン店などは、生豆の時にブレンド(プレミックス)してから焙煎します。
理由はコストがかかるため。
それぞれ焙煎してからブレンド(アフターミックス)する場合、ブレンドする豆の種類だけ焙煎しなければならないため、コストがかさみます。
一方、自家焙煎店などはアフターミックスが多いです。
アフターミックスは豆ごとの個性的な味わいを引き出せるので、味にこだわり抜いた専門店で用いられるブレンド法です。
専門店では、基本的に生豆の段階でブレンドしません。
理由は、産地銘柄ごとに豆の大きさ、水分量が異なり、焙煎による風味の引き出し方も異なるためです。
Q:コーヒー豆をブレンドするなら、三種類が黄金比と聞きました。本当ですか?
A:豆のブレンドは3~4種類が基本なので、間違いではないです。
Q:コーヒー豆のお店においてある自家製ブレンドは、余った豆、売れ残った豆を適当に混ぜてるんじゃないんですか?
A:ブレンドは一般的に店側がもっとも売りたい商品であり、もっとも自信を持って提供するものです。
また、ブレンドの良し悪しから、そのお店全体のクオリティ・味の品質を判断する人もいるため、店側がもっとも力を入れている商品とも言えます。
まとめ
今回は、コーヒー豆をブレンドする際のおすすめ配合比や黄金比、ブレンドのレシピなどを紹介しました。
ブレンドという行為は、コーヒーの味わいに無限の可能性を与えます。
数種類のコーヒー豆を配合することで、ストレートにはない新しい風味を作り出すことが可能です。
コーヒーは農作物のため、その年によって味のばらつきや価格の変動が起こります。
調和のとれた味わいや品質を維持し、価格を安定させるのもブレンドの大きな役割です。
ストレートでは味わうことのできない新しい風味、好みにあった美味しいコーヒーを創造していきましょう。