本記事では、エチオピアコーヒーの特徴と、「シダモ」や「イルガチェフェ」など産地ごとの違いをわかりやすく紹介していきます。
エチオピアのコーヒーは、基本的にどれも柑橘系フルーツのような香りがあり、華やかな印象のコーヒーが多いです。
また、紅茶のようなフレーバーのコーヒーもあり、コーヒーの概念を覆すような体験ができることも多いです。
ここから、もっと詳しくエチオピアコーヒーについて書いていきます。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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エチオピアコーヒーの基本情報
エチオピアコーヒーの基本情報を簡単にまとめました。
地域 | 東アフリカ ・シダモ、イルガチェフェなど |
味わい・香り | オレンジ、ワインなど |
コーヒー生産量 | 世界第5位 |
栽培品種 | アラビカ種54%:ロブスタ種46% |
精製方法 | ナチュラル・ウォッシュド |
エチオピアのコーヒーは、フルーティーな酸味があり、柑橘系のフレーバーがあることで知られています。
酸味の強さは、苦味と酸味のバランスを決める「焙煎度合い」によって変わりますが、エチオピアのコーヒーは深煎りにしてもフルーティーな香りがあまり無くならないのが特徴です。
つまり、どの焙煎度合いでも美味しく楽しめる魅力があります。
エチオピアは「コーヒー発祥の地」としての歴史がある
エチオピアはコーヒー発祥の地で、世界中で飲まれているアラビカ種のコーヒーはエチオピアが原産地です。
エチオピアコーヒーの歴史の始まりは、放飼されていた羊がコーヒーの実を食べているのを発見した少年が、コーヒーの実を煮て飲んだことがきっかけと伝えられています。
その後、エチオピアに自生していたコーヒーノキが対岸のイエメンに持ち込まれ、世界初のコーヒー栽培が始まったと言われています。
エチオピアコーヒー2つの特徴
1.ワインやフルーツのような風味が特徴
冒頭でもお伝えしたように、エチオピアのコーヒーは基本的に柑橘系フルーツのようなフレーバーがあります。
フルーティーな風味をダイレクトに味わえるように、あまり深く焙煎しすぎない(苦みを強くしない)状態で販売されることが多いです。
浅煎りだと爽やかでフルーティーな酸味が味わえて、中煎りならワインのような風味と強い甘みが楽しめます。
深煎りにすると、チョコレートのようなコクのある美味しさが楽しめます。
2.栽培されるコーヒーの90%がオーガニック
エチオピアコーヒーの90%は森などに自生している「オーガニックコーヒー」で、これらは「フォレストコーヒー」などと呼ばれます。
残りの10%がコーヒー農家で栽培された「プランテーションコーヒー」です。
エチオピアの生産者はほとんどが零細農家で、中南米の農園のようにコーヒーを管理して栽培するというより、裏山に自生している木から収穫したり、自生している苗を取ってきて、庭先に植えるという感覚です。
コーヒーの生まれ故郷である土地ならではの栽培文化とも言えます。
エチオピア「モカ」とは?
エチオピアのコーヒーを探していると「モカ」という商品を目にします。
モカとは、エチオピアコーヒーの1つですが、コーヒー豆を輸出していたイエメンの港の名前が由来です。
この港からは、イエメンとエチオピアのコーヒーを輸出していて、これらのコーヒーをまとめて「モカ」と呼んでいました。
現在は、エチオピア産のコーヒーを「モカ」と呼び、イエメンのコーヒーを「モカマタリ」と呼びます。
エチオピアのコーヒーは5つの等級に分けられる
エチオピアのコーヒーは、豆300gの中に混入している欠点豆の数によって5つの等級が決まります。
欠点豆とは、上の写真のようにカビが生えていたり、中身が抜け落ちている豆のことです。
- G1:欠点豆0~3個
- G2:欠点豆4~12個
- G3:欠点豆13~27個
- G4:欠点豆28~45個
- G5:欠点豆46~90個
エチオピアコーヒーの産地ごとの違い
エチオピアコーヒーの産地ごとの違いを簡単にまとめました。
種類 | 産地 | 特徴 | 精製方法 |
モカシダモ | シダマ地方と その周辺地域 |
柑橘系フルーツのような風味 | ナチュラル (非水洗式) |
イルガチェフェ | イルガチェフェ | 非常に強いフルーツの香り。 クリアな味わい |
ウォッシュド (水洗式) |
モカハラー (ハラール) |
ハラー地区 | 完熟ぶどうのような甘みと香り | ナチュラル (非水洗式) |
ゲイシャ | ゲシャ村 | ピーチ、アプリコット、ジャスミン、 オレンジ、ストロベリーなどの風味 |
ナチュラル (非水洗式) |
リム | オロミア州 | ラズベリーのような風味。 クリアな味わい |
ウォッシュド (水洗式) |
ジマ | オロミア州 | オレンジのような風味 | ナチュラル (非水洗式) |
モカレケンプティ | ウォレガ地方 | オレンジのような風味 | ナチュラル (非水洗式) |
産地ごとの一番大きな違いは「精製方法」です。
エチオピアコーヒーはナチュラル精製が主流
精製とは、コーヒーチェリーから不要なものを取り除いて、「コーヒー豆」の状態にすることです。
ナチュラルは香りが強く、ウォッシュドはクリアな味になりやすい傾向があります。
エチオピアコーヒーの約70%が水を使わない「ナチュラル」という精製方法を用います。
※お店によっては「サンドライ」「サンドライド」と呼ばれますが、いずれもナチュラルを指します。
一方、イルガチェフェなどの地域では、水を使った「ウォッシュド」という精製方法を用います。
エチオピアのコーヒー品種一覧
エチオピアのコーヒー品種を一覧表にまとめました。
わかりやすく説明すると、エチオピアのコーヒーは野生に近い品種(在来種)と、収穫量増加を目的に開発された「JARC品種」の2つがあります。
一般的に、どちらもまとめて「Heirloom(エアルーム)」と呼ばれます。
品種名 | 特徴 |
野生に近い品種 ・Wolisho(Walichu) ・Kurume ・Dega ・Bedessa ・Kudhumi ・Miqe ・Sawa |
・エチオピアの森に自生している品種 ・このほかにも15000以上の品種があると言われている |
JARC品種 ・ゲイシャ種 ・74シリーズ(74110、74165など) ・Wush Wush(ウシュウシュ) |
・コーヒーの病気と干ばつの耐性を目的に開発された品種 ・74シリーズはカップオブエクセレンス(COE)で上位を独占 ・全部で約40品種ある |
エチオピアのコーヒーセレモニー「カリオモン」とは?
エチオピアでは「カリオモン」と呼ばれる伝統的なコーヒーセレモニーが習慣としてあります。
これは日本の茶道のようなもので、女性がおもてなしを込めて披露します。
カリオモンの流れを簡単に説明すると、水洗いしたコーヒー生豆を鉄鍋に入れて焙煎し、そのあと欠点豆を取り除きます。
次に、豆をすり潰してコーヒーを抽出し、客に提供します。
生豆を焙煎するところからスタートするため、1時間ほどかかる場合もあります。
カリオモンの流れを次の動画で簡単に見れます。
エチオピアではコーヒーに塩を入れる?
エチオピアでは、ブラックコーヒーに塩やバターを入れて飲むことがあります。
エチオピアのカフェでは、注文したコーヒーに塩味のコーヒー液が入った細長いショットグラスが添えられることがあります。
このコーヒー液は、カップに入れた塩にコーヒーを注いだ後、エスプレッソマシンのスチーマーを使い泡立てながら撹拌したもので、スプーンですくって好みの量をコーヒーに入れて飲みます。
コーヒーに塩を入れると、酸味が和らいで飲みやすくなります。
もし、お手持ちのコーヒーが酸っぱくて飲みにくい場合は、一度お試しください。
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香り、コクの強さ、甘みの強さで順位づけをしています。