コーヒーブロガー山口です。
(@yamaguchicoffee)
32,400円のブルーマウンテンを飲んだり、焙煎も行う僕がコーヒー三大原種の1つ「リベリカ種」のシングルオリジンを飲んだので、正直な感想を述べます。
同じコーヒー豆でも抽出に使うコーヒー器具によって味が変化するため、
- ペーパードリップ
- フレンチプレス
- ネルドリップ
上記3つの抽出方法で飲んだ感想をレビューします。
リベリカ種は世界で1%しか流通しない伝説のコーヒー豆
リベリカ種は、アラビカ種やカネフォラ種 (ロブスタ種) と並ぶコーヒーの三大原種です。
起源は1870年頃。まだ世界中でコーヒーはアラビカ種しか存在しない時代に、西アフリカのリベリア共和国で新種のコーヒーノキ「リベリカ種」が発見されました。
その後、スリランカ、インド、インドネシアなどでコーヒーの癌「さび病」が爆発的に流行し、各地でアラビカ種が壊滅的な被害を受けます。
さび病対策としてインドネシアでは当初、アラビカ種の代わりにリベリカ種を植えました。
それから、インドネシア各地で徐々にリベリカ種の栽培が広まっていきます。
リベリカ種のコーヒー豆は、同じインドネシア産の「マンデリン」「スマトラ」などと並ぶくらい大型で見栄えがよく、当初はアラビカ種よりも高価で取引されていたといいます。
さび病に強いことを理由に、東南アジアのフィリピンでもリベリカ種への転換が進み、リベリカ種の栽培は東南アジアを中心に広がります。
しかし、新種のさび病が出現し「リベリカ種の耐さび病性は不完全である」ことが明らかになります。
そんなリベリカ種に変わって植えられたのが、20世紀初頭から生産されていたカネフォラ種(ロブスタ種)です。
英語で「強健な」を意味する"robust"から分かるように、ロブスタ種はコーヒーさび病菌に完全耐性を持ち、かつ標高0〜1,000mの低地でも栽培可能な品種です。
以降、インドネシアで生産されるコーヒー豆の90%以上がロブスタ種になりました。
リベリカ種は現在、東南アジアのフィリピンとマレーシアで細々と生産されていますが、1本の樹から収穫できるコーヒー豆がアラビカ種やロブスタ種よりも少なく生産性が劣るため、全世界で流通量が1%程度と縮小しています。
その1%程度のリベリカ種も、海外へ輸出されることは少なく、フィリピンとマレーシア国内で消費されることがほとんどです。※フィリピンではバラココーヒーと呼ばれて現在でも親しまれています。
「強い」を意味する「Barako」の名のとおり、リベリカ種(バラココーヒー)は強いコクと苦みが特徴です。
日本でリベリカコーヒーを飲める機会は極めて少なく、その希少性の高さから「伝説のコーヒー」とも呼ばれています。
リベリカコーヒーの豆の状態
スクリーンサイズ(コーヒー豆のサイズ)はかなり大きめで、同じインドネシア産の「マンデリン」を思わせる。
土居珈琲のエチオピア イルガチェフェと比べると、リベリカ種は2倍以上の大きさであることが分かります。
焙煎度合いは極深煎り(フレンチロースト)です。
コーヒー豆のローストや焙煎度合い・焙煎方式ごとの味の違いを解説
リベリカ種の味や香りを5段階評価
リベリカ種は苦味が強く、インドネシア産のロブスタ種をストレートで飲んだ時の味に近い印象。
3つのコーヒー器具で飲み比べ
ペーパードリップ、フレンチプレス、ネルドリップの代表的な器具を3つ厳選し、順番に飲んでゆく。
ペーパードリップ
リベリカ種をドリップしている最中、コーヒー液の色が薄いことに気づく。
コーヒー豆16gを使用して抽出していますが、一般的には10g程度なので、かなり多くコーヒー豆を使って抽出していることになる。
この段階で、いつも口にしているアラビカ種との違いを感じはじめた。
早速ひとくち飲んでみると、これまで体験したことのない不思議な香味と、ロブスタ種をストレートで飲んだ時のような野性的な苦味が感じられます。
アラビカ種がいかに繊細できめ細かい味なのかが、この一杯でよく分かります。それほどリベリカ種の味わいは衝撃的です。
かなり強い苦味があるも、後味はスッキリしていて嫌味がなく、特有の香ばしい余韻が長く続く。
次はフレンチプレスで抽出して飲んでみます。
フレンチプレス
ハリオのフレンチプレスで抽出すると、カカオのようなビターな味わいと、ブラジル産コーヒーのようなスッキリしたほろ苦さが感じられます。
ペーパードリップの時よりも野性的な風味が増して、豆本来の味わいがしっかり感じられます。
これまで、フレンチプレスで抽出すると爽やかな味になるコーヒー豆が多かったが、このリベリカはペーパードリップでの抽出と似た味わいが感じられます。
最後にネルドリップで抽出して飲んでみます。
ネルドリップ
伝説の珈琲専門店「コフィア」のネルフィルターで抽出したリベリカを、カップに注ぐ。
伝説同士がいま、コーヒーカップの中で一つになっているのです。
さらに、コーヒー豆を22gに増やして抽出したため、より味の変化を強く感じられるはずです。
さっそく飲んでみると、黒蜜のような甘みが感じられ、苦味はマイルドになり、コクが感じられる一杯に仕上がります。
3つの抽出方法の中でもっとも美味しいコーヒーに仕上がったので、ぜひ読者の方にも試していただきたい。
コーヒー豆の量をこれだけ増やしても、しつこさが口に残ることなく、スッキリした味わいは健在です。
そして、この強い苦味は「ミルクと相性が良いのでは?」と考え、カフェオレにして飲んでみます。
なんと「キャラメルラテ」のような美味しさが口に広がり、これまでで最高に美味しい1杯に仕上がってしまった。
僕は普段コーヒーをミルクを入れて飲むことが少ないが、今後はミルクを常備しておこうと考えるほど、このカフェオレは美味い。
もともとコクが控えめだったリベリカも、ミルクのコクが加わることで濃厚さが生まれ、もともと秘めていた香味が「焦がしカラメル」のような味わいに変化し、コーヒーの甘みをミルクが引き立てています。
リベリカ種のコーヒーを入手する機会があったら、ミルクや豆乳を入れて飲むことを強くおすすめします。
アーモンドミルクも相性抜群でしょう。豆本来の野性的な味わいとミルクの優しさのマリアージュを心ゆくまで楽しめるはずです。
※リベリカ種のコーヒー豆を少量ですが販売可能です。必要な方はDMください(@yamaguchicoffee)。
まとめ
さて、今回は「リベリカ種を飲んだ感想|世界で1%しか流通しない伝説のコーヒー豆」というテーマでした。
リベリカ種は全世界で1%程度しか流通していない希少性から「伝説のコーヒー豆」と呼ばれます。
そんな伝説のコーヒーは、普段飲んでいるアラビカ種とは明らかに異なる野性的な味わいが特徴でしたが、ミルクがお互いを引き立てあって、素晴らしい美味しさを味わうことができます。
このブログでは、日本全国のコーヒー豆をレビューしています。
その中でも特に美味しかったコーヒー豆をこちらで紹介しています。