イエメンのコーヒー「モカマタリ」は、葡萄や花に例えられる香りと甘みが特徴です。
モカマタリは、エチオピアなど有名なコーヒー産地とは大きく異なる伝統的な方法で生産されるため、モカマタリでしか味わえない発酵感のあるフレーバーが楽しめますが、かなり欠点も多いコーヒーとして知られています。
本記事では、モカマタリの特徴とネット通販で買えるおすすめのコーヒー豆を紹介します。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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モカマタリとはイエメンのコーヒー
モカマタリは、イエメンのバニ・マタール地区の農園で栽培・収穫されたコーヒー豆を指します。
イエメンのモカ港から世界に輸出されたことから、イエメンとエチオピアのコーヒーを総称して「モカ」と呼びます。
モカ・マタリの由来は、イエメンで生産されるコーヒー銘柄"バニ・マタール"が変化したものという説もあります。
モカマタリを含み、イエメンで収穫されるコーヒー豆の量は少ないため高値で取引されることが多く、日本でも年々入手が難しくなっています。
モカマタリの特徴
モカマタリは、「熟した果実のような味わい」や「ワインのような香り」と表現され、エチオピアのモカとは明らかに異なる独特の風味があります。
上品な味わいと香りがあるため、「コーヒーの貴婦人」と呼ばれており、日本でも人気があります。
モカマタリが特有のフレーバーを有する理由は、次に紹介するコーヒーチェリーの乾燥方法にあります。
モカマタリはまずい?劣悪と言われる理由
通常、 コーヒーチェリーを乾燥させる際に「パティオ」や「アフリカンベッド」という広い乾燥場を利用しますが、モカマタリを乾燥させる際には、住居の屋根の上で天日干しするのが一般的です。
屋根の上は狭いため、コーヒーチェリーを薄く広げて均一な乾燥状態を保つことができません。結果的に発酵やカビが発生します。
そのため、他の産地では不良品として排除されるようなコーヒー豆もモカマタリには含まれます。これが、モカマタリがまずい、劣悪と言われる理由です。
しかし、モカマタリでしか味わえない熟成感のあるフルーティーな香味は、この乾燥方法でしか生み出せないと言われています。
モカマタリの等級・グレード
モカマタリの等級(グレード)」はコーヒー豆の欠点数によって以下のように決まります。
- アールマッカ(最上級)
- モカマタリNo.9
- モカマタリNo.8
- モカマタリNo.7
- モカマタリNo.6
アールマッカは、大粒で高品質な豆だけを手作業で選別した最高級品で、フルーティーな香りと甘み、ワインのようなコクが特徴です。
日本でよく見かける「モカマタリNo.9」はアールマッカの1ランク下になりますが、欠点が少なく高品質とされています。
ただし、モカマタリはサイズが不揃いで全体として他の銘柄より欠点が多いです。
モカマタリを買うなら中煎りがおすすめ
モカマタリ特有の熟成感のあるフルーティーな香りと甘味は、ハイローストからシティローストの「中煎り」で楽しむことができます。
酸味が苦手な方は、シティローストのモカマタリを選び、甘味と酸味を楽しみたい方は、ハイローストのモカマタリを選びましょう。
深煎りのモカマタリは酸味とフルーティーさが控えめになり、苦味とコクが強調されます。ほのかにフルーティーさを感じられるものの、中煎りのような華やかさ、パワフルな香味は感じにくくなります。
通販でも買えるおすすめのモカマタリ5選
1.モカマタリ アールマッカ
価格 | 860円 |
内容量 | 100g |
焙煎度合い | 6段階から選べる |
まず最初におすすめするのは、ばいせん工房珈琲倶楽部が取り扱う、モカマタリの最高級グレード「アールマッカ」です。
花のような香りとブドウのような甘味が特徴で、モカマタリらしいワインのようなフレーバーをしっかりと味わえます。
焙煎度合いはライト〜フルシティローストの6段階から選べますが、酸味が苦手じゃなければハイロースト、酸味が苦手ならシティローストを選ぶのがおすすめです。
お店おすすめのミディアムでも良いのですが、完熟ブドウのようなコクのある甘味を楽しむなら、ハイロースト以上がおすすめです。
100g単位でお試しできるのも嬉しいポイントです。
2.大山珈琲 モカマタリ No9
価格 | 1807円 |
内容量 | 400g |
焙煎度合い | 3段階から選択可能 |
大阪の自家焙煎店「大山珈琲」のモカマタリNo9は、アナエロビックコーヒーのように強いぶどうのフレーバーがしっかりと感じられます。
注文後に焙煎して届けてくれるので、新鮮で香り高い状態のモカマタリを楽しめます。なお、400gと記載していますが、これは生豆時の量です。焙煎後は20%ほど少なくなるため、実際に届くコーヒー豆は320g前後になります。
とはいえ、100gあたりに換算すると565円なので、モカマタリのなかでは非常にリーズナブルです。この銘柄は丸山珈琲などの有名店で購入すると100g 1000円を超えることもあるため、コスパ重視の人には本品をおすすめします。
楽天での評価数は20件程度ですが、「すごく良い香り」「フルーティー」と肯定的なコメントが多く見られます。
なお、こちらは焙煎度合いを3段階から選べますが、僕は中煎りをおすすめします。大山珈琲の中煎りはシティローストに近い焙煎レベルなので酸味が少なく、どなたにも飲みやすい味わいです。
3.カルディ モカマタリ
価格 | 1998円 |
内容量 | 200g |
焙煎度合い | 浅煎り |
コーヒー豆の半額デーを狙って買いたいのが、カルディのモカマタリです。正直、定価で買うとコスパが微妙なのでおすすめしません。
というのも、これまで紹介した2つのモカマタリより香りが弱いため、飲んだ時の満足度が違ってきます。そのため周年セールなどの半額デーを狙って購入するのがおすすめです。
香りは控えめですが、フルーツのような優しい甘みとコクが特徴です。浅煎りなので酸味はしっかりと感じられますが、突き刺さるような「酸っぱさ」はありません。
4.モカマタリNO.9コーヒールンバ
価格 | 1620円 |
内容量 | 200g |
焙煎度合い | 中煎り |
広島珈琲が焙煎する「モカマタリNO.9コーヒールンバ」は、ほどよい酸味とトーストのような香ばしい香りが特徴です。
突出した味がなく、バランスが良いので、クセのないコーヒーが好きな人におすすめです。
楽天では600件を超える高評価を得ている人気商品です。
5.土居珈琲 モカマタリNO.9
価格 | 1733円 |
内容量 | 100g |
焙煎度合い | 3段階から選べる |
最後に紹介するのが、大阪の自家焙煎店「土居珈琲」のモカマタリNO.9です。
値段はこれまでで最も高級ですが、深みのある味わいとフレーバーの情報量、コクと甘みの強さが段違いです。
オレンジ、完熟ぶどう、ワイン、洋梨、はちみつのような風味と甘みがあり、熟成感のある味わいが感じられるのが他店との違いです。年代物のワインを飲んでいるような気持ちになります。
焙煎度合いはミディアムロースト〜シティローストまでの3段階から選べますが、シティローストをおすすめします。土居珈琲は深煎りが得意なロースターなので、中深煎りのシティまで焙煎を進めても、香りと甘味をしっかりと残します。
苦味は少なく、フルーティーな味わいを存分に楽しめます。
土居珈琲 モカマタリNO.9