今回は、夜コーヒーを飲む4つのメリットとデメリットを解説します。
内容を簡単にまとめると、カフェインには集中力やエネルギーを向上させるのに非常に効果的で、リラックス効果に加え、疲労感も和らぎます。
しかし、夜カフェインを摂取すると睡眠に悪影響を及ぼす可能性があり、さらには太りやすくなる可能性もあります。
ですが、上手に付き合えばメリットも得られるので、飲む時間に気をつけてコーヒーの効果を利用するのがおすすめです。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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夜コーヒーを飲むメリットと4つの効果
これまで寝る前のコーヒーは睡眠に悪影響を与えると考えられてきましたが、近年は夜に飲むコーヒーが睡眠の質を改善してくれると言われています。
ここでは、夜コーヒーにどのようなメリットがあるのかを解説します。
1.ピラジンによる「リラックス効果」
コーヒーには約1,000種類の香り成分が含まれていると言われています。
その中の「ピラジン」という成分には、昂った気持ちをリラックスさせてくれる効果があります。
淹れたてのコーヒーの香りによって、リラックスしている際に出る脳波「α波」が活性化していきます。
その際に気分が和らぎ、ぐっすり眠りにつくことができるメリットがあります。
2.カフェインには疲労感を大幅に減少させる効果がある
ある研究では、カフェインには疲労感を大幅に減少させる効果があることがわかりました。
カフェインが疲労を軽くするとされる理由は、カフェインを摂取することで「ドーパミン」の分泌が激しくなるためです。
ドーパミンは交感神経を刺激し、これによって疲労が緩和されます。
疲れづらいと感じるのもカフェインを摂取するメリットといえます。
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3.血流アップによる疲労回復効果
カフェインを摂取して血管が広がることで、血の巡りが良くなるといわれています。
これがカフェインによる血行改善効果です。
血管が拡張され、血液循環が促進されることで代謝アップなどの効果も期待できます。
血液循環が良くなることで体内にこもった熱が放出される効果や、冷え性の改善も期待できます。
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4.適量の夜コーヒーで朝の目覚めが良くなる場合も
カフェインによる効果・効能は人によって異なりますが、脳の活動を活性化させたり、目覚めた後の仕事のパフォーマンスを上げてくれる心強い味方でもあります。
これは、カフェインが眠気を抑える強い効果を持っていることと関係しています。
コーヒーを目覚めに1杯飲んで、眠気を飛ばす習慣がある方も多いのではないでしょうか。
これがまさしく覚醒効果の一つです。
コーヒーを上手く日常に取り入れるとポジティブな効果を与えてくれ、覚醒作用により集中力や注意力を高めるなど仕事にも役立ちます。
夜コーヒーを飲むデメリット
寝る前にカフェインを含むお茶やコーヒーを摂取すると寝つきが悪くなり、睡眠時間が短く、翌日の目覚めの悪さに繋がってしまうことがあります。
実際にデトロイトのヘンリーフォード病院では、以下3つタイミングにカフェインを摂取させる実験が行われました。
- 寝る直前
- 寝る3時間前
- 寝る6時間前
この結果、どのタイミングに摂取しても入眠までの時間と睡眠の深さに大きな影響を与えることが分かりました。
この実験では、400mgという大量のカフェインを投与しているので、コーヒー1杯に含まれるカフェイン量よりも多いですが、就寝6時間前のカフェイン摂取も睡眠に影響を与えるという結果が出たのです。
就寝前にコーヒーを飲むと睡眠サイクルが乱れ、睡眠不足や不眠症の原因となるなど、身体への悪影響が少なくないのです。
参考文献:Caffeine Effects on Sleep Taken 0, 3, or 6 Hours before Going to Bed
夜コーヒーを飲むと太る?ダイエットとの関係
ストレスホルモン「コルチゾール」が増加する
カフェインは、体の主要なストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌を増加させます。
コルチゾールとは、生命維持に欠かせないホルモンの一つです。
正常に分泌されていれば睡眠中に脂肪や糖分を代謝するため、ダイエットに効果的です。
しかし、コルチゾールが増えすぎると成長ホルモンの働きを阻害して基礎代謝が低下し、脂肪が燃えにくくなります。
また、コルチゾールが過剰になると、インスリンが通常よりも大量に分泌されるようになります。
インスリンには余分なエネルギーを脂肪として蓄える働きがあるため、食事で摂取したエネルギーが脂肪に変わりやすくなります。
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睡眠の質が下がる
質の高い睡眠をとることで、成長ホルモンの分泌が正常に行われて代謝が良くなります。
しかし、多量のカフェイン摂取により寝つきが悪くなり質の良い睡眠がとれなくなった場合、基礎代謝量が変化し、代謝が悪くなり、脂肪燃焼も効果的に行われなくなります。
その結果、太る原因の1つにも繋がってしまうというわけです。
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夜コーヒーを飲みたい場合の対処法
寝室にコーヒー豆を置く
コーヒーにはリラックス効果や睡眠の質を上げ、朝の目覚めをすっきりと良くさせる効果もあるのです。
「コーヒーを摂取するとカフェインによる興奮作用がある」と矛盾しているように思われるかもしれません。
しかし、コーヒーの香りが脳に作用しα波を増やし、リラックス効果を得られることが立証されています。
では、どうすれば飲まずに良い効果を実感できるのでしょうか?
それは、コーヒーの豆そのものを寝室に置き、香りを楽しむことです。
こうすることにより疲労回復効果や筋肉疲労を和らげ、朝の目覚めをよくする効果が得られるのです。
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コーヒーの量は100mlまでに抑える
「単純にコーヒーを飲めばいい」というわけではありません。
100mgのカフェインを就寝前に摂取すると、睡眠障害を引き起こす可能性があるということが食品安全委員会よりオーストラリアの研究結果が発表されました。
実は、100mlでもコーヒーには約60mgのカフェインが含まれています。
しかし、この量なら体内にカフェインが残留しにくいため、眠れなくなる心配はほとんどないようです。
ただ、これ以上摂り過ぎると利尿作用も強くはたらき、夜中にトイレに行く回数が増えて睡眠時間をしっかりと確保できなくなる可能性もあるので注意が必要です。
ホットコーヒーで飲む
コーヒーの香りを最大限楽しむためにも、ホットコーヒーを飲むといいでしょう。
寝る前に氷をたっぷり入れたアイスコーヒーを飲むのはカラダを冷やし、眠りの質も下がってしまうのでおすすめできません。
ミルクをたくさん入れる
カフェインが適量であれば眠りに良い効果をもたらしてくれますが、摂りすぎはNG。
チョコレートなどカフェインが含まれている食べ物と一緒に飲んだり、大きなカップで沢山飲んだりするとカフェインの摂りすぎになってしまう恐れがあります。
ミルクを入れてカフェオレにするなどしましょう。
ミルクには、睡眠を促進するセロトニンの原料となる「トリプトファン」が豊富に含まれています。
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時間をかけて飲む
寝る前に淹れたコーヒーはゆっくりと“香り”を楽しみながら飲むのがおすすめです。
香りをしっかりと堪能することで、リラックス効果が更に高まります。
また、飲み過ぎを防止するためにも、1杯のコーヒーをゆっくりと味わって飲むようにするといいでしょう。
デカフェやカフェインレスコーヒーを飲む
ポストコーヒーデカフェ チルブレンド(225g 1,480円)
コーヒーが大好きな私たちは、夕方や夜になってもコーヒーを求めてしまいます。
一日仕事を頑張った後だからこそ、大好きなコーヒーをゆっくりじっくりと淹れて、ほっと一息吐くことで心が安らぐ効果がより得られます。
そういう時には、デカフェ(カフェインレスのコーヒー)を飲むことをおすすめします。
カフェインを99.9%除去してあるので、睡眠に影響を及ぼしません。
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カフェインを摂取すると寝れない理由
カフェインを摂取すると寝れない理由は、興奮作用があるカフェインと睡眠物質「アデノシン」が関係しています。
疲労によって体内で生成されるアデノシンが「アデノシン受容体」に結合すると、覚醒作用がある「ヒスタミン」を抑制して睡眠欲求を高めます。
しかし、カフェインがアデノシン受容体に結合してしまうことで、アデノシン自体の結合を阻害します。
こうなるとアデノシンは結合できない(作用しない)ため、覚醒作用があるヒスタミンも抑制されず、結果的に眠気を感じにくくなります。
夜コーヒーを飲むメリットとデメリットまとめ
カフェインにはポジティブな性質とネガティブな性質の両方があります。
集中力、エネルギーを向上させるのに非常に効果的です。
リラックス効果に加え、筋肉疲労も和らぎます。
しかし、毎日大量のカフェインを夜に摂取すると太りやすくなる可能性や、睡眠に悪影響を及ぼす可能性もあります。