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コーヒーの豆知識

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーコーヒー豆の概要をまとめました。

地域 南アメリカ
サンマルティン県・フニン県・カハマルカ県など
味わい・香り バニラ、チョコレート、ナッツ、柑橘など
コーヒー生産量 世界第9位(231,300トン)
※2021年のデータ
栽培品種 アラビカ種100%
ティピカ、カトゥーラ、ブルボン、カトゥアイなど
精製方法 ウォッシュド、ナチュラル、ハニー

ペルーのコーヒー豆は浅煎りや中煎りだと柑橘系の酸味と甘みが感じられます。

深煎りだとナッツ、カカオのような香ばしい甘味と、チェリーのような風味をほどよく感じます。

焙煎度合いによっても味が変わりますが、ペルーのコーヒーは生産地域によっても味がかなり変わるのが特徴です。

ブログ管理人:山口 誠一郎

コーヒーの専門家としてTV出演文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。

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ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーコーヒー豆の特徴

カッピング評価87.5点を獲得したペルーのコーヒー豆(200g 1,445円)

ペルーのコーヒー豆は、ティピカなど古くからの品種が多く柑橘系の酸味と優しい甘みが特徴ですが、栽培される地域によって異なる味わいが楽しめます。

ペルー北部と南部のコーヒーはチョコレートやキャラメルなどの風味をもち、中部のコーヒーは柑橘系のフレーバーを持ちます。

ペルーは世界一のフェアトレードコーヒー生産国

ペルーは世界一のフェアトレードコーヒー生産国であり、世界第2位の有機栽培コーヒー生産国(輸出国)です。

コーヒーを栽培するほとんどは小さな農家ですが、「協同組合」の設立によって品質アップと持続可能な栽培を可能にしました。

ペルーコーヒーの有名な銘柄(種類)

マチュピチュ

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーマチュピチュ(150g 1,083円)

「マチュピチュ」は、その名の通り古代インカ帝国の「マチュピチュ遺跡」があるクスコ県で栽培された銘柄です。

標高1,700~2,400mという高地で栽培されたコーヒー特有のすっきりした柑橘系の酸味が特徴で、バニラを思わせる甘味とのバランスも良く、優しい口当たりです。

ティピカカトゥーラブルボンなど古くからの品種が多く植えられていますが、標高が高いため病害虫の被害を受けにくいというメリットがあります。

チャンチャマイヨ

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーチャンチャマイヨ(200g 1,166円)

「チャンチャマイヨ」はペルーの中部フニン県にある生産地が銘柄名になっています。

重厚なコクと苦みの中にハーブのような香り、りんごのような甘みが調和し、なめらかな舌触りが特徴です。

ペルー全体の生産量の4割を占める一大産地です。

アンデスブルー

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーアンデスブルー(400g 1,458円)

「アンデスブルー」は北部の主要産地カハマルカ県クテルボ郡ラ・カピージャ地区で生産された銘柄です。

ここで生産されたコーヒーは、マイルドな柑橘系の酸味と糖蜜のような甘みが特徴です。

1,500~1,850mという標高の高い場所で、栽培期間中は化学農薬・化学肥料を使わずに持続可能な農業が行われています。

ウチュニャリ

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーウチュニャリ(100g 5,400円)

「カフェ・ウチュニャリ」とは、コーヒーチェリーを食べたハナグマ(現地語でウチュニャリ)の糞の中から取りだして精製したコーヒー豆のことです。

ペルー南部のあるコーヒー農園で放し飼いにしていたハナグマがコーヒーの実を好んで食べるようになったことが「カフェ・ウチュニャリ」の始まりです。

苦みや雑味がなく飲みやすいという人もいれば、「味気ない」と感じる人もいるので、味わいの評価は賛否両論です。

しかし、米国では100gあたり140ドル(約18,500円)で販売されている希少価値の高い銘柄です。

関連:世界一高価なコーヒー豆「コピルアク」の感想を正直にレビュー

ペルーの有名なコーヒー農園

ホセ・オラヤ組合

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーホセ・オラヤ組合(150g 1,083円)

ホセ・オラヤ組合は、マチュピチュ遺跡よりさらに北西にある協同組合です。

標高1,700~1,800mの高地で完全無農薬・有機肥料によるオーガニック栽培を行っています。

バナナやマンゴーなどのシェードツリーを植えて、収穫量よりも鳥や昆虫など野生生物との共存を優先し、持続可能な栽培環境を保っています。

COCLA生産者協同組合

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーCOCLA生産者協同組合「モンターニャベロニカ」(200g 1,080円)

COCLA生産者協同組合は、21の小規模な協同組合をまとめる組合で、合計3,500の有機栽培農家を代表しています。

マチュピチュ遺跡の城塞近くに位置しますが、カバーする生産地が広いため、コーヒーの味わいも様々です。

技術支援、品質管理などを担い、特に有機栽培での病気の予防に力を入れています。

ペルーコーヒー豆の等級(グレード)

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーSHB/ポストコーヒー(225g 1,480円)

ペルーのコーヒー豆の等級は、標高と欠点豆の数で決まります。

一般的には以下のようにグレードが表記されています。

  • SHB(Strictly Hard Beans):標高1350m以上(最高等級)
  • HB(Hard Beans):標高1200 ~ 1350m

ペルーコーヒーの品種

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーティピカ・カトゥーラ・ブルボン(225g 1,480円)

ペルーのコーヒーは7割を占めるティピカなど、古くからある美味しいコーヒー品種が多く栽培されています

ティピカ 生産量の7割を占め、特に南部で多く植えられている。
カトゥーラ 生産量の2割を占める。ブルボンの突然変異でできた品種。
ブルボン 豊かなコクと上品な甘みが特徴。
 カティモール ハイブリッド・ティモールとカトゥーラの交配種。病気への耐性がある。
 カトゥーイ カトゥーラとムンドノーボをかけ合わせた品種。病害虫に比較的強い。
 ムンドノーボ ティピカとブルボンの交配種。
 パチェ グァテマラで発見されたティピカの突然変異種。
 パカマラ エルサルバドルで選別されたパーカスとマラゴジッペの交配種。

上記のように、おいしさに定評があるコーヒー品種が多いです。

しかし、ペルーの農家は貧しいため、古くなったコーヒーの木の植え替えができず、コーヒーの大敵ともいえる「さび病」が流行した際には甚大な被害を受けました。

そのため、ペルー政府は今後、若い木への植え替えや耐病性のある品種の導入を目指しています。

ペルーの変わったコーヒーの飲み方

ペルーコーヒー豆の特徴

出典:trippingovertheworld

ペルーには独特のコーヒーの飲み方があります。

カフェなどでコーヒーを注文すると、お湯の入ったカップ、コーヒー液の入った小瓶が出され、お客が自分でお湯にコーヒー液を注ぎ、好みの濃度になるまで調節して飲みます。

コーヒー液は、ドリップした際に最初に抽出される「濃厚なコーヒー」です。

そのため、抽出の後半で出る「苦み」や「複雑さ」があまり感じられず、すっきりした味になります。

この飲み方のメリットは、コーヒーを温め直す必要がないということです。

コーヒー自体を温め直すと風味が変わってしまいますが、ペルー式の淹れ方なら、作り置きしても風味を損なわずに飲めます。

ペルーコーヒー生産量の推移

ペルーコーヒー豆の生産量は231,300トンで世界第9位です。※2021年のデータ

生産年度 生産量(t)
2021年 231,300
2020年 229,020
2019年 230,160
2018年 255,780
2017年 256,740
2016年 253,380

出典:国際コーヒー機関(ICO)統計資料

生産地域

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーのコーヒー産地は国の中央を貫くアンデス山脈の東側斜面に広がり、コーヒーは標高600~1800mの場所で栽培されます。

コーヒー生産地域の75%は標高1,000m以上の高地に位置します。

産地ごとの味わいを簡単にまとめました。

北部 生産量第1位のサンマルティン県、生産量第3位で「アンデスブルー」が有名なカハマルカ県・ピウラ県・アマゾナス県など。チョコレート・バニラやキャラメルの甘みが特徴。
中部 生産量第2位のフニン県をはじめパスコ県・ワヌコ県など。柑橘系の果実味やマイルドな酸味が特徴。
南部 標高が高く、ティピカなどデリケートな品種の栽培が多い。南部のコーヒーは「マチュピチュ」が有名。他にプーノ県・アヤクチョ県。チョコレートと果実味が特徴。

市場価格の推移

ペルーコーヒー豆の市場価格の推移は以下の通り。

生産年度 1kgあたりの価格
2019年 2.74米ドル
2018年 2.61米ドル
2017年 2.89米ドル

参考:selinawamucii

ペルーにとって、コーヒー豆は農産物輸出額の4分の1を占める重要な作物です。

政府は有機栽培やフェアトレード認証により差別化する戦略を取り、技術の近代化により品質を高めました。

この戦略によって国際市場での競争力も上がり、現在では世界第2位の有機栽培コーヒー・フェアトレードコーヒー輸出国となりました。

カッピングスコアに基づく価格設定が増えていて、農家の手取り額にも変化が起きています。

農家の30%が加入している協同組合の多くはフェアトレード認証済です。

コーヒー専門家
小さな農家は、協同組合に入ることで高い価格を請求できるようになり、不利な取引から保護されるメリットがあります。

しかし、残り70%の農家は市場価格に見合った手取りを受け取れず、借金を抱えることもあります。

ペルーコーヒー豆の特徴

貧しさから農薬や肥料が購入できず、必然的に有機栽培となっている地域もあります。

病害虫や気候変動に弱いコーヒーは、病気の木や老木を植え替える作業が必要ですが、約40万円の費用がかけられず10~20年も先送りにしている農家が8割以上です。

道路も未整備で、長時間歩いてコーヒー豆を運んでいます。

ペルーコーヒー豆の特徴

そのため、非効率なコーヒー栽培をやめてコカイン栽培を始める農家もあるほどです。

コーヒー専門家
ペルー政府はコーヒー農家に資金の貸し付けなどをして、2030年までに効率と所得をアップさせる対策をしています。

ペルーコーヒーの歴史

ペルーコーヒーの歴史を簡単にまとめました。

1700年代 ペルーで初めてコーヒーの木が栽培される
1800年代 世界の主要コーヒー産地が「さび病」の被害を受け、ペルーは代替産地として着目される
1900年代 英国の「ペルー会社」により本格的なコーヒー輸出が始まる
第二次大戦後 英国は農地を地元に売却したが、ヨーロッパ系の経営者が先住民の労働者を搾取する構造が生まれる
1960年代 協同組合が始まり、小さな農家でもスペシャルティコーヒー市場へのアクセスが可能になる
1990年代 農業省は有機栽培とフェアトレード認証による差別化を戦略とし法整備を進める
ペルーコーヒーの歴史を詳しく見る

ペルーコーヒー豆の特徴

ペルーのコーヒーの歴史は植民地支配の歴史と重なります。

スペインが植民地支配を進める中で南米に持ち込まれたコーヒーが18世紀半ばに、エクアドル経由でペルーに伝わりました。

19世紀にかけて生産が拡大したコーヒー農園では、先住民やアフリカから奴隷として連れてこられた人々が過酷な労働を強いられました。

1854年に奴隷制が廃止されると、労働者不足から、今度は中国人が移民という名目でペルーに送られ強制労働をさせられました。

19世紀後半に、世界の主要コーヒー産地が「さび病」の被害を受けると、ペルーは代替産地として着目されます。

ペルーコーヒー豆の特徴

コーヒーのさび病

その後、英国の「ペルー会社」により本格的なコーヒー輸出が始まりましたが、搾取は続き、先住民の反乱が繰り返されました。

第二次大戦後、英国は農地を地元に売却しましたが、ヨーロッパ系の経営者が先住民の労働者を搾取する構造が生まれました。

1960年代に発足した軍事政権による農地の再分配は失敗に終わりましたが、協同組合が始まるきっかけになりました。

協同組合の最大の成果は、小さな農家でもスペシャルティコーヒー市場へのアクセスが可能になったことです。

1990年代から農業省は、有機栽培とフェアトレード認証による差別化を戦略とし法整備を進めています。

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ペルーコーヒー豆の特徴

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