今回は、蔵前のカフェ「蕪木(かぶき)」というお店のコーヒー豆を通販で購入して飲んだので、正直な感想をレビューします。
同店はブレンド、ストレートあわせて5種類ほどのコーヒー豆を取り扱い、値段は100g800円からの販売となっています。
蕪木は焙煎したコーヒー豆の販売に加えて、チョコレートの製造販売も行っています。併設の喫茶室ではコーヒーとチョコレート、それにあわせた酒類も楽しめるのが特徴のお店です。
今回は、蕪木を代表する定番ブレンド「オリザ」と 2種類のストレートコーヒー「モカ・シェカ 」「モカ・ヤンニハラール」のレビューをします。
著者のプロフィール
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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蕪木(かぶき)とは
有名コーヒーロースターが多い蔵前で、「東京の名店」とまで言われる蕪木は、ネルドリップコーヒーを提供するお店。
蕪木の読み方は(かぶき)といいます。オーナーの苗字をそのまま店名にしている形になります。
蕪木は、チョコレートメーカーで勤務されていたオーナーの蕪木祐介さんが、ダークな木のテーブルを配した静けさに満ちた空間で、自家焙煎コーヒー豆を提供します。
ブレンド、シングルオリジンともに使用するコーヒー豆はエチオピアがメイン。
餡やチョコレート、ケーキなどしっかりした質感のデザートとの相性を考えて、蕪木では中深煎り(シティロースト)から深煎り(フルシティロースト)のコーヒー豆をおもに提供します。
蕪木のコーヒー豆3種類のレビュー
珈琲 「オリザ」
価格・容量 | 900円/100g |
コーヒー豆の産地 | 記載なし |
コーヒー豆の品種 | 記載なし |
農園の標高 | 記載なし |
精製方法 | 記載なし |
豆の等級・グレード | 記載なし |
焙煎度合い | 中深煎り |
蕪木のコーヒー豆「オリザ」はお店を代表する看板ブレンドですが、コーヒー豆に関する情報はほとんど公開されていません。
コーヒー豆は焙煎してから間もないものを週末(木〜土)に発送してくれるので鮮度は非常に高いですが、それ以外のブレンドの配合などは公式ホームページにも記載がありません。
オリザについて、公式ホームページでは次のように紹介されています。
ブレンド珈琲『オリザ』
独特の華やぎと鮮やかな味わい。
甘く、豊かな余韻。
凛とさせる輝きと美しさ。力強さはありません。
程よく明るい印象を持ち、軽めに淹れていただくと、華やかさが引き立ちます。朝の一杯にも好適で、清々しく、とても気持ちの良い珈琲です。ー「オリザ」とは稲の学名。
秋に黄金色に輝く田園風景の美しさや、恵みの象徴である稲穂。そんな美しい珈琲を作りたいと思いました。引用:蕪木
コーヒー豆を5段階評価 | |
香り:4.5 | |
コク:4.1 | |
苦味:3.1 | |
甘味:3.5 | |
酸味:3.1 |
オリザをペーパードリップすると、深煎りコーヒーらしいローストナッツのような香ばしい香りと、モカのような華やかな香りが感じられます。
また、コーヒー粉もフワッとドームのように大きく膨らみ、豆の鮮度が良いことを示しています。
早速飲んでみると、ピーチのような甘くてジューシーな味わいが感じられ、モカ特有のワインのようなフレーバーが鼻から抜けていきます。
透明感のあるクリアな苦味で後に残らずキレが良いです。
苦味が突き刺さる感じが一切なく、優しさと上品さを感じるコーヒーという印象です。
飲み進めていき、コーヒーの熱が落ち着いてくると、モカ華やかなフレーバーがより一層際立ちフルーティーさが増す。
スペシャルティコーヒーのような複雑なフレーバーを持ちながらも、コーヒーらしい香味も兼ね備えるため、どんな人にも「おいしい」と言って貰えそうな味わいが感じられます。
熱がさらに冷めると、黒糖のような香りがカップの中から感じられ、芳醇な甘みが口に広がる。
温かいうちのオリザももちろん美味しいが、冷めてからもひと味違う美味しさが感じられます。
1杯で2度おいしい、そんなコーヒー豆でした。
珈琲 「モカ・シェカ 」
蕪木のコーヒー豆 「モカ・シェカ 」の基本情報は次のとおり。
価格・容量 | 900円/100g |
コーヒー豆の産地 | エチオピア シェカ・マシャ MOPLACO社 |
コーヒー豆の品種 | エチオピア原種 |
農園の標高 | 1900m-2100m |
精製方法 | ナチュラル |
豆の等級・グレード | 記載なし |
焙煎度合い | 深煎り |
モカ・シェカについて、公式ホームページでは次のように紹介されています。
エチオピア西部に広がる野性の珈琲原生林から収穫した珈琲。
品格のある苦味の中に、エキゾチックで華やかな香りが感じられます。珈琲の原産地エチオピアには、手付かずの珈琲の野性の森が点在しています。2018年に初めて訪れた珈琲の原生林。そこは珈琲農園の景色とは全く異なる景色が広がっていました。
苔むした珈琲の木々が静かに、そしてどこか神々しく広がる森。木々に実った果実は、自然と土壌に散り、そして芽生える。人の手も加えられることなく、脈々と命が受け継がれてきた珈琲の森です。
焙煎して、抽出した風味はどんなものだろうか。一歩一歩、歩みを進めながら、そんなことを想っていました。
その夢を叶えさせてくれたのが、モプラコ社のエレアンナさん。伐採が進む貴重な珈琲の森を守るために森を買い取り、野性の珈琲の潜在的な力に加えて、彼女の情熱と技術をつぎ込まれて収穫、加工された珈琲豆です。引用:蕪木
コーヒー豆を5段階評価 | |
香り:3.4 | |
コク:3.1 | |
苦味:2.2 | |
甘味:3.2 | |
酸味:3.1 |
モカを深煎りにローストした「モカシェカ」はオリザほどの華やかさはないものの、ワインのような香りとカカオのような香りが感じられます。
早速飲んでみると、ビターチョコレートのような甘みとカカオのようなほろ苦さが感じられます。
モカらしい華やかな風味がガツンと鼻を抜けていく感じではなく、あくまでコーヒーらしい香味がメインの味わい。
若者から年配の方までどんな人にも愛されそうなコーヒーという印象。
舌触りがなめらかで、本当にチョコレートを舐めているかのような感覚。コクのあるコーヒーが好きな人におすすめの銘柄です。
珈琲 「モカ・ヤンニハラール 」
蕪木のコーヒー豆 「モカ・ヤンニハラール 」の基本情報は次のとおり。
価格・容量 | 850円/100g |
コーヒー豆の産地 | エチオピア ハラール |
コーヒー豆の品種 | エチオピア原種 |
農園の標高 | 1500m~1800m |
精製方法 | ナチュラル/サンドライ |
豆の等級・グレード | 記載なし |
焙煎度合い | 深煎り |
モカ・ヤンニハラールについて、公式ホームページでは次のように紹介されています。
濃厚なコクと苦味の中に佇む蜜のような甘み。どっしりと沈み込む味わい。少し濃く抽出すると、良さがより発揮されます。
エチオピアハラール地域、樹齢80年以上の古木の残るジェルジェルツーの村から収穫された珈琲豆。ゴールデンビーンズと呼ばれる生豆の状態で黄金色に輝く豆を多く含んでいます。
ー私にエチオピア珈琲の奥深い魅力を伝えてくれたエレアンナさん。彼女はエチオピア珈琲商社MOPLACO社の代表であり、農園や精選所も管理しています。
「ヤンニ」とは、彼女のお父さんで前社長の故ヤンニさんの名前から取ったもの。とても愛着を持って使っている珈琲豆です。引用:蕪木
コーヒー豆を5段階評価 | |
香り:4.1 | |
コク:3.1 | |
苦味:3 | |
甘味:2.4 | |
酸味:1.3 |
深煎りに仕上げた「モカ ヤンニ ハラール」。
ダークローストらしい香ばしい香りがドリップした瞬間あたりに広がる。
早速飲んでみると、透き通るようなクリアな苦味が印象的。
苦味と呼ぶべきか、香味と呼ぶべきか。深煎りなのに苦さをまるで感じない。
モカの華やかなフレーバーは深煎りでも健在で、非常に上品な香りを放っています。
ほどよいコクと甘みがあり、味全体のバランスが美しく整っています。
酸味もほんのわずかに感じられ、このわずかな酸味が味に品をもたらしています。
この深煎りコーヒーは豆を焦がしている感じが一切なく、非常に完成度が高い逸品。
クリアな味わいの深煎りモカを試してみたい人におすすめのコーヒー豆です。
蕪木のコーヒーの特徴
今回レビューしたオリザなどのコーヒーは、もちろん蕪木の店頭でも飲むことができます。
カフェで飲むコーヒーの特徴は、コーヒー豆を25gを使って110cc、35g220ccを抽出すること。
一般的な喫茶店やカフェでは豆12g使って150ccを抽出するので、だいぶ濃いレシピです。
※今回のレビューでは15gを使って150ccを抽出しました。
しかも、蕪木ではコーヒーをまろやかにする「ネルドリップ」という方法で抽出します。
▲ネルドリップしたコーヒーは、豆に含まれる油脂分(コーヒーオイル)を楽しめるのが特徴
蕪木のレシピは北海道の名店「森彦」に似ているので、あれくらい濃厚でまろやかな舌触りのコーヒーが好きな人なら気に入りそうです。
FAQ(よくある質問)
Q:コーヒー豆が美味しく飲める期間はどれくらいですか?
A:コーヒー豆は焙煎して3日後から2週間が最も「香り」「風味」が強く感じられる傾向にあります。時間が経つと香り成分が揮発しますが、品質上は2ヶ月ほど経過しても全く問題ありません。
Q:ほかのコーヒー豆でおすすめはありますか?
A:「【2024年版】本当に美味しいコーヒー豆おすすめランキング20選」で紹介しています。
蕪木のコーヒー豆の感想を忖度なしでまとめると
今回は、蔵前のカフェ「蕪木」というお店のコーヒー豆3種類を飲んだ正直な感想をレビューしました。
総評すると、コーヒー豆の鮮度が非常によく、豆も粒が揃っていてどれも綺麗でした。
実際に飲んでみると、深煎りながらもガツンとくる苦味がなく、華やかな風味とのバランスが絶妙でした。
3種類の中でも、個人的に一番おすすめのコーヒー豆は「オリザ(100g 900円)」です。
苦味と酸味のバランスが良く、モカを思わせる華やかなフレーバーと香味のバランスが非常に良いです。
2種類のモカも美味しかったですが、それよりも断然おいしいと僕は感じました。
蕪木でコーヒー豆を購入するなら、まずはオリザから試すことをおすすめします。