自宅で簡単にコーヒー焙煎できる「Sandbox Smart R2 Coffee Roaster(サンドボックススマートロースター)」をレビューします。
結論から言うと、スペシャルティコーヒーを焙煎したい人には強くおすすめできる機種です。
1つ前の機種「R1」との比較になりますが、ドラムの出し入れをしている間に釜の温度が下がってしまう問題がクリアされているため、より豆の個性的なフレーバーを出しやすくなっていることがR2の最大の特徴だと感じました。
※投入温度が高い方が豆本来のフレーバーが出やすい。浅煎りにおいて投入温度は重要な指標になる。
スマホ操作でコーヒー焙煎できるSandbox Smart R2 Coffee Roaster
炒り具合に関しても上記のように、 フライパン焙煎や手鍋焙煎と比較して煎りムラが少ないです。
焙煎する際の操作も簡単で、アプリを立ち上げてスマホで数タップすれば焙煎できるので、何かを覚えたりする必要がありません。
チャフでコンロ周りが汚れることもなく、音も驚くほど静かなのでアパートやマンションでも難なく使えます。
家庭用の小型焙煎機としては最強レベルに使い勝手が良く、焙煎の自由度も高いので、あらゆるコーヒー豆を好みの味に仕上げられるのが大きなメリットだと感じました。
これといったデメリットはありませんが、強いて言えば値段が30万を超えるので、R1と悩む人も多いと思います。
正直、マイルドな味が好きな方や深煎りコーヒーが好きな方は10万円で買えるR1でも良いと思います。(仕上がりの味に大きな差がない)
ただし、1度に焙煎できる量は100gしかない、ドラムの出し入れが面倒、フレーバーの複雑さを出しにくいのが懸念点です。
まずはR2の特徴や基本情報を解説し、実際に数バッチ焙煎して感じた正直な感想も書いていきます。
Sandbox Smart R2 Coffee Roasterとは
Sandbox Smart R2 Coffee Roasterとは、クラウドファンディングサイト「Makuake」にて6,000万円を集めた小型焙煎機「R1」の次世代機です。
スマホ用の専用アプリとR2をBluetoothで接続し、数タップするだけで自宅焙煎できるのが特徴です。
1年前に登場した「R1」は、一度に焙煎できるコーヒー豆の量が最大100gでしたが、R2は最大550gまで焙煎可能です。
家庭用としてはもちろん、小規模の自家焙煎店でも使えるスペックです。
▼Sandbox Smart R2 Coffee Roasterのスペック
- 焙煎量:200g〜550g
- 出力:900W
- 動作音:65db
- 電熱線方式:石英電熱直火式
- 回転数:最大90rpm
- 接続:Bluetooth
- サイズ:38×32.8×27.5cm
- 重量:12kg
- 同梱品:メンテナンスブラシ、トレイ、電源ケーブル、ミトン、工具
焙煎方式は「電熱直火式」で、コーヒー豆本来の香りや特徴を引き出しやすい特徴があります。
Sandbox Smart R2レビュー
エチオピアのコーヒー豆200gを浅煎り、中煎り、深煎り、極深煎りの4パターンで焙煎します。
Sandbox Smart R2は専用アプリで操作するので、使用前にアプリをダウンロードします。
専用アプリ「Sandbox Smart」を起動したら左上のペアリングをタップします。
ペアリングをタップ
スマホのBluetoothと位置情報をオンにして「デバイスを探す」をタップ
デバイスが見つかると画面に表示される。タップすればペアリング完了
これで焙煎の準備OK。次は釜を予熱します
▲アプリのトップ画面に戻り、右上の「曲線データベース」タップ
一番上の「プリセット曲線」をタップします。
アドバンス曲線、コンペティション曲線とは、Sandbox Smart社内の焙煎大会で優勝したプロファイルなどを使用できます。
Sandbox Smart R2のプリセット曲線では浅煎り、中煎り、深煎りの3パターンから選べます。
まずは200gのコーヒー豆を浅煎りにします。
▲本体のボタンを押すと予熱をスタートします。
▲1分ほどで予熱完了。
▲コーヒー生豆を投入
▲焙煎スタート。
浅煎りにする場合、使うボタンは「第1クラック(1ハゼ)」と「焙煎停止」のみです。
焙煎にこだわる方は、ドラムの回転スピードを変更したり火力を調節したり自分好みにアレンジできます。
今回はアレンジなしで焙煎します。
アプリに温度曲線やRoR(温度上昇率)、TP(ターニングポイント)、第1クラック、第2クラックなどが表示されます。
基本的に全自動焙煎なので、自分で何か操作して温度上昇率を上げるとか、そういうことは必要ありません。
焙煎を進めていくと「パチン」とポップコーンが弾けるような音がします。
これが第1クラック(1ハゼと呼ばれます)なので、この音が聞こえたらアプリの「第1クラック」をタップします。
すると、焙煎停止までのカウントダウンが始まり、時間になれば自動的に停止します。
焙煎しない方にとっては聞き慣れない用語ばかりで不安になるかもしれませんが、専門知識がなくても全く問題なく焙煎できます。
焙煎が完了したら、軍手や付属のミトンを装着し、トレイを開けて豆を取り出します。
多少ムラは見られますが、全体的にかなり綺麗に焼けています。
焙煎したコーヒー豆を実際に飲んでみると、エチオピアらしいフルーティーな味が感じられ、花のような風味が印象的です。
ほどよい苦味とオレンジのような甘酸っぱさが感じられます。
正直、お店で購入するエチオピアコーヒー豆と遜色ない美味しさです。
焙煎の知識が一切なくても簡単に焙煎できて、味も美味しい。
Sandbox Smart R2は個人的に文句ナシの1台です。
▲焙煎履歴もアプリ上で閲覧できます。
続いて中煎り、深煎り、極深煎りで焙煎しました。
いずれの焙煎度合いも均一に加熱されており、煎りムラがほとんどありません。
Sandbox Smart R2の有料プロファイルも使ってみた
先ほど軽く触れましたが、Sandbox Smartシリーズではプリセット曲線のほかに「アドバンス曲線」「コンペティション曲線」も用意されています。
月額99ntドル(月額およそ430円)でこれらの焙煎プロファイルを使用できます。
▼用意されているプロファイルの一例
- コロンビア ウォッシュド中煎り・深煎り
- コロンビア 嫌気性発酵 ナチュラル 中煎り
(アナエロビック ファーメンテーション) - コスタリカ ハニープロセス浅煎り・中煎り
- コスタリカ 嫌気性発酵 ナチュラル 中煎り
(アナエロビック ファーメンテーション) - シダモ ナチュラル浅煎り・中煎り
- イルガチェフェ ナチュラル浅煎り・中煎り
- イルガチェフェ ウォッシュド浅煎り
- ガヨマウンテン ウェットハリング中煎り・深煎り
- ベンチマジゲシャ ナチュラル浅煎り・中煎り
プリセット曲線の「浅煎り」と、アドバンス曲線の「イルガチェフェ ウォッシュド浅煎り」で味がどう違うのか?
実際にVIPプランに課金して味を比較しました。
プリセットの浅煎り
アドバンス曲線(有料プロファイル)
焙煎曲線は上記のような感じです。
有料課金したプロファイルでは、温度が一旦グッと下がっていないことがわかります。
一般的にこのようなカーブを描くときはフレーバーが引き立ち、酸味が強く出ます。
▲プリセット曲線で焙煎した豆
▲アドバンス曲線で焙煎した豆
見た目はどちらも変わらず、いずれも均一に焙煎されています。
翌日、2つを飲み比べました。どちらも紅茶のようなフレーバーで美味しいですが、
プリセット曲線:甘みが豊か。
(マイルド。万人受けする美味しさ)
アドバンス曲線:味に奥行きがある。甘み、香味、果実味が複雑に絡み合っています。
(豆のフレーバーがはっきりと感じられる)
このような違いがありました。
アドバンス曲線は、その豆に最適なプロファイルで焙煎するため、豆の個性を引き出しやすい印象です。
そのため、豆の個性が出やすいシングルオリジンや、高品質なスペシャルティコーヒーを焙煎する場合に向いていると感じました。
Sandbox Smart R2のデメリット
焙煎完了後の豆が飛び散る
人によっては気にならないかもしれませんが、焙煎豆を取り出す際に豆が全部トレーに入らず、散らばることがあります。
ここはSandbox Smart R2の改善点かもしれません。
深煎りだと煙は普通に出る
Sandbox Smart R2でフルシティ〜フレンチロースト程度の深煎りにすると、これくらいの煙が出ます。
換気扇を回せば問題ないレベルですが、 フライパン焙煎や手鍋焙煎と比較して、特別煙が少ないということはありません。
気になる方は、卓上吸煙器「F1」も一緒に導入することをおすすめします。
Sandbox Smart R2のメリット
豆の出し入れが簡単
▲R1は余熱完了後、生豆を入れたドラムを挿入する流れだった
▲R2は本体上部から投入できる
R1はドラムを取り出して生豆を入れましたが、Sandbox Smart R2は本体の上部をパカっと開けるだけで簡単に生豆を投入できます。
ドラムを取り出す必要がないので、予熱した釜の温度が下がりすぎず焙煎できます。
ちなみに、投入温度が低い(じっくり焙煎)とマイルドな味になりやすく、投入温度が高い(素早く焙煎)だとシャープな味になりますがフレーバーが出やすいです。
一回で200g〜550gのコーヒー豆が焙煎できる
Sandbox Smart R2は1度で最大550gのコーヒー豆を焙煎できます。
正直、最大の焙煎量が100グラムだと1週間持たない方もいると思いますが、550gあれば1ヶ月楽しめるので手間は省けますね。
一応100gでも焙煎できる
いろんな種類のコーヒー豆をちょっとずつ焙煎したい方もいると思うので、試しに100g焙煎してみましたが、問題なく焼けました。
マニュアルには200g〜となっているので何かあった場合は自己責任ですが、一応100gでも問題なく綺麗に焙煎できます。
焙煎中の音が本当に静か(65dB)
Sandbox Smart R2から発生する音は65デシベルで、これは普通の会話と同じくらいと言われています。
実際に使った感想としてはコーヒーメーカーを使っているときの音や、電気ケトルでお湯を沸騰させている時の音と同じくらい。
思っていたよりも静かです。夜でも「焙煎しよう」って思えるレベル。
音の大きさは次の動画が参考になります。
本体が熱くならず安全に使える
Sandbox Smart R2は焙煎中でも本体の外側を普通に触れます。
「誤って触れてしまって火傷した」なんて心配がないので、子供やペットがいる家庭でも安心して使えます。
内部が熱くなりすぎた場合、強制的に停止するシステム(火災防止)
自宅焙煎の不安要素として「火災の心配」があるかと思います。
Sandbox Smart R2は機体の温度が221℃に達すると、安全システムが作動して焙煎がストップします。(30秒以内に220℃以下に下がらない場合)
上記のエラーが出た時の状況は以下の通り
- ひとつ前の焙煎が極深煎りのフレンチローストだった
- その際、1ハゼが起こった際に「第1クラック」ボタンを押し忘れた
(通常よりも長い時間焙煎していた)
普通の使い方をしていれば、機体の温度が221℃以上になることはありません。
つまり、「本来、押すべきボタンを押し忘れた」など、マニュアル通りの使い方をしなかったとしても安全装置が作動し、緊急停止する仕組みになっています。
また、焙煎時間が20分を超えた場合や、Bluetoothが切断され、機体の温度が221℃以上になった場合も自動的に焙煎を停止します。
チャフのクリーニングが本当に簡単
フライパン焙煎するとチャフ(生豆の薄皮、シルバースキン)が飛び散りまくって処理が本当に面倒です。
しかし、Sandbox Smart R2はチャフが本体下部のトレーに集まるため、溜まったチャフをハケで落とすだけです。
Sandbox Smart R2とセットで買えるC1が超優秀
焙煎豆を急冷してくれるSandbox Smart C1が超優秀なので、簡単に紹介します。
使い方は簡単で、焙煎が終わった豆をC1に中に入れるだけ。
下部の扇風機のような部分で豆を急冷してくれるので、浅煎りが好きな方はマストアイテムだと思います。
200gのコーヒー豆なら約1分で冷却完了します。
C1本体に付着したチャフは掃除機で吸うか、本体を逆さにしてトントンと落としてもOK。
個人的にC1は必須。R2とセットで導入して正解でした。
排煙を補助してくれるSandbox Smart F1が便利
Sandbox Smartシリーズには、 排煙を補助してくれる「F1」というマシンも用意されています。
簡単に言うと、コーヒー焙煎用の空気清浄機です。
フィルターが内蔵されていて煙を強力に吸い込んでくれるので、深煎りにする時はF1がかなり活躍します。
Sandbox Smart R2は家庭用焙煎機として非常に優秀!小規模店舗でも使える
本記事では、Sandbox Smart R2を実際に使ったレビューをお伝えしました。
デメリットというか、改善点としては焙煎豆が何粒が散らばることがあげられますが、他に欠点らしい欠点がありません。
前作のR1も「最強の家庭用焙煎機」という口コミが多かったですが、そのR1が弱点を克服し、より使いやすくなった印象です。
1度の焙煎で最大550gも焙煎できるので、小規模mのカフェでも十分に使えますし、何より焙煎したコーヒーが美味しい!
Sandbox Smart R2で焙煎する生豆の仕入れ先
Sandbox Smart R2を使って焙煎する生豆をどこで仕入れたら良いのか?
いろんなお店で実際に購入したレビューをしていますが、結論として松屋珈琲の生豆がおすすめです。
購入者のレビュー評価も高く、ゲイシャコーヒーの生豆が1Kg2670円で買えるなど、かなりコスパが良いです。
安いので欠点豆は多少ありますが、それを差し引いても十分なクオリティです。
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