本記事では、実際に飲んだ甘いコーヒー豆をランキング形式で紹介します。
結論から言うと、一番甘い感じたのは土居珈琲で、本当にチョコレートやキャラメルのような甘みが強く感じられました。
砂糖を入れていないのに十分な甘みがあり、誰もが美味しいと感じそうな「飲みやすい美味しさ」が印象的でした。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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甘いコーヒーとは?
甘いコーヒーを一言で説明すると、適切に焙煎された品質の高いコーヒー豆のことだと僕は考えています。
まず「品質の高いコーヒー豆」について説明しようと思いますが、コーヒー豆の品質は次の要素で決まると一般的に言われています。
栽培場所の標高 |
昼夜の寒暖差がある。寒暖差によってコーヒーチェリーが寒さから身を守るために水分を減らし、かわりに糖分を増やす。冬野菜が寒さで凍らないよう、細胞に糖を蓄積するため甘くなるのと同じ原理。甘みの素となるリンゴ酸は標高が高い場所で栽培されるコーヒーに多く含まれる。
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土壌 |
ミネラルと腐植を含んだ火山灰性の土壌で栽培されたコーヒーは脂質と糖質に影響すると考えられている
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収穫方法 |
手摘みの場合、甘みが強い「完熟豆」だけを選別できる。機械収穫だと未熟豆が混じるため甘みが減る
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コーヒーの品種 |
パカマラ、ブルボン、SL28(いずれももアラビカ種)などは特に甘いことで有名
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つまり、良い土壌で、標高が高い場所で栽培されて手摘みで収穫されたブルボン種なんかは「品質の高いコーヒー豆」である可能性が高いと言えます。
グアテマラなどは標高の高さでコーヒー豆が格付けされるほど、標高は重要視されています。収穫については手摘みでやると欠点豆が混じらないので、必然的に美味しいコーヒーだけを選別できることになります。
ブルボン種なんかは美味しいものが多いですが、病気にかかりやすく栽培にかなり手間とコストがかかります。つまり、人の手で大事に育てられたコーヒー豆はある程度の品質が担保される、と僕は考えています。
これらの要素でコーヒーの美味しさや甘味は7割決まっていると思っていて、ここに「焙煎」をすることで起こる化学反応で、さらに甘みが生まれると考えています。
ちなみに、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)では、コーヒーの甘さについて次のように定義しています。
コーヒーのチェリーが収穫された時点で、熟度が良く、且つ熟度がどれほど均一であったかに直接関係する甘さの感覚。
甘さとは、焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量が絶対的なものではなく、甘さの印象度を創造する他の成分・要素との結合にも依存します。
又、糖分が高くても、甘さを感じることを阻害する要因―辛さのある苦味、刺激的な酸味、強い汚れ、渋み等が有ると甘さを感じにくくなる。
ここまでの内容をまとめると、甘いコーヒー豆を買うならコーヒー豆の仕入れにこだわっていて、かつ焙煎にもこだわる専門店で購入するのがよさそうだ、と言えます。
こう結論付けた僕は、自家焙煎されたコーヒー豆を選ぶようになり、さらにシングルオリジンなど生産過程がある程度わかるコーヒー豆を買うようになってから失敗が少なくなった気がします。
甘いコーヒー豆の種類
よく「ブラジル、エチオピアは甘い」と言われますが、豆の品質も影響するため、必ずしも正解とは言えません。
また、この論理には「焙煎」がすっぽり抜け落ちています。
焙煎度合いは苦味と酸味のバランスを決める重要な工程ですので、甘みのピークを見極めた「適切な焙煎」がされていないと強い苦味や酸味によって「甘み」が阻害されます。
つまり、甘いコーヒーの種類は「ブラジル」「エチオピア」ではなく、先述のとおり「適切に焙煎された品質の高いコーヒー豆」と言えると考えています。
一応、参考までに甘いと言われている産地ごとの特徴を簡単に解説します。
エルサルバドル |
濃厚な甘みとコクがある「パカマラ種」を栽培する国。中煎り以上で甘さを感じやすくなる
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グァテマラ |
甘みに定評がある「ブルボン種」を栽培する国。中深煎り以上でバランスが良くなり甘みを感じやすくなる
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ホンジュラス |
中煎り以上だとチョコレート、キャラメルなどの甘いフレーバーと甘みが際立つコーヒーが多い
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ブラジル |
ブルボン、アマレロなど甘い品種を栽培する国。チョコレートのような風味の「ショコラ」という銘柄も有名
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エチオピア ※モカ・イルガチェフェ |
深煎り以上で甘みを感じやすい。ただし低級品は欠点豆が多く甘みを感じにくいので値段によって差がかなり出る銘柄
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正直、エチオピアに限らず全てのコーヒー豆は「甘さの度合いは値段にある程度、比例する」と言えます。
これは先述のとおり、品質の高いコーヒー豆(甘い完熟コーヒー)は人件費や設備投資の費用(シェードツリーなど)がかかっているためです。
なので、なるべく高いコーヒー豆を買えばOKとなるのですが、そうは言っても予算があるはずので、今回は高級コーヒー豆からコスパの良いコーヒー豆まで幅広く紹介していきます。
甘いコーヒー豆おすすめランキング9選
今回のランキングは、なるべくみんなが知っている有名なコーヒー豆を混ぜながらランキングを作成しました。
コーヒー豆のネット通販の先駆け的存在の「土居珈琲」をはじめ、TVで紹介されている「ポストコーヒー」「丸山珈琲」「猿田彦珈琲」「スターバックス」などの定番商品をそれぞれ比較しました。
No | 商品画像 |
商品名 |
味わい・香り ※タップで拡大 |
値段 内容量 |
100g あたり |
焙煎度合い 鮮度 香り+甘み+コクの合計 |
1 | ![]() |
土居珈琲 小さな焙煎おためしセット |
![]() |
2,545円 200g |
1,273円 | 深煎り ★★★★★(注文後焙煎) 14.4点 |
2 | ![]() |
ポストコーヒー 3種お試しBOX |
![]() |
1,480円 225g |
657円 | 好みで選べる ★★★★★(焙煎後7日以内) 14.2点 |
3 | ![]() |
パロットコーヒー タナトラジャ |
![]() |
1,680円 200g |
840円 | 深煎り ★★★★★ 10.4点 |
4 | ![]() |
キンボ エスプレッソナポリ | ![]() |
1,469円 250g |
588円 | 深煎り ★★★☆☆ 9.5点 |
5 | ![]() |
前田珈琲 モカイルガチェフェ弁慶 |
![]() |
2,240円 200g |
1,120円 | 中煎り ★★★★☆ 11.8点 |
6 | ![]() |
丸山珈琲 丸山珈琲のブレンド |
![]() |
2,450円 200g |
1,225円 |
中煎り ★★★★☆ 10.2点 |
7 | ![]() |
猿田彦珈琲 猿田彦フレンチ | ![]() |
1,080円 100g |
1,080円 | 中煎り ★★★★☆ 9.6点 |
8 | ![]() |
無印良品 ダークテイスト | ![]() |
952円 200g |
476円 | 深煎り ★☆☆☆☆ 7.6点 |
9 | ![]() |
スターバックス ハウスブレンド |
![]() |
1,605円 250g |
642円 | 深煎り ★☆☆☆☆ 5.5点 |
▼10位以下のコーヒー豆
- 小川珈琲店有機珈琲オリジナルブレンド(冷めると渋みが出る)
- UCC上島珈琲ゴールドスペシャルスペシャルブレンド(苦い。冷めると渋みが出る)
- ラボカフェ/コーヒー豆研究所(特筆すべき旨さはない)
- honu加藤珈琲店ゴールデンブレンド(酸味強い)
- honu加藤珈琲店コロンビア・ホヌコペスペシャルティコーヒー(値段の割に旨いが今回はランク外)
- サザコーヒー德川将軍珈琲(苦味強い。スタバにテイスト近い)
東京コーヒー、きゃろっとなど、ネットで有名なコーヒー豆を入れると猿田彦などの有名店のコーヒーが上位10位に入れなくなるので、今回は除外しています。
また、ライオンコーヒー、ロイヤルコナなどの「フレーバーコーヒー」は、確かに甘い香りはしますが「味としての甘さ」は強くないので除外しています。
1位.土居珈琲 小さな焙煎おためしセット
2,545円 100g×2種類
第1位は、創業から40年以上「コーヒーの甘味を引き出す焙煎」にこだわってきた「土居珈琲」のお試しセットです。
ずばり、本当に美味しい甘いコーヒー豆を探している方に一番おすすめです。
2種類とも国際品評会で選ばれたコーヒー豆で、以下のフレーバーが味わえます。
- グァテマラ:チョコレートやキャラメルのような甘みがハッキリと感じられる
- エルサルバドル:チョコレートに加え、柑橘系のフレーバーが微かに感じられる
注文後にコーヒー豆を焙煎するため、最高の鮮度で飲むことができます。
コーヒー豆そのものが美味しいので、抽出を頑張らなくても、誰でも美味しく飲めるのが素晴らしいです。
公式で「チョコレートの甘さ」と書かれていますが、本当にチョコレートのような味がはっきりと感じられ、濃厚な甘みとコクが印象的でした。
酸味が少なくて飲みやすく、スタンダードな味わいを好む方におすすめのコーヒー豆です。
レクサス会員誌で「伝説の珈琲」として紹介
レクサス、ヤナセの会員誌でも「伝説の珈琲」として紹介され、上質な味わいが高く評価されています。
僕はこれまで1000種類以上のコーヒー豆を購入して飲んでいますが、土居珈琲はトップレベルの美味しさだと強く感じています。
小難しい知識も、抽出の技術も必要なく、誰でも美味しいと感じそうな「わかりやすい旨さ」が印象に残りました。
100gあたり | 1,273円 |
セット内容 | ・グァテマラ カペティロ農園100g ・エルサルバドル ラ・レフォルマ農園100g |
鮮度 | ★★★★★(注文後焙煎) |
焙煎度合い | 深煎り(フルシティロースト) |
2位.ポストコーヒー初回お試しBOX【初回限定500円OFF】
1,480円 225g(75g×3種類)
次に紹介するポストコーヒーは、「がっちりマンデー」などで紹介されて以来、爆発的にファンを増やしているコーヒーショップです。
ポストコーヒーは、全国の専門店(提携している国内外のショップ)から、好みのコーヒー豆だけが3つ届くのが特徴です。
ずばり、「コーヒーに詳しくないけど、好みの範囲内で色んなものを飲みたい」という人には、ポストコーヒーが一番おすすめです。(会員数7万人超)
このお店は、キャラメルのような甘みの深煎りコーヒーや、フルーティーなコーヒーも届くので、いろんなフレーバーを楽しむことができます。
実際に150種類ほど飲んでいますが、どれもコーヒー豆の鮮度がよく、パッケージを開けた瞬間に完熟フルーツのような甘い香りが広がります。

僕は浅煎り~中煎りコーヒーを中心に15種類以上飲んでます
ここで扱うコーヒー豆は冷めても美味しくて、淹れたてより甘みが強く感じられるのが印象的です。
また、デカフェも非常にクオリティが高く、カフェイン入りのコーヒーと遜色ない甘みの強さだったことに驚きました。
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個人的に、万人受けするコーヒーが好きなら1位の土居珈琲、新しい製法でつくられたコーヒーや、フルーティーなコーヒーを求める人にはポストコーヒーがおすすめです。
値段も初回は100g658円とかなり安いのもポイントです。甘味の強さを考えると、これほどコスパの良いコーヒー豆は他所じゃ買えないと思います。(僕も数年間ずっとサブスクを続けています)
2回目以降の価格 | 1,980円 |
100gあたり | 658円 2回目以降 880円 |
鮮度 | ★★★★★(焙煎後7日以内) |
セット内容 | 75g×3種類 |
焙煎度合い | 浅煎り・中煎り・深煎りお好みで |
関連→ポストコーヒーの正直なレビュー。口コミや評判どおり美味しい?
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3位.パロットコーヒータナトラジャ
1,680円 200g
Amazonで新鮮なコーヒー豆を販売するパロットコーヒーは、あまり知名度は高くないですが酸味が少なくて飲みやすく、値段もわりと良心的なので、実はかなり優秀なコーヒー豆だと思います。
この「タナトラジャ」は、マンデリンの産地であるインドネシアのコーヒーですが、マンデリンのような野性的な風味というよりも、チョコレートのような甘みが特徴です。
写真のように鮮度も良いのでコーヒー粉もしっかり膨らみますし、香りも強めで個人的に大好きな一品です。
豆を400g購入した方が割安ですが、200gでも購入できます。
100gあたり | 840円 |
鮮度 | ★★★★★(注文後焙煎) |
豆の産地 | インドネシア |
焙煎度合い | 深煎り(フレンチロースト) |
4位.キンボ エスプレッソナポリ
1,469円 250g
キンボのナポレターノ(ナポリ)は、名前の通りイタリアのナポリの昔ながらの製法を忠実に表現したコーヒー豆です。
香りのよいアラビカ種のコーヒーを80%使い、そこにワイルドな風味のロブスタ種を20%ブレンドしていて、力強さとコクの深さ、上品さのバランスを生み出しているのが特徴です。
エスプレッソ、カプチーノ、カフェジャポネーゼどれでも美味しく飲めるので、キンボの中でも万能型に属するコーヒー豆だと思います。
もちろん、写真のようにハンドドリップしても美味しいので、コスパ重視の方にナポリは良い選択だと思います。
コーヒー豆も最近はどんどん値上がりしていますが、ナポリはそこまで値段も変わらずリーズナブルに購入できます。
100gあたり | 588円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
豆の産地 | ブラジル、インド、他 |
焙煎度合い | 深煎り(フルシティロースト) |
5位.前田珈琲モカイルガチェフェ弁慶
2,240円 200g
京都の老舗、前田珈琲の「モカイルガチェフェ弁慶」は、大丸などのデパートで販売されるコーヒー豆で、贈答用としても人気がある商品です。
エチオピア産のコーヒー豆を使ったこちらは、ドリップするとチョコレートやぶどうのような香りが感じられ、実際に飲むと、チョコやキャラメルのような甘みとコクが強くて、全体的に濃厚な味です。
値段はちょっと高いですが、かなりどっしり系の味わいで、誰もが「美味しい」と言いそうな甘いコーヒー豆です。
100gあたり | 1,120円 |
鮮度 | ★★★★☆ |
豆の産地 | エチオピア |
焙煎度合い | 中煎り(シティロースト) |
6位.丸山珈琲 丸山珈琲のブレンド
2,450円 200g
丸山珈琲ブレンドは、1991年の創業時から人気の深煎りコーヒー豆で、チョコレートのような味わいを目指した商品です。
ブレンドに使われる豆は時期によって変わりますが、現在はブラジルや、キリマンジャロで有名なタンザニアのコーヒー豆を使っています。
パッケージを開封すると、チェリーのような果実感あふれる香りが感じられ、ドリップするとカラメルのような甘い香りが広がります。
一口飲むと、苦味と酸味がバランスよく、すっきりした苦味の中に豊かな甘みを感じます。
ほのかな酸味が後味を爽やかにしていて、何度も口をつけてしまう飲みやすさがあります。
グラフのとおり、全体的にバランスの良い味わいで優等生的な印象を受けるコーヒー豆です。
丸山珈琲も駅ビルや都内の実店舗でも買えるので、近くにお店がある人は試飲させてもらっても良いと思います。
100gあたり | 1,225円 |
鮮度 | ★★★★☆ |
豆の産地 | ブラジル・タンザニア・他 |
焙煎度合い | 中煎り(シティロースト) |
7位.猿田彦珈琲 猿田彦フレンチ
1,080円 100g
「猿田彦フレンチ」はお店で一番人気のコーヒー豆で、店舗のドリップコーヒーにも使われているコーヒー豆です。
ネットでは賛否が分かれていて「この味は嫌いなタイプのフレンチロースト」なんて言われていたりします。
実際にドリップするとキャラメルのような甘い香りが広がり、実際に飲むとすっきりとした苦味で、黒蜜のような甘みがあり、「キリッとした後味」が印象的です。
かなり真っ黒なコーヒー豆を見た時は、スタバのコーヒー豆のようなスモーキーな味を予想しましたが、実際はもっとマイルドな味で甘みもそこそこあります。
ここが多分評価がわかれるところで、「フレンチローストに求める味じゃない」という方が一定数いるのかな?という印象で、なんだか無難にまとめた深煎りコーヒーだなぁ、というのが正直なところです。
鮮度 | ★★★★☆ |
豆の産地 | パナマ、ケニア、他 |
焙煎度合い | 深煎り(フレンチロースト) |
8位.無印良品 ダークテイスト
952円 200g
無印良品のコーヒー豆はとにかく安くて、味もそこそこ美味しい優秀な商品で、Amazonでも大人気です。
無印のコーヒー豆は普通の「ミディアムテイスト」と、このダークテイストがありますが、こっちのほうが酸味が少ないので素直に甘味を感じやすいと思います。
突出した苦みがなく、丸みのある苦みで万人受けする深煎りコーヒーです。
もちろん上位のコーヒー豆と比較すると甘味のレベルも香りの強さもすべてが段違いですが、このコスパの良さは魅力的です。
100gあたり | 476円 |
鮮度 | ★☆☆☆☆ |
豆の産地 | ブラジル・コロンビア・グアテマラ |
焙煎度合い | 中深煎り(シティロースト) |
9位.スターバックス ハウスブレンド
1,605円 250g
最後はスタバの定番コーヒー豆「ハウスブレンド」です。誰でも知っている有名なコーヒー豆なので比較用の参考として加えています。
グラフの通り、完全に苦みに振り切った味わいで甘みはほとんど感じません。ですが、ミルクを入れて飲む場合はミルクの甘味が加わるので、まろやかになります。
100gあたり | 642円 |
鮮度 | ★☆☆☆☆ |
豆の産地 | グアテマラ・コロンビア |
焙煎度合い | 深煎り(フレンチロースト) |
焙煎によって甘くなる理由
コーヒー焙煎とは、豆を加熱して化学変化を促しながら甘みや香りを引き出していくプロセスです。
コーヒー豆には、少糖類(ショ糖)、多糖類、クエン酸、りんご酸、アミノ酸、乳酸などの成分が含まれています。
これらは焙煎によって「消失する」「変化しない」「分解して別の成分として結合する」 いずれかの変化が起こり、甘みや香りが生まれます。
メイラード反応
コーヒー生豆を焙煎すると、少しずつ「ショ糖」と「アミノ酸」がメイラード反応を起こし始め、味や香りが生成されていきます。
メイラード反応をわかりやすく言うと、肉を焼く時などに肉の色が茶色に変化して、「甘み」「旨み」が生まれる反応のことです。
さらに焙煎を進めると、ショ糖によって「カラメル化」が始まります。
カラメル化
カラメル化とは、コーヒー豆に含まれる糖分(ショ糖)を加熱することで、褐色の物質(カラメル)が生成されることです。
カラメル化が始まったタイミングで甘味がさらに強まり、カラメルソースのような独特の香ばしい香りが発生します。
乳酸もコーヒーの甘みに貢献している
乳酸は焙煎によって生成されます。
乳酸には酸味も含まれますが、焙煎時間が長くなるほど酸味は減少し、まろやかさと甘みが残ります。
浅煎り〜中煎りではヨーグルトのような酸味を含んだ甘みが感じられ、深煎りではバターのようなコクのある甘みが感じられます。
深煎りだと甘みはなくなる?
結論から言うと、深煎りにしても消失しない糖分があるため、甘みは残ります。
※フルシティロースト(深煎り)が甘みのピークと定義する専門店もあります。
深煎りにしても消失しない糖分がある
まず、深煎りまで焙煎を進めると「ショ糖」は減少しますが、後に別の成分として「結合する」ため、甘みが完全に消失することはありません。
また、コーヒー豆に含まれる「多糖類」も甘みのもとですが、多糖類はショ糖と違って焙煎によって量がほぼ変化しない特徴があります。
甘いコーヒーの入れ方
コーヒーは嗜好品なので、各人が美味しいと感じれば、どんな抽出でも良いと考えています。
参考までに、コーヒーを甘くするための抽出手順をまとめました。
やること | やる理由 |
沸騰させたお湯を水通ししたドリップ用ケトルに移し替える | 湯温を85℃前後まで一気に下げる。湯温が高すぎると苦味成分が溶けやすく、低いと酸味が目立つ。85℃は甘みを感じやすい |
ケトル内のお湯は満水にする | お湯の温度が下がりにくくなる。ケトル内のお湯が少ないと冷めやすく、85℃に設定した意味がなくなる |
コーヒー豆を中挽き〜中細挽きにする | 中挽きだとさっぱり、中細挽きだと濃いめに。お好みで |
微粉を取る | 豆を挽く際に必ず発生する「微粉」は刺さるような苦味が出やすいので取り除く |
粉をフィルターに入れ、表面を平らにする | 抽出ムラを防ぐ。平らになっていないと、粉が少ない場所を中心にお湯が落ちるため、粉全体を使った抽出ができない(同じ箇所をお湯が通り続けるので結果的に雑味が出て甘みを感じにくい) |
粉全体が湿る程度のお湯を注ぎ、30〜60秒蒸らす | 蒸らすことで味の成分を抽出しやすくする。蒸らさないと味が薄くなり、甘みも少なくなる |
抽出量に達するまでドリップする | カップ1杯分150ccなら1分、2杯分300ccなら2分を目安に。 |
上記の中でも特に重要なのが微粉です。
▲12gの中細挽きコーヒーから出た微粉
表面積が大きい微粉は、中細挽きにしたコーヒー粉よりも苦味や渋みなどの成分が溶けやすく、結果的にコーヒーの甘みを阻害します。
味に複雑さを求める場合、微粉を取り除かない方が良いケースもありますが、甘みを重視するなら微粉は取ることをおすすめします。
微粉を取る道具ですが、以下がコスパが良く性能も申し分ないのでおすすめです。
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