コーヒーに少しでも興味がある方なら必ず聞いたことがある、「ブルボン」は知名度のある品種のひとつです。
ブルボン種のコーヒーが栽培されている地域は主に中南米で、たくさんのコーヒー品種改良の元の品種です。
今回はいろいろなコーヒーの元となったブルボン種の歴史や風味、「幻のコーヒー」と言われている希少な品種なども紹介します。
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コーヒー品種「ブルボン」の特徴
ブルボンとは
ブルボンとは歴史の長いコーヒーの品種です。3大原種(アラビカ、カネフォラ、リベリカ)と呼ばれるコーヒーノキの中で、樹木の種類はアラビカ種。
そのアラビカ種の中の200種類以上もある品種のなかで原種に近いティピカ。そのティピカの変種として誕生したのが「ブルボン」です。
ブルボンはティピカより樹木が強くて、2割ほど収穫量が多いのが特徴。しかし、病害虫に弱いことと収穫が隔年なので生産量はあまり多くない種類の樹木です。
しかし、ブルボン種のコーヒーの風味は非常に優れているため、いろいろな品種と掛け合わされ、改良されて世界中で栽培されています。
現在は、ほぼ全てのコーヒーの系統はティピカ種、もしくはブルボン種です。しかし品種改良が進んだ結果、ブルボン単一ではほぼ出回らなくなりました。
ブルボン味わい
ブルボン種のコーヒーは酸味のなかに甘みが感じられ、豊かで甘くなめらかなコクのある味わいが特徴です。
イエローブルボン、ピンクブルボンというブルボン種のなかでも甘味が際立っている品種は世界中にファンの多いコーヒー豆です。
イエローブルボン
イエローブルボン(アマレロ)はブルボンの亜種です。ブルボンが持つなめらかなコク、果実のような甘酸っぱさ、特有の甘さが特徴。通常のブルボン種(レッドブルボン)よりも甘みが強くでる品種です。
「アマレロ」とはポルトガル語で黄色を意味する言葉です。
ピンクブルボン
ピンクブルボンは、浅く煎るとゲイシャ種のような華やかな風味になる品種です。
しかし、実が固いのが影響して酸味が強く出ます。中煎りではゲイシャ感は失われますが、ブルボン種特有のなめらかなコクと甘みでとても飲みやすいコーヒーになります。
完熟するとオレンジがかったピンク色になるのでピンクブルボンと呼んでいます。ブルボンと同じくコーヒーの実は小ぶりで、熟しても実が固いのが特徴。
ブルボンから派生したコーヒー豆
パカマラ
パカマラは軽く明るい酸味と甘さ、ブルボンの特徴であるなめらかなコクとやわらかい苦味で、バランスのとれたあっさりした風味の品種です。
産地によっては花やスパイス感が強く出ることもあり、ゲイシャ種に似た華やかな香りを持っています。
エルサルバドルのコーヒー研究所が25年もの歳月を費やして作り出した品種で、成熟が早く生産性に優れている「パーカス」と大ぶりな実を持つ「マラゴジッペ」を掛け合わせててきたもの。
エレファント・ビーンと呼ばれるマラゴジッペの特徴を引き継ぎ、目を見張るほど大ぶりな品種です。しかし、マラゴジッペのデメリットも引き継いでいるため病気には弱く、生産量はあまり多くありません。
ムンドノーボ
ムンドノーボは、ナッツやカカオのような香ばしさ、穏やかな酸味、やわらかい甘みとほろ苦さが感じられ、バランスが良くとれた飲みやすい品種です。
しかし、香りはやや控えめ。ブルボン種とインドネシアのスマトラ種(ティピカ種)が自然に掛け合わさりできた品種です。
ブルボン種の特徴である良好な風味とスマトラ種の特徴を引き継ぎ、病気や害虫、気候の変化に強い品種です。
しかし、樹木に高さがあり、育成と収穫に手間がかかるため中米ではあまり普及しなかった品種です。
生産性を上げるために開発された「カトゥアイ」の元になっています。
カトゥアイ
酸味とコクの味わいのバランスが良く、軽くて飲みやすいコーヒー「カトゥアイ」は、ムンドノーボの背の高さの克服と、コーヒー農家の商業性を向上させるために開発された品種です。この研究に約20年の歳月がかかりました。
小柄で育成しやすい「カトゥーラ」と味わい良く大柄な「ムンドボーノ」を合わせ、ブルボン系の味わいはそのままに背の高さを克服した品種です。
これにより、中南米で広く普及し、ホンジェラスでは収穫される約50%がこの「カトゥアイ」という品種です。
ブルボンから突然変異したコーヒー豆
パーカス
パーカス種は、甘く香ばしいローストナッツのような香りで、優しい酸味と爽やかな風味の品種。ブルボンよりも小さいコーヒー豆で、成熟が早いため生産性があります。
1956年に発見されたブルボンの変種です。アラビカ種にはめずらしく低地栽培もできる品種で、乾燥や暑さに強く、砂の多い土地での栽培も可能。
マラゴジッペと掛け合わせた「パカマラ」の元になる品種です。
カトゥーラ
カトゥーラは独特の苦味と豊かな酸味が特徴。従来のブルボン種よりも味が劣るため、品種改良の元になった品種です。
味わい良好で大柄なムンドボーノと掛け合わされ「カトゥアイ」が生まれました。
樹木が小柄で枝間の間隔も短く、直射日光に強くてシェイドツリーを必要としない品種。
間を詰めて植えられるため、生産量の確保ができるのが特徴です。
ブルボンの希少なコーヒー豆
ブルボンポアントゥ
独特の爽やかな酸味、上品な苦味、甘く残る余韻、みずみずしく繊細な甘い香り。18世紀フランスの王侯貴族を虜にした幻のコーヒー品種です。
ティピカの原種に限りなく近く、今もレユニオン島でひっそりと大切に栽培されています。
1715年、フランス王朝ルイ14世の命令により、この島に持ち込まれました。かつてフランス王家や貴族に愛された品種も19世紀初頭に栽培が激減。
約70年前には幻のコーヒーになってしまいました。
しかし1999年にフランス政府協力のもと、日本企業のUCCが島に立ち入りポアントゥの原木を見つけ出しました。そして、7年の歳月をかけて復活。1年に1回、UCCから限定で販売されるとても希少な品種です。
「ブルボンポアントゥ」はカフェインの含有量がとても少なく、従来のアラビカ種の半分程です。しかし、甘み成分は2倍もあります。自然に実ったコーヒーでこういった特徴を持っているのは非常に珍しいことです。
ちなみに「ポアントゥ」とは尖っているという意味。その葉も実も樹木の形まで尖っていて、見た目にも特徴的です。
ブルボン種のマンデリン
通常のマンデリンはスマトラ種(ティピカ)です。以前はオランダ系の商社がブルボンの栽培を促進していましたが、内戦の混乱や植え替えによりブルボン種のマンデリンは絶滅したと言われていました。
しかし、今でもスマトラ島のごく一部のコーヒー農園ではひっそりとブルボン種が栽培されています。
栽培量が少ないため、普段はスマトラ種(ティピカ)のマンデリンと混ぜて出荷されますが、ごく稀にブルボン種100%で売られています。
ブルボン種100%のマンデリンはとても希少です。
ブルボンの歴史
ブルボン種は1715年、インド洋に浮かぶ火山の島、ブルボン島(現:レユニオン島)で発見されました。
イエメンから持ち込んだティピカ種が自然に変化したもの。発見当時の島の名前をそのままつけて「ブルボン」になりました。
ブルボン種は香りが良く、コクがまろやかで風味豊か。ティピカより樹木が強く、2割ほど収穫量も多い品種です。
18世紀後半にブラジルに持ち込まれ、ブラジルコーヒーとして広く普及しました。
しかし、隔年収穫のため生産量が少なく、病害虫にも弱い。それを改善させるための研究が進み、今では品種改良されたブルボン種が栽培の主要になっています。
ブルボンのみのコーヒーは貴重なものになってしまいましたが、その風味の素晴らしさからまた少しずつブルボン単一での栽培をしています。
ブルボン種のコーヒー豆おすすめ3選
グアテマラ アンティグアSHB アゾテア農園 ブルボン
価格 | 1,220円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 610円 |
1杯あたり | 61円 |
豆の産地 | グァテマラ |
精製方法 | 水洗式(ウォッシュド) |
豆の品種 | ブルボン |
焙煎度合い | 深煎り(フルシティ) |
スペシャルティコーヒーを販売するassez COFFEEのブルボン。 グァテマラで収穫される最上級グレードの深煎りコーヒー豆です。
実際に飲むと苦味と甘味、ほのかな酸味がバランスよく一体にまとまっていて、非常に洗練された味わいのブルボンコーヒーという印象。
同店のコーヒー豆はどれも鮮度が良く、香りや風味が強く感じられるのが特徴。
すっきりとキレの良いアフターアーティストも秀逸で、まさに万人受けする「コーヒーのお手本」のようなブルボン種です。
ミルクを加えるよりも、ブラックでそのまま楽しみたいコーヒーです。
ブラジル ブルボンアマレロ
価格 | 1,332円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 666円 |
1杯あたり | 67円 |
豆の産地 | ブラジル |
精製方法 | 水洗式(ウォッシュド) |
豆の品種 | イエローブルボン(アマレロ) |
焙煎度合い | 中煎り |
大阪の自家焙煎店「ゴールドキャッスルコーヒー」のブラジル ブルボンアマレロは、柑橘系フルーツのようなフレッシュな甘酸っぱさが特徴。
最初は酸味が感じられますが、飲み進めていくと次第にカラメルのような甘みが感じられます。
苦味はマイルドで、甘みとキレの良い酸味が印象的なブルボン種のコーヒーです。
口に残る嫌味がなく、非常にクリアな味わいながらも、ジューシーな旨みが堪能できます。
ブラジル ブルボンクラシコ
価格 | 700円 |
コーヒー豆の量 | 100g |
1杯あたり | 70円 |
豆の産地 | ブラジル |
精製方法 | ウォッシュド(水洗式) |
豆の品種 | イエローブルボン(アマレロ) |
焙煎度合い | 中煎り |
コーヒーフェスティバルで行列を作った話題のロースター「wabisuke」のブラジル ブルボン クラシコ ピーベリー。
ペーパードリップして飲むと、リンゴをかじった時のような甘く爽やかな酸が感じられます。
ほんのりフルーティーな味わいがありながら、ほんのりコーヒーらしい香味も感じられるブルボン。
苦味はほとんどなく、非常にクリアな味わいで安心感のある美味しいコーヒー。
このブルボンコーヒーは冷めてから飲むと甘みが引き立ち、より一層おいしくなる。
ブラジル ブルボンクラシコ
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