本記事では、主にブラジルで栽培されているコーヒー豆の品種「ムンドノーボ」を紹介します。
ムンドノーボとは、スマトラ種(ティピカ種)とブルボン種の自然交配で誕生した品種です。
ムンドノーボを楽しめる幅広い焙煎方法や精製方法、ちょっと珍しい方法で精製されたおすすめコーヒーも紹介しています。ぜひコーヒー選びの参考にしてください。
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コーヒーの品種「 ムンドノーボ」の特徴
ムンドノーボとは
ムンドノーボはスマトラ種(ティピカ種)とブルボン種の自然交配で誕生した品種です。
コーヒーの3大品種のひとつにアラビカ種があります。アラビカ種には自然交配や品種改良によって200種以上も品種があります。アラビカ種の原種に最も近い品種がティピカ種です。そのティピカ種の変異種にブルボン種があります。
ティピカ種とブルボン種は現在、世界中で流通している様々なコーヒー品種の原種です。
ムンドノーボの元になったスマトラ種は、インドネシアを襲ったさび病被害を生き延びた品種で、強い耐病性を持っています。ブラジルでは「ストロング・ティピカ」と呼ばれ、ティピカ種と同一の品種だと言われています。
その特徴を引き継いだムンドノーボは、病害虫や環境の変化に強く育てやすい品種で南米を中心に普及しました。
ブラジルでは1950年代の生産開始から、約70年たった今でも高い生産量で、ブラジルを代表する人気の品種です。
ナッツやカカオの香ばしさ、香りはやや控えめ
ナッツやカカオのような香ばしさと穏やかな酸味、柔らかな甘みとほろ苦さでコクと苦味のバランスが良くとれた飲みやすい品種です。
しかし、香りはやや控えめで、他のブルボン種に比べて渋みがでやすい品種です。
ムンドノーボに適した焙煎度合いは?
ムンドボーノはミディアムローストからフレンチローストまで幅広い焙煎度合いで提供されています。好みによって様々な焙煎度合いを楽しめます。
焙煎はライトローストからイタリアンローストまで8段階に分かれています。
そのうちの上から3つ目がミディアムローストです。喫茶店で提供されるアメリカンコーヒーに多く用いられている焙煎で、香ばしい香りと酸味のある軽さが特徴で、苦味が苦手な方におすすめです。
上から4つ目のハイローストは柔らかい苦味と甘みが特徴の中浅煎りです。酸味も残っているので、コーヒーらしい苦味を感じつつもさっぱり飲みたい方はこちらがおすすめです。
次の段階は中深煎りのシティローストです。
日本人に好まれる焙煎度合いのシティローストは深煎りの最初の段階で、酸味と苦味のバランスのとれた味わいが楽しめます。ムンドノーボのナッツやカカオの香ばしさと柔らかな甘みが感じられる焙煎度合いでおすすめです。
さらにナッツ感が強く感じられる深煎りのフルシティローストは、酸味が少なくなり苦味が際立ってくる焙煎度合いです。
苦い味のコーヒーが好きな方におすすめで、ムンドノーボがブルボン種から受け継いだ「なめらかでまろやかなコク」を楽しめます。
7段階目のフレンチローストはコーヒー豆の表面に油が覆い始めるほど深煎りの焙煎度合いです。
ムンドノーボの持つナッツやカカオのような甘く香ばしい味わいを楽しめます。酸味は全くありません。ミルクを合わせても負けないコクと香ばしさが特徴です。
ムンドノーボの基本情報
ムンドノーボの精製方法
ムンドノーボの精製方法は主に「ナチュラル」もしくは「セミウォッシュド」です。
ナチュラルは摘み取ったコーヒーチェリーを洗浄し、そのまま天日干しにする精製方法です。乾燥する過程で、種子(生豆)の周りで果実が発酵するので生豆に甘い味が染み込みます。
ナチュラルで精製されたコーヒーは華やかなベリーやワインのような果実感が特徴です。
セミウォッシュドはパルプドナチュラルやハニープロセスとも言われている精製方法です。
精製する前のコーヒーの種子(生豆)の周りには、ミューシレージと呼ばれる甘い粘着質の膜が覆っています。この甘い膜を残した状態で乾燥させるのがセミウォッシュドやナチュラルプロセスといった精製方法です。
種子の周りでこの甘い膜が発酵するため、生豆に甘さが染み込み、甘さを含んだコーヒーができあがります。ミューシレージを残す度合いにもよりますが、ベリーやワインのような華やかな甘さが残ります。
しかし、果実は除去してあるためナチュラルよりもスッキリとした飲み口のコーヒーにもなります。
もうひとつ、ナチュラルの精製方法ひとつで「ドライ・オン・ツリー」という精製方法があります。こちらは成熟したコーヒーチェリーを収穫せず、木に実らせたまま乾燥させる方法です。
樹木から養分を吸い続けながら実が黒くなるまで熟成、乾燥させます。そのため、果実の甘さが存分に生豆に移り、まったりとした甘さのあるコーヒーができます。
しかし、この精製方法は収穫後、2年間は収穫ができなくなる程コーヒーノキにとても負担がかかるため、ブラジルのバウ農園でしか行われていません。雨季と乾季がはっきりしている地域でしかできない特殊な精製方法です。
ムンドノーボの栽培環境
ブラジル南東部のミナス・ジェライス州で栽培されています。コーヒー豆は一般的に標高が高い方が品質が良いですが、ムンドノーボは標高800mから1200mの比較的標高の低い土地でもよく育ちます。
ミナス・ジェライス州は平均気温24℃前後の温暖な気候で、夏の雨季と冬の乾季がはっきり分かれる土地で、昼夜の寒暖差が激しい場所です。
日本の国土の1.5倍もあり広大な高原が広がっているので、日当たりがよくコーヒーチェリーが均一に育ちます。
ムンドノーボの栽培の歴史
1943年ブラジルのサンパウロ州ムンドノーボ地区でスマトラ種(ティピカ)とブルボン種の自然交配種として発見されました。そこから研究を重ね、1950年にブラジル各地の農場でこの品種は栽培され始めました。
病気や害虫や環境の変化に強く育てやすいムンドノーボは、ブラジルで人気の品種になりました。しかし、この品種は樹木が高く収穫が大変なため、中米では受け入れられず、主にブラジル国内で生産されています。
ブラジルではこのムンドノーボから派生した品種が多数あり、小柄なカトゥーラと交配させたカトゥアイは収穫もしやすく、中米で人気がある品種です。
ムンドノーボのおすすめコーヒー豆3選
1.ブラジル トミオフクダ ドライオンツリー
価格 | 1200円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 600円 |
1杯あたり(10g) | 60円 |
豆の産地 | ブラジル サンパウロ州ミナスジェライス州セラード地区 ファゼンダ・バウー農園 |
精製方法 | ドライ・オン・ツリー(ナチュラル) |
豆の品種 | ムンドノーボ |
焙煎度合い | 中煎り(ハイロースト) |
精製方法で紹介したドライ・オン・ツリーのムンドノーボです。成熟しても摘み取らず、木の上でじっくり完全乾燥させて、その後、貯蔵庫で45日間熟成させます。摘み取る直前まで樹木の養分を吸収するため、まったりとした独特の甘さのコーヒーになります。
現在は息子さんが継がれていますが、日系二世のブラジル人、トミオ・フクダさんが作ったとても贅沢なコーヒーです。
2.ブラジル・ムンドノーボ
価格 | 1,749円 |
内容量 | 150g×2 |
100gあたり | 875円 |
1杯あたり(10g) | 86円 |
豆の産地 | ブラジル:ミナス州パンタノ農園 |
精製方法 | 半水洗式(セミウォッシュド) |
豆の品種 | ムンドノーボ |
焙煎度合い | 深煎り(フルシティ) |
こちらはセミウォッシュドで精製されたムンドノーボ。甘さや果実味はあまり感じません。フルシティローストで焙煎されているので、酸味も感じられないほど抑えられています。さっぱりとした後味のコーヒーが好みの方におすすめです。
300gありますが、150gずつの小分けになっているので使いやすいです。
3.ブラジルコーヒー パンタノ ムンドノーボ フレンチロースト
価格 | 1,318円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 659円 |
1杯あたり(10g) | 66円 |
豆の産地 | ブラジル パンタノ農園 |
精製方法 | 乾燥式(ナチュラル) |
豆の品種 | ムンドノーボ |
焙煎度合い | 深煎り(フレンチロースト) |
100年以上も歴史のあるパンタノ農園のムンドノーボです。ブラジルで栽培されるムンドノーボの特徴、ナッツやカカオのような甘く香ばしい味わいを存分に引き出せる深煎りのフレンチローストです。
アイスコーヒーやミルクを入れても負けない香ばしさがあります。酸味が得意ではない方、こっくりした味わいの濃いコーヒーが好きな方におすすめです。
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