世界三大コーヒーとは、その品質の高さが世界的に認められている3つの特別なコーヒー銘柄のことです。
それぞれが異なる個性をもち、至高のコーヒーとして讃えられているため、コーヒー好きの方へのプレゼントとしても最適です。
この記事では、世界三大コーヒーの種類や特徴について詳しく解説します。
さらに、一度は飲んでみたい高価なコーヒーとして有名な「世界三大珍コーヒー」など、一風変わったおもしろいコーヒーもご紹介します。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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世界三大コーヒーとは
コーヒーは世界中の国や地域で生産されていますが、そのなかには「世界三大コーヒー」と呼ばれる特別なコーヒーがあります。
タンザニア、ジャマイカ、ハワイで生産された特定銘柄のコーヒーのことで、流通量が少なく貴重な取り扱いがされています。
タンザニア産キリマンジャロ
1つめの世界三大コーヒーは、タンザニア産のキリマンジャロです。
アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山の火山性土壌で育ったコーヒーは、オレンジのような柑橘系の風味が特徴で、フルーティーな酸味を楽しめます。
タンザニア産コーヒー豆の特徴について、詳しくはこちらをご覧ください。
関連→タンザニアコーヒー豆の特徴と等級から品種・美味しい入れ方まで紹介!
ジャマイカ産ブルーマウンテン
2つめの世界三大コーヒーは、ブルーマウンテンです。
カリブ海地域に位置するジャマイカのブルーマウンテン山脈の、限られた地域で栽培されています。
「コーヒーの王様」として広く知られており、苦味・酸味・甘味・コクの全てが調和した黄金バランスの味わいが特徴です。
ハワイ産コナ
そして、3つめの世界三大コーヒーがハワイ産のコナです。
ハワイ土産としても人気が高く、日本での知名度も抜群。柔らかな酸味で香り高く、ブルーマウンテンに匹敵するほどバランスの良い味わいで世界中にファンの多い銘柄です。
どれも魅力的なコーヒーですが、それだけにどれかひとつを選べないという人もいることでしょう。
続いては、それぞれのコーヒーの特徴を、さらに詳しく解説していきます。
タンザニア産キリマンジャロコーヒー
キリマンジャロの特徴
キリマンジャロは、アフリカ大陸のタンザニアで生産されるアラビカ種のコーヒーです。
日本でも有名なコーヒーのひとつで、全日本コーヒー公正取引協議会の「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」において「特定銘柄」に規定されています。*1
特定銘柄とは、価値が高いとされるコーヒー銘柄のことです。キリマンジャロの場合、タンザニアのブコバ地区以外のアラビカ種のコーヒーと定義されています。
キリマンジャロは、標高1,400m〜2,000mという昼夜の寒暖差が大きい火山活動によって育まれた豊かな火山性土壌で育ち、これがコーヒーに複雑な風味を与えているのです。
キリマンジャロの味わい
キリマンジャロの味わいの特徴は、オレンジのような柑橘系フルーツを思わせる良質な酸味を含むことです。
苦味が少なく、雑味がない点はブルーマウンテンに似ています。深煎りのコーヒー豆を選んでも、ほんのりオレンジのような酸味が感じられ、爽やかな印象のものが多いです。
浅煎りのコーヒー豆を購入すると思った以上に酸味が強いことがあるため、初心者は「中深煎り」か「深煎り」を選ぶのがおすすめです。
キリマンジャロのおすすめコーヒー豆
1,030円 150g
カカシコーヒーは、高品質なスペシャルティコーヒーを自家焙煎し、AmazonなどのECサイトで販売する人気のショップです。
あまり知名度は高くない店ですが、どのコーヒー豆を選んでも香りが良くてコクも深く、大切に飲みたくなるような美味しさが楽しめます。Amazonで販売するショップの中でも、特に品質の高いコーヒー豆が購入できます。
このキリマンジャロは、やや深めに焙煎されているので酸味が少なく、飲み始めはカカオのようなほろ苦さ、はちみつのような甘みが追随します。コーヒーを飲み込むと、キリマンジャロらしい柑橘系フルーツのような爽やかな余韻を楽しめます。
苦味と酸味のバランスが良いので、どなたにも飲みやすいおすすめのコーヒー豆です。
豆の産地 | タンザニア |
焙煎度合い | 中深煎り(シティロースト) |
関連→カカシコーヒーの豆「タンザニアキリマンジャロ」の正直な感想
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キリマンジャロのコーヒー豆おすすめランキング7選!本当に美味しい豆はこれ
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ジャマイカ産ブルーマウンテンコーヒー
ブルーマウンテンの特徴
ブルーマウンテンは、日本では「ブルマン」の愛称で親しまれるコーヒーです。
小さな島国ジャマイカでは、ほぼ全域でコーヒーが生産されていますが、輸出するコーヒー豆の品質には厳しい規格が設けられています。
その審査に合格した豆だけがブルーマウンテンの名で販売できることから、高級銘柄としてブランド化されているのも特徴です。
ブルーマウンテン山脈で栽培されたコーヒーであっても、その規格の審査に合格しなければブルーマウンテンの名を冠して販売することはできないのです。
ブルーマウンテンの味わい
弱酸性で粘土質の豊かな土壌で育ったブルーマウンテンは、「黄金バランス」と呼ばれる均整のとれた味わいが特徴です。
ブルーマウンテンの名前の由来となった青い霧が朝晩に発生し、この霧がコーヒーの木と土壌に適度な水分を与え、甘い余韻も生み出します。
また、樽に詰めて輸送されるのも特徴で、樽に使われる木材は湿気を吸収し、コーヒーの高い香りを保ちます。
最上級グレードの「ブルーマウンテンNo.1」は特に高価で、スターバックスで1袋9,000円以上で販売されていたこともありました。
関連→スタバのコーヒー「ジャマイカ ブルーマウンテン」の感想を正直にレビュー
ブルーマウンテンのおすすめコーヒー
2,800円 200g
HORI COFFEE(珈琲ホリ)は、昭和44年創業の老舗コーヒー専門店です。ここでは、飲みやすさを重視して作られたブレンドから、産地の個性を丸ごと味わえるシングルオリジンなど、さまざまなコーヒー豆を販売しています。
特筆すべきは、創業34年目にして誕生した「極上ブルマンブレンド」というコーヒー豆で、英国王室御用達のブルーマウンテンNo.1をベースに、5種類のコーヒー豆をブレンドしたものです。
ブルーマウンテンに深煎りコーヒーをブレンドすることで、風味を損なうことなく、よりコクのある味わいが楽しめるのが特徴です。飲みはじめから最後まで、甘みと旨味が濃縮されたような味わいと、キレのよい後味が楽しめます。
Amazonで一番売れているブルーマウンテンで、180人が高評価の口コミをしている人気のコーヒー豆です。
豆の産地 | ジャマイカ、インドネシア、コロンビア、他 |
焙煎度合い | 深煎り |
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ハワイ産コナコーヒー
コナの特徴
ハワイ産のコナは、アメリカが誇るコーヒーです。ホワイトハウスの公式晩餐会で選ばれたことでも有名です。
ハワイはアメリカ合衆国で唯一のコーヒー生産地ですが、コナは世界のコーヒー生産量のわずか1%にも満たない希少な銘柄です。
一般的にコーヒーは、標高1,000m以上の山地で栽培されますが、ハワイ島のコナ地域では海抜250m〜800mという低地で栽培され、標高の高い地域よりも日差しが柔らかい環境です。
穏やかな海洋性気候にも恵まれ、キラウエア火山の火山灰の影響を受けた土壌はとても肥沃です。
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コナの味わい
気候や環境などの条件が他のコーヒー産地と異なることで、コナコーヒーは一線を画す個性を持っています。
とくに際立つのは、その滑らかさです。ジューシーで甘い酸味を持ち、焙煎度合いによって個性の引き出され方が変化します。
深煎りでは、蜂蜜やチョコレートを思わせる滑らかさがくっきり表現され、浅煎りや中煎りではハワイのリゾートを表現したようなフルーティさが味わいの主役になります。
コナのおすすめコーヒー
1,614円 227g
「ロイヤルコナ」というブランドは50年近くにわたって、品質の高さが認められてきたハワイコーヒーのシェアNo.1の人気ブランドです。
マウンテンローストは、香りが強く、重厚な苦味とまろやかなコクがあり、後味はさっぱりしています。バランスが良い味わいなので、好みが分かれないコーヒーです。
コーヒー本来の味わいを楽しむため、砂糖やミルクを加えずにブラックで飲むのがおすすめです。
豆の産地 | ハワイ |
焙煎度合い | 中深煎り |
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世界三大珍コーヒーとは
キリマンジャロ、ブルーマウンテン、コナが「正統派」の世界三大コーヒーであるのに対し、世界三大「珍」コーヒーと呼ばれるコーヒーもあります。
これは、動物に一度食べられて体内や唾液で発酵したコーヒー豆で、その希少性から採取するのが極めて難しく、いずれも驚くほどに高価です。
興味があってもなかなか手を出しにくいので、話のネタとして贈ってみてはいかがでしょうか。
ジャコウネコのコピ・ルアク
コピ・ルアクとは、ジャコウネコのフンから採取したコーヒー豆のことです。
インドネシアの島々に生息するジャコウネコは、熟したコーヒーチェリーを種(コーヒー豆)ごと食べます。
名前の由来でもある「ジャコウ(麝香)」はムスクの和名ですが、その香りを分泌するジャコウネコの消化酵素の働き、腸内細菌による発酵が複雑な香味を発生させます。
また、この腸内での発酵によりカフェイン量も通常のコーヒーのおよそ半分に減ります。
1匹から1日にわずかな量しか採取できない希少なコーヒーなので、ギフトに選ばれることが多い銘柄です。
関連→世界一高価なコーヒー豆「コピルアク」の感想を正直にレビュー
サルのモンキーコーヒー
モンキーコーヒーには地域によって2種類あります。
- アフリカのモンキーコーヒー:サルのフンからコーヒー豆を採取したもの
- インドや台湾のモンキーコーヒー:サルが一度食べ、噛んで吐き出したコーヒー豆を採取したもの
サルは本能的に熟して甘くなったコーヒーチェリーを食べる習性があるため、最も美味しい状態のコーヒーチェリーを選べると言われています。
サルはコーヒー豆を数分間噛み続け、飲み込むこともあれば、最後に吐き出すこともあります。
インドや台湾のモンキーコーヒーは、噛み続ける間にサルの唾液がコーヒー豆を発酵させるため独特の風味が生まれます。
なお、歯形がついたままのモンキーコーヒーも存在します。
タヌキのタヌキコーヒー
タヌキのフンから採取されるタヌキコーヒーは、ベトナムでは伝説的なコーヒーです。
このコーヒーは、偶然の出来事から誕生したとされています。
ある農家が大切なお客様のために完熟したコーヒーチェリーを摘んでおいたところ、タヌキに全て食べられてしまいました。
仕方なくタヌキが排出したコーヒー豆を丁寧に洗ってコーヒーを淹れてみたところ、これまでにないような風味が生まれていたそうです。
ベトナム式の器具でコーヒーを淹れると、よりこの誕生秘話に近い味を楽しめます。
さらに値段が高い動物の「珍コーヒー」もある
ブラックアイボリー
ブラックアイボリーとは、ゾウのフンから採取されるコーヒーです。
コーヒーチェリーをバナナなどと一緒にエサとして与えて、出てきたフンからコーヒー豆を採取します。
コーヒー豆に含まれるタンパク質が、消化器官を通ることで消化され、タンパク質由来の苦味がなくなると考えられてます。
また、雑食性のジャコウネコと違い、ゾウは草食であるためクリーンな味わいで、なめらかな口当たりです。
ただし、ゾウからの採取は非常に難しく、他の動物コーヒーよりもさらに高値で取引されています。
カペ・アラミド(アラミドコーヒー)
ジャコウネコから採取したフィリピン産のコーヒー豆が「カペ・アラミド(アラミド・コーヒー)」です。
インドネシア語で「コピ」はコーヒー、「ルアク」はジャコウネコという意味であることから、インドネシア産はコピ・ルアクと呼ばれていますが、フィリピンの現地語だと「カペ・アラミド」になります。
一匹から1日に数gしか採取できない、コピ・ルアクと同じく希少なコーヒーです。
その他の希少なコーヒー品種もおすすめ
ブルボンポワントゥ
ブルボンポワントゥは、知る人ぞ知る幻のコーヒーです。
古い文献に登場するコーヒー品種ですが、栽培されなくなり、ジャングルの奥地で野生化して絶滅しかかっていました。
この幻のコーヒーの復活を夢見たUCCは、1999年、レユニオン島でフランス政府機関や島民の協力を得てマザーツリーを発見します。
その後、7年の歳月をかけて、ブルボンポワントゥを復活させたのです。*2
ゲイシャコーヒー
コーヒーの国際品評会で優勝したゲイシャは、栽培が難しく値段が高いことで有名なコーヒーです。
収穫量が少ないうえに病気に弱く、栽培に手間のかかる品種ですが、パナマの農園で栽培に成功。
コーヒーとは思えないほどフルーティで華やかなアロマがあり、品評会において「ゲイシャショック」と呼ばれる現象を巻き起こしました。
この大反響から、特にパナマ産のゲイシャは希少な高級品種として毎年高値がつき、オークションが行われるまでになりました。
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1本の木から5~20%ほどしか採れないピーベリー
ピーベリーは、ごく稀に発見される「丸い豆」だけを集めたコーヒーです。
通常、コーヒー豆はコーヒーチェリーの中に半円形の豆が2つ入っていますが、ピーベリーは円形の丸豆が1つしか入っていません。
本来なら2つ入っている種子が1つになっているため、栄養分が凝縮され、味が変化すると言われています。
ピーベリーは焙煎の過程でも均一に火が通りやすく、甘みが増すことから一部のコーヒー愛好家から好んで飲まれています。
関連→ピーベリーおすすめランキング4選!実際に飲んだ味や普通の豆との違いも解説
一生に一度は飲んでみたい!希少なコーヒーを楽しもう
世界三大コーヒーを自分では購入する機会が少なく、ギフトとして選ばれることが多いです。
以下の記事では、世界三大コーヒーのようなギフトにおすすめのコーヒーを紹介しています。
参考文献
*1 全日本コーヒー公正取引委員会「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」(2023年10月14日閲覧)
*2 UCC「唯一無二の魅力 ブルボンポワントゥを取りまく豊かな自然環境と人々の暮らし」(2023年10月14日閲覧)