ダイエット中でもコーヒーを楽しみたいという人は、コーヒーを飲むと太るのか痩せるのか、気になりますよね。コーヒーにはダイエットの頼もしい味方になってくれる効果もありますが、飲み方によっては逆に太ってしまうことがあります。本記事では太りにくいコーヒーの飲み方について解説し、ダイエット向きのコーヒーやデザートのレシピも紹介します。
タップできる目次
コーヒーで太る場合の原因は?
1.飲み過ぎている
コーヒーに含まれるカフェインは、摂取量が多すぎると太る原因になることもあります。カフェインの覚醒作用の1つに、アドレナリンなどを増やして脳と体に危険を避けられるよう指令を送る作用があります。血流を増やす、瞳孔を拡大させるなど、人間が野生動物に襲われたときに全力で戦ったり逃げたりするのに役立つ仕組みです。
カフェインは適度な量なら、仕事や勉強への集中力を高めるなど良い効果がありますが、摂りすぎると過剰なストレスがかかった状態になってしまいます。するとイライラして食べ過ぎてしまったり、甘いものが欲しくなったりして、カロリーオーバーから太ってしまうことがあるのです。
2.睡眠不足になっている
カフェインのもう1つの覚醒作用は、眠気を感じなくさせる作用です。
仕組みをざっくり説明すると、「アデノシン」は「アデノシン受容体」につくことで眠気を促す「ヒスタミン」を生成させるが、「アデノシン」と似た構造を持つカフェインが代わりに「アデノシン受容体」にくっついてしまうため、眠気が起こらないというわけです。
カフェインは血液中の量が半分になるまでに2~8時間もかかります。そのため、夕方以降にコーヒーを飲むと、就寝時間になっても眠気が起こらなかったり、睡眠の質が下がってしまいます。すると、寝ている間に体脂肪を遊離脂肪酸に分解する成長ホルモンの分泌が減り、太りやすくなってしまうのです。
夕方以降はノンカフェインコーヒーやカフェインのない飲み物にすることで、睡眠不足による肥満を防ぐことができます。
3.砂糖・ミルク入りのコーヒーを飲んでいる
ブラックのコーヒーにはカロリーがほとんどありませんが、砂糖やミルクを入れれば、その分だけカロリーが上がります。また、糖分の多いコーヒーは血糖値を急激に上げ、インスリンが大量に分泌されるため、糖分を脂肪に変えてため込みやすくしてしまいます。
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4.一緒に食べるお菓子で太る
ブラックコーヒーには甘くこってりしたお菓子がとてもよく合います。そのため、ダイエット中にブラックコーヒーを飲んでいても、お菓子が恋しくなってしまう人は多いと思います。しかしコーヒーをブラックにしても、カロリーや糖質が高いお菓子をいっしょに食べてしまうと当然太ってしまいます。
また、上記の甘いコーヒーのように、血糖値が急上昇して太ることもあります。
コーヒーは本来痩せる飲み物?ダイエット効果はある?
1.脂肪燃焼・食欲抑制がある
カフェインは脂肪の「燃焼」を促進するとよく言われます。カフェインが直接脂肪を燃やしたり溶かしたりしているわけではありませんが、カフェインには脂肪分解のプロセスを促進する効果があるためです。
カフェインはリパーゼという消化酵素を活発にさせ、リパーゼは体脂肪を遊離脂肪酸とグリセリンに分解し、エネルギー源として使用できる形に変えます。このタイミングで運動すると分解された体脂肪がすぐにエネルギーとして使われる=「燃焼」されるのです。
また、カフェインは血中のアドレナリンとノルアドレナリンというホルモンの濃度を高くします。すると心拍数が増えたり、血管の収縮や拡張が誘導されたり、脂肪組織での脂肪分解作用が促進されたりします。
つまり、カフェインを摂取すると体脂肪の分解作用を手伝う酵素やホルモンの分泌が促されるため、痩せやすくなるというわけです。また、カフェインには血糖値を一時的に上昇させる作用があり、食事前に飲むと満足感が得られて食べ過ぎを防ぐことができます。
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2.ポリフェノールが脂肪を減らす
コーヒーに含まれる「クロロゲン酸」はポリフェノールの1つです。
ポリフェノールの代表的な働きは、体内の炎症を抑え、血管壁の血管をしなやかに保ち動脈硬化の予防です。さらに内臓脂肪を減らして肥満を解消する効果も実証されつつあります。
日本で肥満の人を対象に12週間にわたって行われた比較実験では、クロロゲン酸が297mg含まれるコーヒーを飲んだ人はそうでない人に比べて、体脂肪、特に内臓脂肪を含む腹部脂肪が減少したという結果が出ています。*1
実は日本人が最もポリフェノールを摂っている食品はコーヒーで、2位は緑茶です。これには、コーヒーに含まれているポリフェノール(クロロゲン酸)が、緑茶のポリフェノール(カテキン)の2倍であることも影響しています。
お腹周りの脂肪が気になる人は、継続的にコーヒーを飲んでポリフェノールの効果を試してみるのもよいかもしれません。
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3.むくみ改善効果がある
むくみは皮膚の下に水がたまった状態で、予防・改善には水分を適度に摂って流すことが大切です。コーヒーには利尿作用があり、摂った水分の排出に有効です。また、コーヒーに含まれるカリウムはナトリウム(塩)を体外へ排出させるためむくみの予防や改善に効果があります。
特にインスタントコーヒーはドリップコーヒーや缶コーヒーよりもカリウムの量が多いので、より効果が期待できます。ただし、むくみ解消にいちばんよいのは、同じ姿勢を長時間続けないことです。
座り仕事の人は立って歩き、立ち仕事の人は足を椅子に載せて横にするような体勢を取るとよいでしょう。また足のむくみには膝裏のマッサージや足首・足指を回すなども有効です。塩分を控えたり、運動して筋肉をつけることも長期的なむくみの予防につながります。
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1.1日あたり多くて3~4杯を目安に飲む
1日に飲むコーヒーの適量は3~4杯までです。カフェインの1日あたりのカフェイン摂取量の目安は400mgまでとされており、アラビカ種のコーヒーにはマグカップ1杯で約100mgのカフェインが含まれているからです。
コーヒーのカフェインには、摂りすぎると上記のように肥満や不眠などの原因となり、他にも心拍数の上昇や下痢などさまざまな体調不良を起こすことがあります。
2.食後や運動前に飲む
コーヒーには上記のような脂肪分解作用があります。
カフェインが吸収される時間を逆算して、運動をする30分〜1時間前にコーヒーを飲んでおくと、代謝が上がり、体脂肪がエネルギーに変わりやすくなり、運動による減量をスムーズにすることができます。またコーヒー由来のポリフェノール「クロロゲン酸」を食事といっしょに摂取すると脂肪の吸収を抑えたという報告もあります。*2
そのため食後にコーヒーを飲むことで同様の効果が期待できるかもしれません。ただしコーヒーに含まれるタンニンは鉄と結合しやすく、タンニンと結合した鉄は水(血液)に溶けにくくなるため体の外に排出されてしまいます。
ですので、鉄分不足の人は鉄分の吸収を妨げないように、食事前後30分空けて飲んだほうがよいでしょう。
3.夜中・寝る前には飲まない
夜、寝る前に温かいコーヒーを飲んでくつろごうと思う人もいるかもしれません。
しかしカフェインの覚醒作用は30分~2時間で最大となるため、寝つきが悪くなったり、睡眠を妨げたりして睡眠の質を下げてしまいます。寝る直前でなければ大丈夫と考えている人も多いようですが、上記のように血液中のカフェイン量と作用が半分になるまでには2~8時間もかかります。
夜コーヒーを飲む習慣がある人は、カフェインレスコーヒーをホットで飲むのがおすすめです。
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4.コーヒーは無糖・微糖にする
ダイエット中のコーヒーはブラックが基本です。砂糖やミルクを入れればカロリーと糖質が増えるからです。
甘みが欲しい時は、砂糖よりハチミツの方が少量でも甘みが出ますし、カロリーの少ない甘味料もおすすめです。また、甘い香りづけをしたフレーバーコーヒーも満足感を与えてくれます。
また、レギュラーコーヒーはインスタントコーヒーよりカフェインやクロロゲン酸などの含有量が多くなります。
クロロゲン酸は深煎りよりも浅煎りの方が多く、アイスコーヒーよりもホットコーヒーのほうが脂肪分解作用を促進します。これらのことを参考に、飲み方を工夫してみてください。
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5.牛乳の代わりに豆乳・低脂肪乳・コーヒーフレッシュを使う
ブラックコーヒーよりカフェオレの方が好きな人には、豆乳がおすすめです。
豆乳は牛乳よりもカロリーや糖質が低く、豆乳の植物性タンパク質の方が消化がゆっくりで満腹感が持続しやすいなどダイエット中の人にはメリットがたくさんあります。
豆乳を入れたコーヒーが苦手な人は低脂肪牛乳もよいでしょう。糖質は牛乳と変わりませんが、カロリーは豆乳より低くなります。また、コーヒーフレッシュはタンパク質などの栄養はありませんが、量を調整しやすく濃厚なので入れ過ぎを防ぐことができます。
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6.浅煎りのコーヒーを飲む(研究結果あり)
コーヒーに含まれるポリフェノール「クロロゲン酸」は上記で述べたように、肝臓内での脂肪燃焼を亢進させて肥満を解消する効果があることがわかっています。
しかしコーヒー豆の中の「クロロゲン酸」は熱に弱いため、焙煎によってコーヒー酸とキナ酸に分解されてどんどん減少していきます。
そのため、クロロゲン酸の量は生豆でいちばん多く、浅煎りから中煎りの段階で6~7割ぐらい(焙煎のスピードと温度により幅があります)が消失し、焙深煎りではほとんど残りません。*3 *4
また、ペーパードリップはコーヒーメーカーよりクロロゲン酸が多く抽出されたという報告がされています。その理由は、粉とお湯が馴染む蒸らし時間があるためです。*4
つまり、脂肪燃焼を助けるポリフェノール「クロロゲン酸」を利用するには、浅煎りのコーヒーを選び、ペーパードリップで飲むのがベストということになります。
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コーヒーのダイエット向きレシピのおすすめ
1.バターコーヒー
体脂肪になりくいMCTオイルなどの良質な油をコーヒーに加えたバターコーヒーは、上記で述べたコーヒーの代謝促進や脂肪分解の作用と相乗効果で中性脂肪を減らします。
インスタントタイプでも効果があるので手軽にダイエットしたい人におすすめです。
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2.コーヒーゼリードリンク
コーヒーゼリーに牛乳を注ぎ、ゼリーを崩しながら飲むコーヒーです。寒天の食物繊維は糖質の吸収をゆっくりにするだけでなく整腸作用もあります。満腹感も得られるので、ダイエット中のおやつにぴったりです。
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3.ソイラテ
豆乳を使ったソイラテは糖質とカロリーが抑えられます。レシピではシナモンをトッピングしていますが、フレーバーコーヒーで作っても甘い香りが楽しめます。どうしても甘みを加えたいときは、砂糖ではなくハチミツや低カロリーの甘味料を使用しましょう。
実際にコーヒーダイエットで14キロ減量した(ビフォーアフター写真付き)
ブログの管理人がトクホのインスタントコーヒーを飲んだ結果、5ヶ月で14kgの減量に成功しています。ブラックコーヒーを飲むだけでもダイエット効果は得られますが、脂肪の吸収を抑えたり、糖の吸収をおだやかにしてくれるトクホのコーヒーを飲めばダイエット効果を高めることが可能です。
詳しくは「コーヒーダイエットで14キロ痩せた。減量効果と結果をブログで公開【ビフォーアフター写真あり】」をご覧ください。
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参考文献
*2 コーヒー由来クロロゲン酸類摂取による食後血中中性脂肪上昇抑制作用の検討 -プラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー試験-