早速ですが、コーヒー豆に混入している「欠点豆」の種類と見分け方をまとめました。
また、欠点豆だけで入れたコーヒーはどんな味がするのか?実際に飲んでみました。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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コーヒーの欠点豆とは?
コーヒーの欠点豆とは、味や風味に悪い影響を与える不良豆のことです。
結論から言うと、欠点豆には無視できる種類と、できない種類があります。
無視できない、コーヒーの味に大きく影響するのがカビ豆、発酵豆、虫食い豆などです。
まず、焙煎前と焙煎後に取り除くべき欠点豆の種類を見せます。
欠点豆の種類
コーヒーの味に大きな影響を与える欠点豆は次の5種類です。
- カビが生えた豆
- 発酵豆
- 黒豆
- 虫食い豆
- 死豆(未成熟豆)
買ってきたコーヒー豆にこれらが入っていたら、取り除いた方が良いです。
コーヒーがまずいだけでなく、健康被害のおそれもあるためです。
カビが生えた豆
生豆の状態の「カビ豆」
焙煎後のカビ豆
▼カビが生えた豆を取り除く理由
- カビ臭い
- コーヒー本来の香りと味は喪失している
- 健康被害の危険がある
カビ豆は、表面に小さな穴が開いていたり、黄色または赤みがかっているのが特徴です。
虫食いの状態など、いろんな問題が合わさっている状態のことが多いので、買ってきたコーヒー豆(焙煎後の豆)に混じっていれば1発でわかります。
カビの臭い、えぐみ、渋み、酸味などコーヒーの味に大きな悪影響を与えるため、必ず取り除く必要があります。
カビの発生は、生豆の保管および輸送中の湿度・温度が高い状態で起こりやすいです。
虫食い豆
焙煎後の虫食い豆
▼虫食い豆を取り除く理由
- 中にカビが生えている
- 異臭の原因になる
豆の表面に虫食いの穴があるのが特徴。
虫食い部分にカビが発生していることが多いため、必ず取り除く必要があります。
まだら・斑点のある豆
焙煎後のまだら・斑点のある豆
▼まだら・斑点のある豆を取り除く理由
- カビ臭さ、異臭の原因になる
カビ豆の一種。緑がかった色をしているのが特徴です。
カビ臭さ、異臭の原因になるため、必ず取り除く必要があります。
発酵豆
焙煎後の発酵豆
▼発酵豆を取り除く理由
- 酸っぱい味の原因になる
- 異臭の原因になる
豆の表面が薄茶色や茶色いのが特徴です。
コーヒーの味が酸っぱくなるため、必ず取り除く必要があります。
コーヒーチェリーから豆を取り出す際(精製)に、発酵槽に長く漬けすぎたり、槽の水が汚れていることが原因です。
見た目が明らかにおかしいので、1発でわかります。
黒豆
焙煎後の黒豆
▼黒豆を取り除く理由
- 酸っぱい味の原因になる
- 異臭の原因になる
発酵豆の一種ですが、完全に発酵して真っ黒になったもの。
コーヒーの抽出液に1粒でも混じると強烈な異臭を放つため、必ず取り除く必要があります。
ほんの数個の黒豆が豆全体をまずくする可能性があります。
未成熟豆(未熟豆)
焙煎後の未成熟豆
▼未成熟豆を取り除く理由
- えぐみ、青臭さ、渋みの原因になる
コーヒーとして飲用するのに向かない未成熟豆の豆です。
青臭い風味を放つのが特徴です。
焙煎後も色がつかず、普通のコーヒー豆と比較して明らかに色が明るいので1発でわかります。
未成熟豆には、褐色の素となる糖分(ショ糖)がほとんど含まれていないため、焙煎しても色がつきません。
砂糖水を加熱すると飴色になりますが、ただの水では色が付かないのと同じ原理です。
カップの風味を著しく損ねるため、必ず取り除く必要があります。
死豆
焙煎後の死豆
▼死豆を取り除く理由
- えぐみ、青臭さ、渋みの原因になる
死豆は未成熟豆の1種です。
生豆の状態だと白に近い色をしているのが特徴です。
欠豆
▼欠豆を取り除く理由
- 酸味が低下している
- 良豆と一緒に焙煎すると焦げやすい
精製や運搬の過程で割れたり欠けたりしてしまった豆。
火が通りやすいため、良豆と一緒に焙煎すると焦げやすいので取り除く必要があります。
貝殻豆
▼貝殻豆を取り除く理由
- 味がしない
- 焦げやすい
精製の過程で中身が抜け落ちてしまった豆。
味、香りが喪失しており、火が通りやすく焦げやすいので取り除く必要があります。
枯れた豆
▼枯れた豆を取り除く理由
- 味がしない
- 香りがない
水分が抜けすぎて枯れてしまった豆。
焦げやすい。風味も喪失しているため取り除きます。
パーチメント
▼パーチメントを取り除く理由
- 大量にある場合、土臭さ、カビの臭いなど異臭の原因になる
コーヒーチェリーの内側にある内果皮が、取り除かれずに残ってしまっているもの。
この皮の内側に生豆があります。
パーチメントが大量にある場合、土臭さ、カビの臭いなど異臭の原因になるため取り除きます。
異物
実際に混じっていた異物
異物の混入を見逃すと、コーヒーミルが壊れる可能性があります。
人間がちゃんとチェックしているお店で買えば、これらが入っている可能性は低いです。
しかし、安価なコーヒー豆はチェックにコストをかけられないので、できれば飲む前に自分で取り除くのが理想です。
焙煎後に取り除く欠点豆(購入後に取り除くもの)
先ほど紹介した「カビが生えた豆」「発酵豆」「虫食い豆」「欠豆」「貝殻豆」「未成熟豆(未熟豆)」などを焙煎すると、このようになります。
お店で買ったコーヒー豆の場合、次のような欠点豆は取り除くと飲みやすくなります。
一言でいうと、見た目が普通じゃないコーヒー豆は取り除いて問題ありません。
▼見た目が普通のコーヒー豆
普通のコーヒー豆は、見た目に統一感があります。
色、形が違うコーヒー豆が入っていないのが特徴です。
お店にもよりますが、100g 500円以上のコーヒー豆だと、欠点豆の混入率が下がる印象です。
欠点豆の味は?実際に飲んでみた
実際に欠点豆だけで抽出したコーヒーを飲んでみます。
「エチオピア モカ」というコーヒー豆を使います。
抽出に関しては、普通のコーヒー豆と欠点豆に違いはありませんでした。
入れたてのコーヒーと冷めたコーヒーで味を検証します。
欠点豆の味・香り
- 良豆と比較して、コク、旨み、甘みが控えめ
- 香りの華やかさ、フルーティーさが良豆と比較して明らかに少ない
- 土のようなアーシーな香りが感じられる
- コーヒーが冷めると渋みが強くなる
- 渋い紅茶を飲んだ時のような口のキシキシ感、ザラザラ感が強い
渋みが強く、安価なティーバッグをカップの中で放置した時のような口のキシキシ感が強いです。
普通のコーヒー豆の味、香り
- モカ特有の華やかな香りがある
- 土臭さが少ない
- 口がキシキシしない
- 冷めても渋みがない
良豆だけで抽出したコーヒーは、モカらしい華やかな味、香り、風味が感じられます。
冷めても不味くならないので、最後まで飲みやすいです。
味にこだわるなら欠点豆を取り除くのが理想
本記事では欠点豆の種類や、取り除くべき理由、欠点豆の味について解説してきました。
コーヒーの味に重大な影響を与える欠点豆は次の5種類です。
- カビが生えた豆
- 発酵豆
- 黒豆
- 虫食い豆
- 死豆(未成熟豆)
「カビが生えた豆」などの欠点豆は、コーヒーが持つ香りと味が喪失しており、健康被害のリスクも含んでいます。
豆の状態なら取り除くことも可能ですが、粉の状態でコーヒーを購入すれば、カビに気付くことは不可能です。
おいしいコーヒーを安全に楽しむなら「豆の状態」で購入することをおすすめします。