眠気を覚ましたいときや、仕事や勉強をするときに飲むことが多いコーヒー。
コーヒーに含まれているカフェインには、眠気覚ましの効果があると聞いたことがある人は多いと思います。
実は、ほかにも利尿作用や疲労回復効果など、様々な効果があります。
しかし、カフェインの摂りすぎには注意が必要です。摂取量や注意すべきケースがあります。
どのくらいまでなら飲んでも大丈夫なのでしょうか?
本記事では、カフェインの効果や、目安の摂取量やカフェインが含まれる飲み物、注意すべきケースなどについて解説します。
タップできる目次
コーヒーに含まれるカフェインの効果4つ
コーヒーに含まれるカフェインにはさまざまな効果があります。
一番有名なのは覚醒作用、いわゆる眠気覚ましの効果です。ほかにも、利尿作用や疲労回復、鎮痛作用などがあると言われています。
世界で飲まれているコーヒーに含まれるカフェインには、私たちの体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
覚醒作用(眠気覚まし)
カフェインには、眠気が覚める覚醒作用があります。
私たちが眠気を感じるには、脳の覚醒作用をストップし、神経を落ち着かせる働きを持つ「アデノシン」が脳内で働く必要があります。
カフェインは、このアデノシンを脳内でブロックして働けないようにするため、眠気を誘わず、覚醒作用につながるというわけです。
カフェインが効き始めるのは摂取してから30分後になるので、会議の30分前や眠くなってしまう午後の前に飲むとよいでしょう。
昼寝をするときは30分程度が良いと言われているので、昼寝をする直前に飲むのもおすすめです。
利尿作用(むくみ解消にも効果あり)
カフェインには利尿作用があります。
尿は腎臓で作られています。カフェインを摂取することで、末梢血管が拡張され、腎臓の血管も拡張し、腎臓の働きが活発になることで尿量が増えます。そのため、排尿の量や回数が増加します。
腎臓には、体内の水分量を調整する働きがあります。カフェインを摂取すると腎臓が活発になり、余分な水分が体内から排泄され、結果としてむくみ改善にも効果が期待できます。
疲労回復効果
カフェインには疲労回復効果も期待できます。
私たちは、脳内に存在しているアデノシン受容体という部分にアデノシンが結合することで疲労感を感じると言われています。
カフェインは、このアデノシンがアデノシン受容体に結合することを妨げるため、疲労感を感じにくくなります。
また、カフェインには運動中の疲労軽減や集中力を高める効果も期待できます。運動中や勉強中の集中力を上げたいという方におすすめです。
鎮痛作用
カフェインには鎮痛作用があります。
実は、カフェインは一部の鎮痛薬にも含まれています。カフェインを摂取すると血管が収縮させる働きがあるため、血管が拡張されたことによって起こる頭痛に効果が期待できます。
ただし、頭痛を鎮めたいからといってコーヒーを飲みすぎると、カフェインの過剰摂取につながることもあるので、注意しましょう。
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1日あたりのカフェイン摂取量
日本国内では、現在カフェインの目安摂取量は定められていません。そのため厚生労働省では海外の主な機関の基準値を参考にしています。
1日あたりのカフェイン 摂取量の目安 |
提唱している機関名 | |
子供 | 2.5mg/kg |
カナダ保健省 |
4-6歳 7-9歳 10-12歳 |
45mg 62.5mg 85mg |
|
健康な成人 | 400mg | カナダ保健省 |
妊婦 | 300mg 300mg 200mg |
カナダ保健省 オーストリア保健・食品安全局(AGES) 英国食品基準庁(FSA) |
※健康に影響のないとされるカフェインの量(食品安全2017, 51より抜粋)
欧州食品安全機関(EFSA)やカナダ保健省(HC)では、健康な成人の場合1日あたり400mgまでを悪影響がない量としています。
カフェインに対してリスクのある妊婦については、世界保健機関(WHO)、カナダ保健省(HC)の場合だと1日300mgまで、欧州食品安全機関(EFSA)の場合は1日200mgまでとしています。
参考リンク:内閣府 食品安全委員会 食品安全関係情報詳細
また、子供については年齢別に摂取上限量がある国や、なるべくカフェイン入りの飲み物は控えたほうが良いと注意喚起している国もあります。
日本国内では、日本人の摂取状況に基づいたカフェインが天然に含まれている食品からのカフェイン摂取状況について、健康への評価が実施されていない現状にあります。
今後も情報収集に努めるとのことなので、新たに摂取基準量が定められる可能性も十分考えられます。
それまでは、海外でリスク評価されている基準値を参考に、摂取量を守るよう心掛けるとよいでしょう。
コーヒーだけじゃない?カフェインが含まれる飲み物
カフェインの過剰摂取には注意したほうが良いということがわかりましたが、実際コーヒーに換算するとどのくらいまでなら飲んでも大丈夫なのでしょうか?
また、コーヒー以外にもカフェインが含まれている飲み物があります。どんなものにカフェインが含まれているのか、またそれぞれどのくらいまでなら飲んでも良いのかについてみていきましょう。
コーヒー
コーヒー豆10gを150mlのお湯で抽出したドリップコーヒーの場合、カフェインは100ml中に60mgほど含まれています。
ただし、コーヒーの抽出時間が長くなるとカフェインの抽出量が増えます。
インスタントコーヒーの場合は、100ml中57mgのカフェインが含まれています。
ドリップコーヒーもインスタントコーヒーも、健康な日本人ならマグカップ3杯程度に留めておくと良いでしょう。
缶コーヒーの場合は、缶の大きさや種類によって異なり、おおよそ90~160mgと幅があります。
成分表示を見て、どのくらいのカフェインが含まれているのか確認しておくと良いでしょう。
参考リンク:欧州食品安全機関 さまざまな種類の食べ物や飲み物には、どのくらいのカフェインが含まれていますか?
日本茶
日本茶のカフェイン含有量は以下の通り。
- 煎茶:20mg
- 玉露:160mg
- ほうじ茶:20mg
- 抹茶:30mg
- 番茶:10mg
- 玄米茶:10mg
玉露は比較的高級な茶葉のため、なかなか口にする機会が少ないかも知れませんが、かなりカフェインが含まれていることがこの数値から分かります。
カフェインが気になる方は、煎茶、番茶を選ぶことをおすすめします。
参考リンク:妊娠中や授乳中でも飲んでいいですか?(伊藤園)
紅茶
紅茶にもカフェインが含まれています。茶葉5gに熱湯360mlを加え、1.5~4分浸出すると、100ml中に30mgのカフェインが抽出されます。
コーヒーよりもカフェイン含有量は少ないですが、立派なカフェイン飲料のひとつです。
健康な成人であれば、1日5~6杯程度飲んでも良いでしょう。
関連リンク:紅茶に含まれているカフェインってどれくらい?(DELISH KITCHEN)
エナジードリンク
エナジードリンクは、眠気覚ましを目的とした商品が多いため、カフェインの含有量が高くなる傾向にあります。
一般的なエナジードリンクは1本あたり、36~150mgほどのカフェインが含まれています。
一度、どのくらいのカフェインが含まれているのか成分表示をチェックしてみましょう。
1日1本飲む程度であれば問題ありませんが、一気にまとめて飲んだり、長期的に多く飲むと過剰摂取につながる恐れもあるので注意が必要です。
参考リンク:エナジードリンク、レッドブル等に含まれるカフェイン量と摂取限度目安は?(くすりの窓口)
コーラなどの清涼飲料水
コーラ飲料は、100mlあたり10~13mgのカフェインが含まれていると言われており、商品によって含有量はさまざまです。
コーラは、もともと西アフリカにあるコーラナッツと呼ばれる実から抽出したエキスを原料としています。
このコーラナッツにはカフェインが含まれていました。当時、現地の方はコーラナッツを噛んで、空腹感を減らしていたことからカフェインの効果に注目していました。
そのため、現在販売されているコーラにはコーラナッツは使われていませんが、わざわざカフェインを入れていると言われています。
カフェインを過剰摂取するとどうなる?
中毒的な症状が出てしまうこともあるため、カフェインの摂りすぎには注意が必要です。
カフェインは、適量摂取すれば眠気覚ましなどの効果を得られることができますが、過剰摂取に注意が必要な成分です。
頻繁にカフェインを取り入れると、体がカフェインに対応してきて効きにくくなってきます。
そうなると、効果を得るためにカフェインをより多く摂取するようになり、カフェインに依存してしまいます。結果的に中毒的な症状が出てしまうこともあります。
このようにならないためにも、カフェインの摂りすぎには十分に注意することが必要です。
カフェインを摂りすぎるとどのような症状が出てくるのか、下記にまとめました。
身体症状
体にあらわれる症状としては、めまいや吐き気、下痢などが挙げられます。
また、ひどくなると手の震えや心拍数の増加がおこる場合もあります。
これらの症状は、カフェインが中枢神経にはたらきかけることで起こります。
精神症状
カフェインの摂取を繰り返すと、興奮状態や不眠、頻脈などの症状があらわれますが、あまり自覚症状はあらわれません。
さらに、カフェインを摂取しないと倦怠感を感じるようになってしまったり、依存症につながってしまいます。
また、カフェイン摂取により不眠症を誘発したり、うつ病やパニック障害の悪化につながってしまうこともあります。
カフェイン摂取を特に注意すべきケース
健康な成人以外で、カフェインの摂取に注意しなければならないケースは、下記の3パターンです。
- 妊婦さんのケース(授乳中の方を含む)
- 子どものケース
- 小柄な体格の日本人のケース
それぞれのケースにおける1日の摂取量やカフェインの影響についてチェックしていきましょう。
妊婦さんのケース
妊婦さんや授乳中の場合、胎児や赤ちゃんに影響してしまうため、カフェインの摂取量には注意が必要です。
特に妊婦さんが飲むと、カフェインの血管収縮作用により、おなかが張り、流産や早産のリスクにつながることがあります。
妊婦さんだと、世界保健機関(WHO)とカナダ保健省の場合は300mg/日まで、欧州食品安全機関(EFSA)は200mg/日までとしています。
授乳中の場合、欧州食品安全機関(EFSA)で200mg/日までとしており、コーヒーをマグカップ2杯程度が目安です。
子どものケース
子どもは、消化機能や代謝機能が十分に発達していないため、カフェインの影響を受けやすい可能性があります。
また、成長に必要な睡眠を妨げてしまったり、脱水症状になりやすいため、摂取量に注意が必要です。
カナダ保健省では、4~6歳の子どもは45mg/日、7~9歳なら62.5mg/日、10~12歳なら85mg/日としています。
13歳以上の青少年は、体重1kgあたり2.5mg/日が摂取上限量です。
カフェインの効果が気になる人にはデカフェもおすすめ
カフェイン摂取を控えている方や、過剰摂取が心配な方にはデカフェがおすすめです。
日本で販売されているデカフェのほとんどはカフェインが90%以上除去されており、妊婦や授乳中でも安心して飲むことができます。
実際に飲んだ感想をこちらにまとめています。
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カフェインの効果に関するよくある質問
Q:カフェインの効果ってどれくらい続く?
A:2〜4時間程度。ただし個人差も。摂取したカフェインは、小腸で吸収され血流にのって全身にわたり、約30分で脳に到達すると言われています。
脳に到達することで、覚醒作用などの効果があらわれはじめます。この効果は2~4時間程度持続すると言われており、効果がゼロになるまでには5~7時間程度かかると言われています。
体格やカフェインの量によっては効果や持続時間に差があることもあります。
Q:カフェインがダイエットや脂肪燃焼に良いって本当?
A:代謝促進作用や胃酸分泌促進作用などによってダイエットに効くこともあります。カフェインを摂取すると、基礎代謝が上がることで、脂肪が燃えやすくなるという報告があります。
そのため、ダイエットや脂肪燃焼にも効果が期待できると言われています。ただし、いくらダイエットに良いからといって、飲みすぎると過剰摂取になる恐れがあるので、摂取量には注意しましょう。
Q:カフェインの効果には個人差がある?
A:カフェイン感受性には個人差があります。カフェインが効きやすい人、効きにくくなる人がいます。
そのため、カフェインをどのくらい飲んでから自分にどのような症状が出るのかをチェックしておくことが大切です。
また、毎日カフェインを摂取していると、カフェインに対して耐性ができてしまい、効きにくくなってしまいます。
ここで、カフェインが効くまで摂取量を増やし続けてしまうと、中毒症状に陥る危険もあるので、注意しましょう。
Q:デカフェやカフェインレスコーヒーでも効果はある?
A:含まれるカフェイン量によって効果は変わります。カフェインレスコーヒーとデカフェは同じものを意味しています。
これらは、コーヒー豆からカフェインを取り除いたものを指しており、わずかにカフェインが含まれています。日本では90%以上カフェインをカットしたものを「カフェインレス」と呼んでいます。
対して、ノンカフェインコーヒーは、原料にカフェインが含まれていないものを使っています。こちらは、カフェインが一切含まれていません。
Q:カフェインの錠剤は効果ある?
A:効果は十分あります。むしろ取りすぎに注意しましょう。眠気覚ましとして売られているものがあり、ドラックストアや薬局などに売られていることが多いです。
これらは医薬品であるため、かなりのカフェインが含まれています。必ずパッケージに用法・用量が記載を読み、守るようにしましょう。
カフェインの錠剤を飲む場合は、ほかのカフェインが含まれているものと一緒に飲まないように気を付けましょう。過剰摂取につながる可能性があります。
Q:ホットコーヒかアイスコーヒーでカフェインの効果は変わる?
A:温度によってカフェインの効果は変わりません。ただし、アイスコーヒーの場合、冷たいものが体内に入るため小腸粘膜の毛細血管が収縮し、吸収が遅くなりやすいです。
つまり、ホットコーヒーのほうが、カフェインの効果が早くあらわれやすいです。
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