浅煎りコーヒーを淹れようとするも上手に淹れられない方は多いのではないでしょうか。
浅煎りコーヒーの淹れ方で悩んでいるあなたへ今回はバリスタの立場から上手なコーヒーの淹れ方やお湯の温度まで解説していきたいと思います。
コーヒーは人それぞれの淹れ方があるため今回の方法は数あるうちのひとつと思っていただけると幸いです。
まずは浅煎りコーヒーを入れるための道具から見ていきましょう。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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浅煎りコーヒーを美味しく入れるために必要な2つの道具
浅煎りコーヒーをおいしく入れるために用意したいのは「電子スケール」と「タイマー」です。この2つは美味しいコーヒーを淹れるうえで、持っていると便利なアイテムです。
わずかなコーヒー粉の重さや抽出時間によって違う味わいになります。この違いがコーヒーを淹れる楽しさでもあり難しさでもあります。コーヒーを淹れる際は、なるべくコーヒー粉の重さと時間を正確に測って淹れるのがおすすめです。
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浅煎りコーヒーの入れ方(抽出方法)
浅煎りコーヒーを淹れた経験の中で、次のように感じたことはないでしょうか。
- 酸味が強い(酸っぱい)
- とがった、刺激的な味
ずばり、浅煎りコーヒーを飲みやすくするなら、豆をなるべく粗めに挽くのがおすすめです。実際に細挽きと味を比較しましたが、粗挽きにした浅煎りの方が酸味が少なかったです。
粉の挽き目でコーヒーの味はどれくらい違うのか?浅煎りを細挽きと粗挽きで検証しました。香りはどちらも同じ。細挽きは明らかに酸味が強くて渋みあり(過抽出)。粗挽きは味がマイルドで紅茶みたい。渋み一切なく飲みやすい。お手持ちのコーヒー豆が酸味強いなら粗挽きにしたほうが飲みやすくなります pic.twitter.com/6E4ygK5DgW
— 山口誠一郎/山口的おいしいコーヒーブログ管理人 (@ycoffee_review) May 15, 2023
ただし、粗挽きだとかなり軽めの味になるので、人によっては物足りないと感じるかと思います。なので、まずはスタンダードな中細挽きから試してみて、酸っぱく感じたら目盛り1つ分粗挽きにしてみる、といった感じで調節することをおすすめします。
浅煎りコーヒーの入れ方レシピ
僕がおすすめする浅煎りコーヒーのドリップレシピは以下になります。
- コーヒー粉:15g
- 抽出量:150g
- 抽出時間:最長で1分30秒(蒸らし30秒込み)
- 豆の挽き目:中細挽き
浅煎りコーヒーの抽出は簡単です。極論、「上からお湯をぶっかけるだけ」くらいの感覚でOKです。
浅煎りは深煎りよりも太めにお湯を注いで、サッと抽出することで渋みがなくなり、甘みが引き立ちます。
甘みが引き立つことで、酸味がマイルドに感じられて、結果的に美味しい浅煎りコーヒーになります。
短時間で抽出する
▲お湯の太さはこれくらいでOK。
さきほどのレシピで「最長で」と書いたのは、浅煎りはこれ以上長い時間をかけて抽出すると渋みがでやすくなるためです。渋みが出ると後味も悪くなりますし、甘みや旨みなど「美味しい」と感じる要素を邪魔するため、渋みは少ない方が望ましいです。
コーヒーの抽出は前半で甘みなどの成分が出て、後半は雑味(渋み)が出ます。ドバドバ注いでも旨みはしっかり抽出されるので、仮に1分で抽出を終えても浅煎りの場合は美味しく飲めます。
豆の品質がよければ、適用に抽出しても美味しくなります。
コツ
浅煎りのコーヒー豆は深煎りよりも水分が多いため重く、粉がドリッパーの下部に沈み込みやすいです。
沈み込むと湯だまりができやすくなり、「過抽出」という状態になって渋みが出ます。
▲浅煎りはこのように湯だまりができるのが普通
この状態でも構わず上からドバドバと、粉が暴れるくらいの勢いでお湯を注ぎます。
こうすると比重が軽い微粉が上がってきて、ペーパー(ドリッパー)の淵にたまります。微粉は表面積が多いため、ドリッパーの下に留まったままだと成分が出過ぎて「過抽出」になります。すると渋みが出るので、淵にいてもらった方が好都合なのです。お湯をドバドバと注ぐのには、こういった理由もあります。
浅煎りは湯だまりができる前の前半でおいしさを抽出するので、序盤からお湯を太めに注ぎ、酸味と甘みを抽出します。
後半の時間を長く取ればコクと、雑味による「複雑さ」が増し、短くすればフルーティーさが強くなります。
▲お湯の太さはこれくらいでOK。
内容を簡単にまとめると、
- 浅煎りは一気にドバドバとお湯を注いでOK
- 粉は細挽きが良いとも言われますが、渋みが出やすくなるので中細挽きがベター
湯だまりができて時間内に抽出できない場合、そのまま放置してても渋みが出るだけなのでドリッパーをはずします。
足りない分は加水して補います。
抽出前半で甘みと酸味を落としているので、ただのお湯を加えても十分美味しくなります。
お湯の温度
沸騰したお湯を常温のケトルに移し、その状態で注げば適温になります。この方法なら温度計付きのケトルも必要ないので楽です。
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味の調整方法
味の調整はお湯を注ぐ時間と豆の挽き具合によって大きく左右されます。コーヒー粉とお湯の接触面積が大きいと成分がお湯に溶け出しやすいです。
雑味や喉に引っかかるような味わいが出てしまった場合は、豆の挽きを粗くすると良いです。
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浅煎りコーヒーを入れる時に攪拌すると甘みが増す?
コーヒー抽出は攪拌する(粉を混ぜる)と味が変わるのか?細挽きにした2つの浅煎りコーヒーで検証しましたが結論ほぼ変わらない。攪拌すると甘みが増すとも言われてますが今回の検証では大差なかったです。つまり普通に上からお湯を注ぐだけで十分に粉全体から抽出できていると言えそうです。 pic.twitter.com/HwhSvyyVO5
— 山口誠一郎/山口的おいしいコーヒーブログ管理人 (@ycoffee_review) May 17, 2023
攪拌した方が良いとも言われていますが、結論やっても味はほとんど変わりません(上からお湯を注ぐだけで十分抽出できる)
なお、攪拌のことを「アジテーション」と言います。浅煎りコーヒーを淹れる際によく用いられる方法ですが、アジテーションが用いられる理由は深煎りと浅煎りの抽出効果に差があるためです。
焙煎したコーヒー豆の中には無数の空洞があります。深煎りの場合、空洞の数が多いため成分を抽出しやすくなっています。日本では深煎りコーヒーが主流ですが、コーヒー粉を動かさないようお湯を注ぐ方法は理にかなった方法なのです。
しかし浅煎りは空洞の数が少ない(お湯と触れる表面積が小さくなる)ため、成分の抽出がしにくいため、撹拌効果を利用し抽出していくといったひと手間が必要といわれています。
具体的なアジテーション方法は2通りあります。
- お湯を注ぎ終えた後に手動にて撹拌(スピン)する
- お湯を注ぐ勢い(乱流)を利用して撹拌する
スピンはドリッパーを直接手で持ちグルグル回転する遠心力を活用し、コーヒーの層を撹拌する方法です。スピンでは蒸らしのタイミングと注湯後のタイミングで行う2通りの方法があり、それぞれ目的が異なります。
蒸らしのタイミングで行うスピンでは、すべてのコーヒー粉にお湯が浸透することを目的に行います。蒸らす際にコーヒー粉にお湯が浸透していないエリアをなくすことで、次にお湯を注いだ際に不均一な抽出が行われないようリスクを回避できます。
以前はスプーンを用いた撹拌方法が一般的でしたが、サードウェーブコーヒーがトレンドになって以来スプーンでの撹拌より有効とされています。
注湯後のタイミングで行うスピンでは、コーヒーの層に遠心力を加えることで不均一な抽出をしている経路を断ち切ることができます。さらにコーヒーベッドをフラットな状態にすることで均一な抽出ができるため、均一に抽出することを目的に行われます。
乱流はお湯の勢いを利用し、コーヒー粉を撹拌する方法です。しっかり抽出できないケースが多いコーヒーの下層までしっかりお湯を行き渡らせることによって均一な抽出を促すことを目的に行われます。
先ほどのTwitterの検証では、浅煎りのゲイシャを使いましたが、結論として味も香りもほぼ変わらず。上からお湯を注ぐだけで十分に抽出できているため、アジテーションしたコーヒーと変わらずしっかりとフレーバーも甘みも出ていました。
浅煎りコーヒーの入れ方が難しいならフレンチプレスもおすすめ
シンプルに美味しくする方法として、フレンチプレスで抽出することもおすすめします。使い方は非常に簡単で、コーヒー粉をお湯に4分間浸しておくだけです。そのため淹れ方のテクニックに左右されません。
また、 ペーパードリップでは味わえない「コーヒーオイル」もフレンチプレスだと抽出できるので、特有のコクと滑らかさ、コッテリとした味わい、余韻が楽しめます。
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実際に飲んだ浅煎りコーヒー豆で美味しいのは?
実際に飲んだ浅煎りコーヒーで美味しかったものをランキング形式でまとめました。50段階でスコアリングして味を数値化したので、豆選びの参考になるかと思います。
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