華やかな香りを持ち、目を見張るほど大粒なコーヒーチェリーが特徴の「パカマラ」。この品種はティピカ種のパーカスとブルボン種のマラゴジッペの人工交配でできた品種です。エルサルバドルの研究所で25年もの研究の末に誕生しました。
今回は、大粒の身を持つパカマラの特徴や味わい、パカマラの基本的な情報に加えて、おすすめのコーヒー豆も紹介します。
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コーヒーの品種「パカマラ」の特徴
パカマラは大粒のコーヒーチェリーが特徴
パカマラは目を見張るほど大粒のコーヒーチェリーが収穫できる品種です。
コーヒー豆の品種は3つに分類されます。アラビカ種、カネフォラ種(ロブスタ種)、リベリカ種の3大品種です。そのなかのアラビカ種にはさらに200種類以上もの種類があります。
アラビカ種の原種に最も近いティピカ種、そのティピカ種の変異でブルボン種があります。この2つは現在、世界中で栽培されているコーヒー品種の原種になっています。
パカマラはブルボン種の「パーカス」とティピカ種の「マラゴジッペ」を掛け合わせた品種です。エルサルバドルの国立コーヒー研究所で25年もの研究の末誕生しました。
マラゴジッペのエレファント・ビーンと呼ばれる大粒の実の特徴を引き継いでいます。パーカスの「パカ」とマラゴジッペの「マラ」で「パカマラ」と名付けられました。
パカマラはあっさりした後味で香りは華やか
パカマラはゲイシャ種のような華やかな香りが特徴です。
軽い酸味と甘さで、ブルボン種の特徴に見られるなめらかでまろやかなコクを受け継いでいます。全体のバランスが良い味わいであっさり飲めるコーヒーです。
産地によっては花やスパイスを感じられ、その香りがゲイシャ種のような華やかさを思わせます。
パカマラに適した焙煎度合いは?
パカマラに適した焙煎度合いは「ハイロースト」もしくは「シティロースト」です。
浅煎りから深煎りまで焙煎には8段階あり、そのうち上から4番目が中煎りの「ハイロースト」です。
ハイローストは酸味や甘味、柔らかい苦味が感じられる焙煎度合いで、喫茶店や家庭で飲むレギュラーコーヒーの多くがこのハイローストです。
上から5番目の「シティロースト」は深煎りの最初の段階の中深煎りで、酸味が柔らかくなり、コクと苦味が出てくる焙煎度合いです。
しかし、好みによりもう少し深い焙煎でもナッツの風味が楽しめて美味しく飲めますが、あまり浅い焙煎にすると酸味が強くなり、ブルボン種の素晴らしい特徴が抑えられてしまうので、そちらはあまりおすすめはしません。
パカマラの特徴の軽い酸味や華やかな香り、ブルボン種から受け継いだしっかりしたなめらかでまろやかなコクを引き出すには「ハイロースト」もしくは「シティロースト」がおすすめです。
パカマラの基本情報
パカマラの精製方法
パカマラは主に「ナチュラル」「ウォッシュト」「パルプドナチュラル」で精製されます。
まず、ナチュラルとは収穫した果実を洗浄し、果実をそのまま残して乾燥させる精製方法です。果実が生豆のまわりで発酵し、華やかなベリーやワインのような果実味が存分に残ったコーヒーになります。
ウォッシュトはナチュラルとは逆に、水で付着物を洗い流し生豆の状態で乾燥させる精製方法です。全て洗い流されているのでスッキリとした味わいが楽しめます。水源豊かな産地で行われる精製方法です。
そして、パルプドナチュラルはハニープロセスとも言われている精製方法です。
果実は取り除き、生豆の周りのミューシレージと呼ばれる甘い粘着膜を残したまま乾燥させます。乾燥させる過程でこの甘い粘着膜が発酵するので、コーヒー豆にこの精製方法特有の甘さが残ります。
しかし、ナチュラルよりはスッキリした味わいになります。
産地や農園の伝統などによりパカマラの精製方法はさまざまです。
パカマラの栽培環境
パカマラの生産地はパカマラが誕生したエルサルバドルや、その近隣のホンジェラスやグアテマラ、ニカラグアです。
パカマラの栽培国は栄養豊富な火山性の地質で、標高が高い地域です。パカマラは標高900mから1500m以上の栽培に適していて、標高が高くなるほど品質もよくなります。
パカマラの栽培の歴史
パカマラはブルボン種の「パーカス」とティピカ種の「マラゴジッペ」を掛け合わせた人工交配種です。
元になった品種のひとつパーカスは、エルサルバドルで見つかったブルボンの変異種です。小柄な樹木で直射日光や暑さに強く、成熟が早いため生産性に優れています。
そしてもうひとつのマラゴジッペは、ブラジルで見つかったティピカの変異種です。
樹木の背が高く、収穫が大変なので中南米では普及しませんでした。しかし、エレファント・ビーンと呼ばれる大粒のコーヒーチェリーは見栄えも良く、一部の地域では人気の品種です。
この2つを掛け合わせて生まれたのが「パカマラ」です。国土の狭いエルサルバドルで効率的に収穫できる品種を作るために、エルサルバドルの国立コーヒー研究所が25年の歳月をかけて研究して生み出しました。
1980年代に起きた内戦の影響で、エルサルバドルのコーヒー産業は一時衰退してしまいましたが、パカマラはエルサルバドルやその周辺国、ホンジェラスやグアテマラ、ニカラグアなどで生産されている世界的に人気のある品種です。
パカマラ種のコーヒー豆おすすめ3選
1.エルサルバドル パカマラ ナチュラル 200g
価格 | 1,566円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 783円 |
1杯あたり | 78円 |
豆の産地 | エルサルバドル アパネカ コリオナ農園 |
精製方法 | 乾燥式(ナチュラル) |
豆の品種 | パカマラ |
焙煎度合い | 中煎り(ハイロースト) |
こちらはナチュラルで精製されたパカマラです。エルサルバドル産のコーヒーの特徴は一般的に透明感のある口当たりと軽やかさですが、こちらはナチュラルで精製されており、華やかなカシスやワインを思わせる香りが濃厚に香るコーヒーです。
焙煎度合いはハイロースト。爽やかな酸味を残しつつもコーヒーらしいほろ苦さや甘みも感じられる焙煎度合いです。
2.パカマラ ナチュラル エルサルバドル ロマ・ラ・グロリア 200g シティロースト 中深煎り
価格 | 1800円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 900円 |
1杯あたり | 90円 |
豆の産地 | エルサルバドル ケサルテペケ ロマ・ラ・グロリア農園 |
精製方法 | 乾燥式(ナチュラル) |
豆の品種 | パカマラ |
焙煎度合い | 中深煎り(シティロースト) |
神奈川県の葉山で愛されるinuit coffee roasterが焙煎した、エルサルバドルのロマ・ラ・グロリア農園のシングルオリジンのパカマラ。シングルオリジンとは単一農園の単一品種だけを使用しているコーヒー豆のことです。
ナチュラルで精製されたコーヒーの華やかなフルーティーさが感じられるコーヒーです。焙煎度合いはパカマラの良さが引き立つ中深煎りのシティロースト。お値段も手頃なので美味しいパカマラを飲んでみたい方はぜひ試してみてください。
3.グアテマラ産プロヴィデンシア農園パカマラ
価格 | 1,692円 |
内容量 | 200g |
100gあたり | 846円 |
1杯あたり | 85円 |
豆の産地 | グアテマラ ラ・プロヴィデンシア農園 |
精製方法 | 水洗式(ウォッシュド) |
豆の品種 | パカマラ |
焙煎度合い | 中煎り |
こちらはグアテマラの標高1650mから1800mのウエウエテナンゴ地区で栽培された高品質のパカマラです。ウォッシュドで精製されているので、スッキリした味わいが楽しめます。
焙煎度合いは中煎りのハイローストなので、ウォッシュドのスッキリ感と相まってやや酸味を強く感じます。しかし、パカマラは高地であればあるほど品質が良くなる性質で、酸味にも負けないしっかりしたまろやかなコクと甘さが感じられます。
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