コーヒーの味を左右する要因のひとつに、お湯の温度があります。
お湯の温度によって、コーヒーの苦味・酸味が変わってきます。自分好みの味を引き出せるよう、最適なお湯の温度や飲み頃についてバリスタが解説していきます。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
タップできる目次
ホットコーヒーとお湯の温度
ドリップで淹れる最適な温度
ホットコーヒーをドリップで淹れる場合、沸騰したお湯を使いがちですが、必ず冷ましたお湯を使いましょう。
一般的に90℃前後のお湯を使うことで苦味や酸味などコーヒー独自の味わいを黄金比で抽出できます。
ただし焙煎方法や挽き目の細かさによって最適な温度は異なるので、必ずしもこの方法が正しいとは言い切れません。
そのため、お湯の温度などを変えてみるなど試行錯誤をし、自分好みの温度を探すことが大切です。
コーヒーケトルに温度計がついているものを使用することで手軽にお湯の温度を測れます。
もし、温度計がない場合は、水が沸騰した際に現れる泡で判断できます。
沸騰時の泡が落ち着いてきたタイミングが適温のサインなので見逃さないようにしましょう。
ホットコーヒーの飲み頃の温度は70℃前後
コーヒーを飲む場合、すこし冷めた68℃から70℃が適温です。
しかし、コーヒーが冷めすぎると独自の風味が損なわれるため注意が必要です。
また、提供されたコーヒーに砂糖やコーヒーフレッシュを入れる場合は、飲むまでに時間を要するため80℃程度で提供しましょう。
アイスコーヒーとお湯の温度
アイスコーヒーを淹れる最適の湯温
アイスコーヒーを淹れる場合、ホットコーヒー(90℃前後で抽出)を淹れます。
その後、ホットコーヒーに氷を入れて一気に冷まします。
熱いコーヒーを一気に冷ますことによって、すっきりとした爽やかな味になります。
アイスコーヒーを淹れる場合のドリップ方法はホットコーヒーと一緒ですが、豆の選定が重要となります。
冷やした時でもしっかりとコーヒー独自のコクや味わいを感じられるのが重要です。
そのためコーヒー豆は深煎りの豆がおすすめです。
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アイスコーヒーの飲み頃の温度
アイスコーヒーの飲み頃は4℃から6℃ですが、飲んでいる最中にぬるくなる場合があります。
そのため提供する際の温度は2℃から4℃で提供するのがベストです。
アイスコーヒーを冷蔵保存する場合、冷蔵庫内の温度はJISによって定められた0から10℃に設定可能です。
冷蔵庫内での保存はアイスコーヒー以外にもさまざまな食材が入っているため、温度のバランスを考えて保管しておくことが大切です。
くれぐれも温度が高くなりすぎることは避けましょう。
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お湯の温度によるコーヒーの味の変化
抽出温度とコーヒーの味の変化
お湯の温度はコーヒー粉の成分移動と密接に関係しているため、出来上がり時の味に多大な影響をもたらします。
コーヒー特有の酸味や苦味は、コーヒー粉にお湯が浸透することで内から外に向かって移動を始めます。
最終的にろ過されますが酸味成分だけは移動速度が速いため、お湯の温度の影響をほとんど受けません。
苦味などはお湯の温度とお湯に触れている時間の長さに影響を受けやすく、苦味の成分移動は早い・遅いものなどさまざまです。
移動が遅いほど温度やお湯に触れている時間の長さの影響を受けやすく渋みを伴います。
このことからお湯の温度が高ければ高いほど、成分移動が促進され苦味や雑味が抽出されます。
高い湯温で淹れた味
高温で淹れた場合、低温で淹れた時と比較してみると苦味が強く出ます。
苦味が強く出てしまう理由として、高温でコーヒーを淹れるとコーヒー粉の成分移動が活発化するためです。
結果として、成分移動の活性化にともない苦味成分が抽出されてしまいます。
そのため仕上がりに難が残るコーヒーとなります。
低い湯温で淹れた味
低温で淹れた場合、酸味が強い味わいとなります。
低い温度のお湯で淹れると成分の移動に時間がかかるため、苦味成分の抽出は少なめです。
しかし、お湯の温度の影響を受けにくい酸味はしっかり抽出され酸味が強い仕上がりとなります。
コーヒー愛好家の中には酸味のきりっとした味わいを好み、わざと低温で淹れる人もいます。
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お湯の温度を瞬時に下げる方法
沸騰したお湯を常温のドリップ用ケトルに移し替えれば90℃前後まで一気に下げることができます。
また、沸騰したお湯を水通ししたドリップ用ケトルに移し替えれば85℃前後まで一気に下げることができます。
湯温が高すぎると苦味成分が溶けやすく、低いと酸味が目立つ。85℃は甘みを感じやすい温度です。
適温でおいしいコーヒーを淹れるコツ
コーヒー器具は事前に温めてから使用する
コーヒーを淹れる器具は事前に温めて使用することが重要です。
器具をそのままの状態で使用すると、適温で淹れたコーヒーの温度を下げてしまい味の劣化に繋がります。
器具をあらかじめ温めておくことで適切な温度でコーヒーを淹れることができ、おいしいコーヒーを飲むことができます。
器具の温め方に関してはお湯を注いで温める方法が一般的です。
お湯はコーヒーを淹れる直前に沸かす
コーヒーを淹れる場合、時間短縮になることからポットのお湯を使っている方も多いと思います。
しかしポットのお湯を使うとコーヒーを淹れている最中に温度が下がってしまい、コントロールがきかなくなる可能性があります。
そのためコーヒーを淹れる直前にお湯を沸かし、コントロールしやすくしておくのがベストです。
コーヒーの温度変化とカップ
コーヒーを淹れるカップによっても温度の変化を受けるか否か気になりますよね。
下記ではコーヒーカップのサイズや素材、形状別に詳しく解説していきます。
コーヒーカップのサイズ
コーヒーカップは以下のサイズ展開があります
- 容量120~140mlのカップ(一般的に広く用いられるサイズ)
- デミタスカップ(エスプレッソ用のカップ)
- 大容量のマグカップ
などさまざまな種類のカップがあります。
マグカップは本来時間をかけて飲むことを想定し作られているため、低い温度で飲み物を淹れると冷めてしまします。
一方カフェオレボウルはパンなどを浸し食べることを想定し作られたため、取っ手がなく熱い飲み物を淹れには適していません。
このようにカップと一口でいっても、サイズ感や形状もさまざまなので飲む量やコーヒーの種類によってカップのサイズを選びましょう。
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コーヒーカップの素材
コーヒーを楽しむにはカップのサイズだけでなく素材にもこだわると良いです。
カップの素材や特徴は以下の通りです。
- 陶器:カップそのものに厚みがありコーヒーが冷めにくい。
- 磁器:きれいな白色が特徴のカップで、電熱性が高いです。
- ガラス:冷めやすいものの透明なのでコーヒーの色味を楽しめます。
- ホーロー:軽く保温・保冷効果に優れたカップです。
たとえば長時間熱いコーヒーを飲みたい方には陶器がおすすめです。
一方コーヒーの色合いを楽しみたい方には、冷めやすいといった難点はあるもののガラス素材がおすすめです。
素材によって特徴が異なるため、あなたが温度や見た目といった何を重視しながらコーヒーを飲みたいかによってカップの素材選びは変化します。
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コーヒーカップの形状
カップの形は味だけでなく香りにも影響します。
コーヒーを飲むときは、お湯と空気の接触が少ない形状のカップを選ぶと冷めにくいです。
おすすめな形状のカップは以下の通りです。
- 底面から縁までまっすぐに盛り上がっているカップ
- 丸みがあり中央がふくらみ縁で再び細くなっているカップ
底の方から縁に向かって膨らんでいるカップもよく見かけますが、冷めやすいカップなので紅茶を飲むのに適してます。
さらにカップの厚みをチェックするのも重要です。
薄いカップは酸味が強くスッキリした味になり、厚いカップは苦味が強く濃厚な味わいになります。
いままでカップの形状を気にせず飲んできた方でも、形状を気にしつつカップを選ぶことでコーヒーの楽しみ方の幅が広がります。
コーヒー温度計おすすめ5選
1.ハリオV60温度調整付きパワーケトル・ヴォーノ
11,500円
ハリオワーケトル・ヴォーノでは、50℃から90℃かつ1℃刻みで設定が可能です。加熱後のお湯も温度を一定時間キープできるため沸かしなおす手間がかかりません。
さらにコードは本体底部に収納できるので、片付ける場合もスッキリ収納ができます。また、以下の機能も搭載されています。
- 水が入っていない時の加熱を止める空焚き防止機能
- 一定時間操作がなかったときに自動で電源を切るオートパワーオフ機能
2.タニタ TT-583 BL スティック温度計
1,466円
タニタデジタル温度計では、測定できる温度の範囲が50℃から240℃となっています。
センサー部分は14センチあるため深い鍋でも使用でき、センサーホルダーのフック穴にホルダーを差し込むことで、火元から手を放しつつ測定が可能です。
左手でも右手でも見やすい表示で測定温度の表示を固定することが可能なホールド機能もついてるため使い勝手が良いですね。
さらにフック穴付とマグネットがついているため、収納場所にも困ることはないです。
3.タニタ 温度計 アナログ 料理用 5496B お菓子作り シルバー
960円
タニタの温度計は、カリタドリップポット用サーモの代用品として人気です。測定できる温度の範囲が2℃から100℃となっています。
温度計そのものはアナログ表示ですが、ポットと温度計の間に挟んで使えるピンチが付いているのでとても便利です。
カリタのドリップポットにも合うよう作られているため、ポットとセット購入もおすすめです。
4.シービージャパン温度計付きドリップケトルQAHWA
4,950円
シービージャパン温度計付きドリップケトルでは、測定できる温度の範囲が1℃から100°となっています。
ふたの上部には抽出温度が一目で確認できる温度計があり、84℃から92℃の部分が分かりやすい仕様となっています。
お湯を注ぐ口も細く注ぎやすい仕様のため使い勝手が良いです。少しずつお湯を注ぐことができ、しっかり蒸らすことができるので、おいしいコーヒーを心行くまで堪能できます。
5.レズレー グルメサーモメーター16245
5,317円
レズレーグルメサーモメーターでは、測定できる温度の範囲が-40℃から200℃となっています。
温度を表示するディスプレイにはLEDライトがあり、使用中は赤くランプがつくため一目で温度を把握できます。
こちらの温度計は料理人なども愛用していることで人気が高いだけではなく、見た目もシンプルかつおしゃれなのが特徴的ですね。
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