イタリア南部のエスプレッソの味を楽しめるキンボ(KIMBO)のコーヒーは野生的な風味と濃厚な味わいが特徴です。
風味のあるアラビカ種と、パンチの効いた味のロブスタ種を絶妙なバランスでブレンドしていて、コクが強くてどっしりとした味わいなので、カプチーノやラテとも相性が良いです。
この記事では、KIMBOのコーヒーをデロンギの全自動マシンで抽出し、美味しかった順にランキング形式で紹介します。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
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キンボ(KIMBO)とは
キンボ(KIMBO)はエスプレッソの聖地と言われる、イタリア南部の都市「ナポリ」に誕生したコーヒーブランドです。
イタリアではコーヒー豆の小売り市場で2位、10%のシェアを占める有名ブランドです。
もともとは、小さな一軒のカフェからスタートしたKIMBOですが、50年以上にわたり、エスプレッソを愛する人々にナポリの伝統的な味わいを提供することに情熱を注いだ結果、現在ではイタリアのコーヒー小売市場No.2のブランドに成長しました。
KIMBOがあるナポリがエスプレッソの聖地と言われる理由
KIMBOがあるナポリがなぜ「エスプレッソの聖地」と言われるのでしょうか?
ナポリの家庭では、エスプレッソマシンが誕生する100年前の1800年代初頭から、ナポリ式コーヒーメーカーと呼ばれるcuccumella(クックメッラ)を使って日常的にカフェ(エスプレッソのこと)を飲んでいた歴史があります。
1900年代にエスプレッソマシンが開発されると、ナポリのカフェ文化はさらに発展し、本格的なバールのカフェテリアで手軽に素早くエスプレッソを楽しむことができるようになり、ナポリを代表するKIMBOやCaffe Moreno(カッファ・モレノ)など多くのエスプレッソカフェブランドが誕生します。
ナポリでは未だに伝統のピストンレバー式マシンを使う
最近では、イタリア全土のカフェで最新のセミオートタイプのエスプレッソマシンが続々と導入されていますが、ナポリではいまだに古いピストンレバー式のエスプレッソマシンが多く使われています。
レバー式マシンは、セミオート式マシンよりも高い圧力をかけることができるため(より多くのコーヒー豆を使用できる)、溶かしたチョコレートのような質感の濃厚なエスプレッソを抽出できます。
また、バリスタのレバー操作によってコーヒー豆にお湯を供給する時間や、浸透させる時間、抽出を止めるタイミングまで調整できるのも大きな特徴で、ナポリのバリスタの技術は世界でもトップレベルと言われる所以です。
ナポリの水質が力強いエスプレッソの質感を作り出す
さらに、ナポリの水質はエスプレッソと相性が良く、コーヒーが美味しくなることで知られています。
日本は軟水でエスプレッソを抽出するため、酸味やフレーバーの印象が強く、甘みを感じるコーヒーになりやすいですが、ナポリはカルシウムとマグネシウムの含有量が多い「硬水」のため、フルボディのワインのような「濃厚な質感」に仕上がる特徴があります。
これらの理由から、ナポリのエスプレッソは世界最高水準と言われています。
KIMBOの歴史
KIMBO(キンボ)の歴史は、1940年に誕生したナポリの小さな1軒のカフェ&ベーカリー「ルビーノ」からスタートします。
後にキンボの創業者となるルビーノ兄弟は、父親のカフェ経営を手伝い始めます。
1950年代にはコーヒー加工販売を行う「カフェ ド ブラジル社(Café do Brasil SpA)」を創設し、1963年にMelito di Napoli(メリート・ディ・ナポリ)に焙煎工場を開設しました。
その後は世界中のコーヒー生産者とコミュニケーションを取り、信頼できる農家から生豆を仕入れて、高品質の豆を安定供給します。
また、バキュームパック缶(真空パック缶のこと)という革新的なパッケージ形式を初めて導入し、ナポリの伝統的なエスプレッソの味わいをイタリアのみならず世界中に広めます。これがきっかけで同社は1970年代に指数関数的な成長を遂げました。
コーヒーの鮮度を損なうことなく流通させることで、ナポリのエスプレッソの味わいをイタリア国内だけでなく欧米各国に知らしめたのです。現在では食品缶詰でありふれた包装技術ですが、当時としては画期的でした。
1994年までにカフェ ド ブラジル社はイタリアで第2の焙煎会社となり、イタリア国内におけるエスプレッソの品質向上にも大きく貢献しました。
キンボコーヒーの3つの特徴
また、キンボには次の3つの特徴があります。
- イタリア南部で好まれる「力強い味わい」がある
- ほとんどの商品でアラビカ種とロブスタ種をブレンドしている
- バイヤーが直接産地に行ってコーヒー生豆を買い付ける
順番に解説します。
1.イタリア南部で好まれる「力強い味わい」がある
キンボはイリーやラバッツァと比較して濃厚で野生的な風味があり、コクと重厚な苦味を表現したコーヒー豆が多いです。そのためミルクとの相性がとても良く、カプチーノやラテにしても美味しいです。
そんなキンボは外食産業向けにも11種類のブレンドを展開していて、味わいと品質の確かさからバーやレストランでも多数採用されています。
2.アラビカ種とロブスタ種をブレンド
伝統的なイタリア南部のエスプレッソは、アラビカ種とロブスタ種をブレンドする特徴があります。
一般的に、優れた風味を持つと言われるアラビカ種ですが、実はロブスタ種を全体の2〜30%ほど加えたほうが綺麗なクレマができやすく、チョコレートのようなフレーバーも強くなります。
ロブスタ種は雑味が多いと言われますが、エスプレッソはドリップコーヒーのように時間をかけて抽出せず、雑味が落ちる前に旨みだけを抽出します。こうすることで、アラビカ種100%のエスプレッソにはないダークチョコレートのような味わいと力強いコクが生まれます。
ちなみに、イタリアではラバッツァがシェア1位で一番売れているコーヒー豆なのですが、そんなラバッツァファンでも「たまにキンボの荒々しいエスプレッソを飲みたくなる」と言います。
個人的にも、キンボはキンボにしかない癖になる美味しさがあると思います。
3.バイヤーが直接産地に行ってコーヒー生豆を買い付ける
キンボでは、バイヤーが直接コーヒー産地に出向いて生豆のサンプルを厳選し、ナポリの研究開発室で検証したうえで買い付けが行われています。
コーヒーの生豆を運ぶのは、温度管理できる生鮮食品用のコンテナ(リーファーコンテナ)を使い、輸送中に豆の劣化を防ぐための工夫がされています。
ナポリに到着した豆は、メリトにあるキンボの工場に運ばれます。工場には1日100~150トンもの大量の生豆が運び込まれ、最新の焙煎機と職人の感覚により乾燥と焙煎が行われます。
キンボ(KIMBO)のコーヒー豆とエスプレッソ用の粉おすすめ9選
今回は、デロンギのミル付き全自動エスプレッソマシン「マグニフィカS」を使って、各コーヒー豆と粉の味わいを検証しました。
この機種を使っている方には、粉の状態のコーヒーを買うことをおすすめします。(ナポリ、インテンソなど。)
▲KIMBOインテンソ。サラサラのパウダー状態になっている
マグニフィカSはグラインダーの性能が高いとはいえず、エスプレッソ用の極細挽きには一歩及びません。
なので「しっかりとクレマを出したい」「 水っぽいエスプレッソは嫌だ」という方は、粉の状態で購入することをおすすめします。マグニフィカSを使う場合は粉を用いた方が濃厚なエスプレッソを抽出できます。
逆に、カフェジャポネーゼやアメリカーノなど、お湯でちょっと伸ばしたようなエスプレッソを楽しむなら「トップフレーバー」などの豆がおすすめです。
なお、マキネッタでも抽出できるか試しましたが、豆でも粉でも問題なく抽出できます。
順位 | 商品画像 |
商品名 |
味わい・香り ※タップで拡大 |
値段 内容量 100gあたり |
最安値 | 焙煎度合い 品種 香り+甘み+コクの合計 |
1位 | キンボ トップフレーバー |
4,040円 1kg 404円 |
Amazon | 中深煎り アラビカ種100% 10.6点 |
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2位 | キンボ プレミアム |
3,715円 1kg 372円 |
Amazon | 深煎り アラビカ種50%、ロブスタ種50% 10.5点 |
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3位 | キンボ プレステージ |
3,405円 1kg 340円 |
Amazon | 中深煎り アラビカ種70%・ロブスタ種30% 10.5点 |
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4位 | キンボ エキストラクリーム |
4,490円 1kg 449円 |
Amazon | 中深煎り アラビカ種40%・ロブスタ種60% 10.3点 |
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5位 | キンボ ゴールド |
1,325円 250g 530円 |
Amazon | 中深煎り アラビカ種100% 9.5点 |
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6位 | キンボ ナポレターノ (ナポリ) |
1,421円 250g 568円 |
Amazon | 深煎り アラビカ種80%・ロブスタ種20% 9.5点 |
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7位 | キンボ インテンソ |
1,434円 250g 574円 |
Amazon | 深煎り アラビカ種40%・ロブスタ種60% 8.3点 |
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8位 | キンボ エクストリーム |
3,970円 1kg 397円 |
Amazon | 深煎り アラビカ種65%・ロブスタ種35% 8.3点 |
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番外 | キンボデカフェ | 1,890円 250g 756円 |
Amazon | 中深煎り アラビカ種85%、ロブスタ種15% 7.9点 |
1位.キンボ(KINBO)トップフレーバー(豆)
4,040円 1kg
キンボで一番クオリティが高いと言われる「トップフレーバー」は、その名前に相応しい香り高さと上品な後味、クリアな味わいが印象的でした。クッキーのような甘い香りと、ほどよくフルーティーな酸味があり、キャラメルのような甘みが感じられます。エスプレッソ用のコーヒー豆には通常、ロブスタ種を20〜30%ほどブレンドしますが、こちらはアラビカ種だけを100%使用し、ちょっと浅めに焙煎しています。
キンボは濃厚なエスプレッソが好まれるイタリア南部の味わいを再現した商品が多いですが、トップフレーバーはミラノなど、イタリア北部で好まれる味わいを表現しています。(味の方向性はイリーに似ていますが、KINBOのほうが味に力強さがあると感じました。)なお、クレマは控えめです。
ずばり、キンボの豆でどれか迷ったらトップフレーバーを選んでおけば間違いないと思います。それくらい味のバランスがよく、後味もすっきりしていて飲みやすいです。しかも100gあたり約400円とコスパも良いので非常におすすめです。
100gあたり | 404円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
焙煎度合い | 中深煎り |
豆の産地 | ブラジル、コロンビア、他 |
品種 | アラビカ種100% |
2位.キンボ(KINBO)プレミアム(豆)
3,715円 1kg
キンボプレミアムは「これぞイタリア南部エスプレッソ」と言えるパンチの効いた野生的なフレーバーが感じられました。一番キンボらしさが出ている豆と言っても過言ではありません。ナポリの伝統的なエスプレッソを表現していて、どっしりとした苦味とチョコレートのような味わい、ナッツ系の余韻、濃厚でなめらかなコクが味わえます。荒々しい風味が口の中に残るのも心地よいです。
デロンギの全自動エスプレッソマシン(マグニフィカS)で抽出しても、しっかりとクレマが出ます。クレマたっぷりのエスプレッソが好みの人や、イタリア南部の伝統的なエスプレッソを味わいたい人には、このプレミアムをおすすめします。
100gあたり | 372円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
焙煎度合い | 深煎り |
豆の産地 | ブラジル、インド、他 |
品種 | アラビカ種50%、ロブスタ種50% |
3位.キンボ(KINBO)プレステージ(豆)
3,405円 1kg
キンボのプレステージは、複数のアラビカ種を中心にブレンドしていて、華やかな香りとコクのバランスが非常に良いです。全体的に味が綺麗にまとまっている印象で、バランス重視の人に向いています。ビスケットのような香ばしさと甘さ、フルーティーな酸味との調和が本当に絶妙です。
後味にはキャラメルのような甘い余韻を感じます。 ほどよくフルーティーさが感じられるエスプレッソ用の豆を探している人には、このプレステージがおすすめです。
100gあたり | 340円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
焙煎度合い | 中深煎り |
豆の産地 | ブラジル、ペルー、インド、他 |
品種 | アラビカ種70%・ロブスタ種30% |
4位.キンボ(KINBO)エキストラクリーム(豆)
4,490円 1kg
エキストラクリームは、キンボのコーヒー豆の中で一番クレマがきれいに出やすく、チョコレートのような味わいが非常に濃厚です。酸味が少なくて苦味が強めですが、全体的にまろやかな味で個人的に大好きなコーヒー豆です。砂糖を加えると、溶かしたチョコレートを飲んでいるような美味しさがあります。
味が強いので、カプチーノやラテなど、ミルクを使ったドリンクと相性が良いです。逆にカフェジャポネーゼには向きません。(雑味が目立ちやすい)
100gあたり | 449円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
焙煎度合い | 中深煎り |
豆の産地 | コロンビア、インド、ペルー、他 |
品種 | アラビカ種40%・ロブスタ種60% |
5位.キンボ(KINBO)ゴールド(豆・粉)
1,325円 250g
イタリア北部のエスプレッソを再現したのが、「キンボゴールド」です。キンボのコーヒーは重厚な味の商品が多いのですが、キンボゴールドはアラビカ種だけをブレンドしていて、雑味が少なくてほどよい酸味、キャラメルのような香り特徴です。
また、ゴールドはドリップコーヒーやカフェジャポネーゼ(デロンギの全自動エスプレッソマシンに付いている抽出機能)にも向いているので、すっきりと飲めるコーヒーが好きな人におすすめです。
100gあたり | 530円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
焙煎度合い | 中深煎り |
豆の産地 | ブラジル、ペルー、他 |
品種 | アラビカ種100% |
6位.キンボ(KINBO)ナポリ(豆・粉)
1,421円 250g
キンボのナポレターノ(ナポリ)は、名前の通りナポリの昔ながらの製法を忠実に表現したコーヒー豆です。アラビカ種80%にロブスタ種を20%ブレンドしていて、力強さとコクの深さ、上品さのバランスが絶妙なコーヒー豆という印象を受けました。エスプレッソ、カプチーノ、カフェジャポネーゼどれでも美味しく飲めるので、キンボの中でも万能型に属するコーヒー豆だと思います。
ナポリは250gサイズでお試しできるので、まずは少量だけキンボのコーヒー豆を買ってみたい人におすすめします。ドリップで飲んでも美味しいので1つで色んな飲み方ができます。
100gあたり | 568円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
焙煎度合い | 深煎り |
豆の産地 | ブラジル、インド、他 |
品種 | アラビカ種80%・ロブスタ種20% |
7位.キンボ(KINBO)インテンソ(粉)
1,434円 250g
キンボのインテンソは、ココアのようなほんのりとした甘さの中に、ガツンとくるパンチの効いた苦味とチョコレートのようなコクが特徴です。そのままエスプレッソで飲んだりモカ(ビアレッティ・マキネッタ)で飲むとかなり苦味が強いので、朝飲むと1発で目が覚めます。ただし人によっては苦すぎると感じると思うので、カフェラテやカプチーノにして飲むのが良いです。ちなみにクレマは超濃厚に出ます。
パンチのあるエスプレッソが好きな人なら、インテンソはきっと気にいると思います。
100gあたり | 574円 |
鮮度 | ★★☆☆☆ |
豆の産地 | ブラジル、ベトナム、他 |
焙煎度合い | 中深煎り |
品種 | アラビカ種40%・ロブスタ種60% |
8位.キンボ(KINBO)エクストリーム(豆)
3,970円 1kg
キンボのエクストリームは、南米のアラビカ種とロブスタ種を絶妙なバランスでブレンドしていて、力強さと後味の良さのバランスが良いです。チョコレートのようなまろやかな味わいで、 エスプレッソはもちろんカフェラテやカプチーノとの相性もかなり良いです。デロンギの全自動マシンでも薄くクレマができるので、ちょっとクリーミーなエスプレッソを求める人にも向いています。100gあたりの値段もリーズナブルです。
100gあたり | 397円 |
鮮度 | ★★★☆☆ |
豆の産地 | ブラジル、コロンビア、インド、他 |
焙煎度合い | 深煎り |
品種 | アラビカ種65%・ロブスタ種35% |
番外.キンボ(KINBO)デカフェ(粉)
1,890円 250g
キンボのデカフェは二酸化炭素を使用した方法でカフェインを除去したコーヒーです。ドライフルーツのような甘みとほのかな酸味が特徴です。デカフェながらもコーヒーらしいコクや香ばしさがあって、かなり美味しいです。食後にエスプレッソを飲む時はこれを飲んでいます。
100gあたり | 756円 |
鮮度 | ★★☆☆☆ |
豆の産地 | ブラジル、ペルー、他 |
焙煎度合い | 中深煎り |
品種 | アラビカ種85%、ロブスタ種15% |
キンボの味はカプセルコーヒーでも楽しめる!
キンボのコーヒーには、ネスプレッソやドルチェグストで使える「カプセルコーヒー」もあります。カプセルコーヒーはまとめ買いがお得で、10カプセル入り×6箱なら4,000円程度で購入です。
1杯あたり70円以下で飲める計算なので、他のネスプレッソ用のカプセルと比べても安い価格で本場のエスプレッソを楽しめます。
おすすめのカプセル式コーヒーメーカーはこちらで紹介しています。
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キンボが生まれた「ナポリ」のコーヒー事情
他の地域よりも早くコーヒーが普及した
コーヒーがナポリの庶民に普及したのは他のヨーロッパの地域よりかなり早いといえます。
ヨーロッパで最初にコーヒーが伝わったのは、アフリカとの交易が盛んだったイタリア北部のベネチアです。南部のナポリでは、1700年代半ばに社交場での飲み物としてコーヒーが浸透し、1800年代に近づくと知識人や芸術家が集う場所として街中にコーヒーハウスが出現しました。
ナポリとエスプレッソの関係
エスプレッソが誕生したのは、ベネツィアでエスプレッソマシンが発明され、1906年のミラノ博覧会でマシンが披露されたことがきっかけです。
現在ナポリ市内には500~600軒のバールがあります。ほとんどのお客は立ち飲みです。出勤前、休憩時、昼食後など、1 日に3~4回バールに立ち寄ってエスプレッソを飲み、すぐ仕事に戻るのがナポリのスタイルです。
バールを利用しない人にとっても、自宅で入れる熱々のエスプレッソは毎朝欠かせないものです。そのため、各家庭には小さなエスプレッソマシンかマキネッタ(モカ)が必ずと言って良いほど置いてあります。
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ナポリ式コーヒーメーカーcuccumella(クックメッラ)
cuccumella(クックメッラ)
先ほども軽く紹介しましたが、cuccumella(クックメッラ)は、ナポリの伝統的なコーヒー抽出器具です。考案されたのはマキネッタの数十年前のことで、もともとの考案者はフランス人です。
上流階級の飲み物だったコーヒーが、ナポリ庶民に定着したのはクックマのおかげと言えるでしょう。火にかけるだけの手軽な器具なので価格も手ごろで、マキネッタの発明後も多くの家庭で使われていました。
1970年代ごろまでは休日の朝、大型のクックマで家族みんなにコーヒーを入れる光景が一般的でした。
クックマの使い方ですが、マキネッタのように水とコーヒーをセットして火にかけ、下の段に入ったお湯が沸騰したらひっくり返し、コーヒー粉に直接お湯を通して抽出するという単純な仕組みです。
クックマには通常、深煎りのコーヒーを使用し、ダークチョコを焦がしたような香りとしっかりした苦味が味わえます。
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