本記事では、ネルドリップコーヒーの特徴や入れ方、ネルフィルターの手入れ方法、おすすめ器具を紹介します。
ずばり、ネルドリップは使うフィルターによって味が大きく変わるため、一概に「味が濃厚になる」「まろやかな味になる」と言い切れない部分があります。
日本ではハリオと丸太のフィルターが有名ですが、この2つは布の厚みも材質も起毛の有無など、色々と違う点があるので味も全然違います。
ネルドリップするにあたって、僕が一番おすすめする器具は「HARIO (ハリオ) ネルドリップ ポットウッドネック」です。
HARIO (ハリオ) ネルドリップ ポットウッドネック 2,400円
コーヒーサーバーとネルフィルター、ろか器(金具)、ネルドリップスタンドが全部セットになっているので、これ1つでネルドリップを始めることができます。
値段も2,400円ほどと非常に手頃なので、ネルドリップ入門に一番おすすめの器具です。
ここから詳しくネルドリップコーヒーの特徴や、フィルターの手入れ方法などを紹介します。
ブログ管理人:山口 誠一郎
コーヒーの専門家としてTV出演。文藝春秋(文春オンライン)コラム掲載。1,000種以上のコーヒー豆をレビュー。イタリア「Caffè Arena Roma」元バリスタ。
タップできる目次
ネルドリップとは?
ネルドリップの基本情報 | |
使う器具 | ネルフィルター、ろ過器 |
味わい | なめらか、まろやか、濃厚 |
特徴 | コーヒーオイルをペーパードリップより多く含ませることができる |
ネルドリップとは、一般的に使われるペーパーフィルターでなく、布のフィルターでドリップする抽出方法のことです。
この布フィルターの素材を「フランネル」といい、柔らかく厚手のものです。
ネルシャツに使われている素材と同じ、厚手の布になります。
ネルシャツに使われる布と同じ素材でコーヒーを抽出します。
一度抽出するたびに捨てるペーパーフィルターと違い、ネルフィルターは使用後に洗って50回~60回ほど繰り返し使います。
洗う手間はかかりますが、ペーパードリップともフレンチプレスとも異なる特有のおいしさを味わえるのがネルドリップの醍醐味です。
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ネルドリップの味の特徴
丸太衣料(Maluta) コーヒーフィルター φ65×80mm ネルドリップセット 1人用
ネルドリップの味の特徴は、コーヒーオイルを含んだ「まろやかさ」が特徴だと言われています。
ただし冒頭でもお伝えしたように、ネルドリップは使うフィルターによって味が大きく異なるので、フィルターの数だけ味があるとも言えます。
例えば、僕が最初におすすめしたハリオのネルフィルターだと、さっぱりした味になりやすいです。
一方、有名な「丸太衣料」のフィルターはコーヒーの味が濃厚になりやすいです。
一般的に言われる、「コーヒーオイル感」や「濃厚な味わい」を求めるなら、ハリオよりこちらの方が向いています。
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ペーパードリップとネルドリップの味の違い
ペーパードリップとネルドリップの味の違いを比較してみます。
ペーパードリップしたコーヒーは、あっさりした口当たりで、ほどよい苦味と強い酸味があります。
苦味も酸味も口に含んだ瞬間スーッと溶けるように消えていき、キレの良さを感じます。
コク(ボディ感)は控えめで、さらっと飲めるコーヒーです。
丸太のネルフィルターで抽出すると、ペーパードリップよりも酸味が少なくなり、味にまとまりが出ます。
コーヒーオイルが味全体の「つなぎ」になっている印象で、ペーパードリップよりも重厚で、こってりした印象を受けます。
ハリオのフィルターで抽出しても同じように、酸味が控えめになりますが、丸太のネルフィルターよりもさっぱり目になります。
ネルフィルターを使う前の準備
ネルフィルターを使う前の準備は次のとおりです。
- フィルターを軽く水洗い
- 煮沸してフィルターに付着している糊を取り除く
- ろか器にフィルターを装着する
(ろか器とフィルター一体型の場合は不要)
2から順番に解説します。
2.煮沸してフィルターに付着している糊を取り除く
この作業の目的は、ハリオ製ネルフィルターに付着している黄色い糊(のり)を取り除くこと。
フィルターに付着している糊は特有の臭いがあるので、多少面倒でもこの作業はやっておくことをおすすめします。
もし、フィルターを汚すことに抵抗がなければ、煮沸するときに使用済みのコーヒー粉(出がらし)も一緒に入れてください。
コーヒー粉の消臭効果によって、糊の臭いが取れます。
3.ネルフィルターをろか器にセット
煮沸が終わったら、フィルターの水気をしっかり拭き取って、ろか器にセットします。
▲ろか器の先端部分を、ネルフィルターの穴に通す。
▲穴へ通すことができたら、ろか器の根元まで持っていきます。
ネルフィルターの装着が完了し、ネルドリップの準備が整いました。
ろか器とネルフィルター一体型の場合は、フィルターの部分だけ鍋に入れて煮沸すればOKです。
ネルドリップコーヒーの入れ方
ネルドリップコーヒーの入れ方を解説します。
- コーヒー豆を中粗挽きにする
- 蒸らし1分
- 抽出1分(コーヒー150ml抽出する場合)
- 完成
1.挽き目は中粗挽きがおすすめ
ネルドリップに使うコーヒー豆の挽き目は中粗挽きがおすすめです。
理由は、ペーパードリップ用の中細挽きだとどうしてもフィルターの目詰まりが早くなり、寿命が早まる感覚があります。(通常60回ほど使えるフィルターが40回ほどで使えなくなることが多いです。)
ペーパードリップより1段〜2段階粗くすることでフィルターが長持ちします。
2.使うコーヒー豆の量はペーパードリップより多め
豆を粗挽きにするとコーヒーの味が薄くなるので、豆を通常より多く使うことで帳尻が合います。
使うコーヒー豆(粉)は、コーヒー液150mlに対して豆15g。
コーヒー10mlの抽出に対して、豆を1g使うと覚えればOKです。
3.抽出方法はペーパードリップと同じでOK
ネルドリップの抽出は、基本的にペーパードリップと同じでOKです。
僕の場合は、お湯を全体にかけて1分蒸らし、残り1分で150mlを抽出しています。
4.時間をはかる
時間をはかる理由は、抽出しすぎの状態(過抽出)にならないようにする目的があります。
味の好みは人それぞれですが、僕は雑味が目立つコーヒーが苦手(エスプレッソのように短時間で旨みだけを取り出したコーヒーが好き)なので、決めた時間以上は抽出しないようにしています。(150mlなら2分以上は抽出しない)
ネルフィルターは使い込んでいくうちに確実に目詰まりするので、抽出に時間がかかるようになります。
時間をはからずに感覚だけで抽出すると、コーヒーの味がどんどん濃くなっていきますし、何より雑味が出やすい感覚があります。
これは、コーヒーとお湯の接触時間がどんどん長くなるためだと考えています。
時間をはかって抽出すれば、時間内に抽出が完了するようお湯の太さを調節するので、過抽出になることを防ぎやすいです。
使用後のネルフィルターの手入れ
使用後のネルフィルターの手入れは、水またはお湯で軽く「もみ洗い」してから煮沸洗浄を行います。
「フィルターが茶色になったから漂白剤や洗剤を使う」などは行わないで下さい。これをやるとネル生地の繊維がもろくなり、破れやすくなります。
毎日ネルドリップする方なら、煮沸洗浄後は水で急冷し、タッパーに入れて冷蔵庫で保存します。
ネルフィルターをたまにしか使わない場合、水気を切ってジップロックなどの袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。
ネルフィルターを再び使う際は、お湯をかけて解凍し、水気をしっかり切ればOKです。
おすすめのネルドリップ器具
初めて買うならハリオの一式セットがおすすめ
冒頭でも紹介した、ハリオドリップポットウッドネックというオールインワンタイプがおすすめです。
ハリオのネルドリップ器具は良くも悪くもクセがないので、万人受けする商品だと思います。
また、あまり売っていないネルドリップ専用のスタンド(ケメックスのガラスサーバーのような器具)が付属しているのも嬉しいポイントです。
ネルフィルターと持ち手がウッド調になった「ろか器」もついていて、グリップ感もかなり良くて使いやすいです。
サーバーは普通にペーパードリップをする時にも使用でき、コーヒー4杯分(600mlほど)を入れることができます。
別のフィルターを検討しているなら丸太衣料のコーヒーフィルター
すでにハリオを使っている方で、別のフィルターを検討しているなら丸太衣料のコーヒーフィルターがおすすめです。
ハリオと比較して明らかにコーヒーの味が変わります。
サイズは1人用、3人用などから選ぶことができます。
おすすめのネルドリップスタンドはEBM18-8
やぐらタイプのネルドリップスタンドを使いたい方は、「EBM18-8(約2000円)」が第一候補になるかと思います。
ネルドリップの手付きフィルターを付けるのにちょうど良い形状で、口コミも良い商品です。
ネルフィルターの寿命は?
ネルフィルターの寿命は50回〜60回の使用が交換の目安となっています。
ただし、コーヒーの油脂分や微粉などによって交換時期が早まることもあります。
長持ちさせるなら、粉を中粗挽きにして使用後は煮沸するのがおすすめです。
まとめ
本記事の内容をまとめます。
- コーヒーオイルを含んだ「まろやかさ」が特徴だと一般的に言われる
- しかし、ネルドリップコーヒーの味はフィルターによって異なる
- ペーパードリップと比較すると、酸味が少なくなりやすい
- コーヒー豆の挽き目は中粗挽きがおすすめ
- 使うコーヒー豆の量はペーパードリップより多め
- 入れ方は1分蒸らし、残り1分で150mlを抽出(計2分)
- 使用後は煮沸洗浄して冷蔵、冷凍保存
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